ことしの新語・流行語大賞 「アレ(A.R.E.)」が年間大賞に

ことしの「新語・流行語大賞」が、1日、発表され、年間大賞には、ことしプロ野球で38年ぶりに日本一に輝いた阪神の岡田彰布監督が優勝を表現したことで話題となったことば、「アレ(A.R.E.)」が選ばれました。

「新語・流行語大賞」は1年の間に話題になった出来事や発言、流行などの中からその年を代表することばを選ぶ賞で、1日はノミネートされた30のことばからことしのトップテンが発表されました。

トップテンには「蛙化現象」「OSO18/アーバンベア」も

年間大賞には、ことしプロ野球で38年ぶり、2度目の日本一に輝いた阪神の岡田監督が、リーグ優勝を表現したことで話題となった「アレ(A.R.E.)」が選ばれました。

トップテンには、同じ野球に関連したことばとして
▽WBC=ワールド・ベースボール・クラシックでヌートバー選手がこしょうひきを回す動きを模した「ペッパーミル・パフォーマンス」
▽夏の甲子園やJリーグなどでコロナ禍から解禁された「4年ぶり/声出し応援」が入っています。
また、▽世界的な暑さや森林火災を受けた「地球沸騰化」
▽SNSなどで募集されて犯罪に加担する「闇バイト」
▽相次ぐクマの被害に関連した「OSO18/アーバンベア」
「生成AI」
▽ユニークなダンスが話題の4人組ダンスボーカルユニット「新しい学校のリーダーズ/首振りダンス」
▽インターネットなどで将棋の対局を観戦して楽しむ「観る将」
▽好意を持っている相手がふとしたきっかけで嫌になる「蛙化現象」が選ばれました。

選考委員特別賞にはお笑い芸人のあのフレーズ

また、選考委員特別賞にはお笑い芸人の「とにかく明るい安村」さんがイギリスのオーディション番組で披露して話題となったフレーズ、「I’m wearing pants!(アイム・ウェアリング・パンツ)」が選ばれています。

《受賞者の声》

「アレ(A.R.E.)」阪神 岡田監督“想像以上の反響”

「ちょうど1年前に、15年ぶりにタイガースのユニフォームを着て、優勝のプレッシャーをはねのけるために『アレ』と言いました。もう1つは、『これを取って』というと手が届くが、『あちら』というと遠い感じがする。タイガースはこの3、4年、2位や3位で、もう少しで優勝なのに最終的には負けてしまっていました。そういう意味で『アレ』というのはもう少しで何かにたどりつくという意味が加味されると思いました。想像以上の反響もあって、リーグ優勝、日本一という結果が今回の賞に結びついたと思いますが、関西、スポーツ界の盛り上がりに少しでも貢献できてよかったと思います」

「生成AI」落合陽一さん“どうやって使うか 決断が重要”

「生成AI」の受賞者は、2016年の終わり頃から生成AIの研究を始めたというメディアアーティストの落合陽一さんでした。

落合さんは表彰式で「コンピューターの研究は、数学の研究から始まることが多いですが、生成AIが出てきて非常におもしろいのは画像やアプリケーションなどを作ったりすることが数学者の手を離れ、実際に作る人の手に渡ってきたことです。あらゆる人間が関わる知性にコンピューターが入ってきて、これから先ずっと生成AIはキーワードになっていくと思います。生成AIは知識をサポートしてくれますが決断の責任はとってくれないのでこの法体系や国際秩序の中でどうやって使うかの決断が非常に重要だと思います」と話していました。

「OSO18/アーバンベア」佐藤喜和教授 “非常に驚き”

クマの被害に関連した「OSO18/アーバンベア」の受賞者は、地域のクマをめぐる問題点や情報を交換し合っている「日本クマネットワーク」の代表で酪農学園大学の佐藤喜和教授でした。

佐藤教授は表彰式で、「トップテンにクマに関する用語が選ばれて非常に驚きました。こうしたことばは決して望ましいものではないので、少しでも流行しないように、できるかぎりのことをしていきたいと考えています。クマの数が増えて人口が減少していくのが現在です。このままではクマの問題はますます大きくなると思います。今後も目をそらさずにこの問題を注視して適切な対策をとっていくことが重要で、特に国や地方自治体では単なるクマ問題とわい小化せずに、ぜひ部局横断で適切な予算の措置と専門人材の配置、そして専門人材の育成を進めていただきたい」と話していました。

去年は「村神様」 過去10年の年間大賞は

過去の流行語を見ると、その年の世相がわかります。10年分の年間大賞を振り返ってみます。

▽去年、2022年は「村神様」でした。この年のプロ野球では、ヤクルトがセ・リーグで優勝し、村上宗隆選手が日本選手最多となる56本のホームランを打って三冠王に輝きました。

▽2021年は「リアル二刀流/ショータイム」でした。大リーグ、エンジェルスの大谷翔平選手が投打の二刀流で活躍しました。

▽2020年は「3密」。新型コロナウイルスの感染拡大で「密閉・密集・密接」の3つの密を避けるよう呼びかけられました。

▽2019年は「ONE TEAM」。ラグビーワールドカップ日本大会で初めて決勝トーナメントに進出した日本代表のスローガンです。

▽2018年は「そだねー」。ピョンチャンオリンピックで銅メダルを獲得したカーリング女子。メンバーが試合の中で使いました。

▽2017年は「インスタ映え」。SNSのインスタグラムに投稿するためスマートフォンなどで写真を見栄えよく撮影すること。「忖度(そんたく)」も選ばれ、他人の気持ちを推しはかるという意味で、国有地の払い下げなどをきっかけにさまざまな場面で使われました。

▽2016年は「神ってる」。プロ野球でセ・リーグ優勝を果たした広島の当時の緒方監督が発したことばで、選手の活躍ぶりを象徴しています。

▽2015年は「トリプルスリー」。プロ野球、ソフトバンクの柳田悠岐選手と、ヤクルトの山田哲人選手が打率3割、ホームラン30本、30盗塁をそろって達成しました。「爆買い」も海外からの旅行客が日本で大量に買い物をすることを指すことばとして選ばれました。

▽2014年は「集団的自衛権」。従来の憲法解釈を変更し、行使容認の閣議決定が行われました。この年にブレークしたお笑い女性コンビのセリフ「ダメよ~ダメダメ」も選ばれました。

▽2013年は4つ選ばれました。「今でしょ!」は大手予備校講師の林修さんの名言です。「じぇじぇじぇ」は東日本大震災の被災地を舞台にしたNHKの連続テレビ小説「あまちゃん」で驚きを表す方言として使われました。「倍返し」は人気テレビドラマ「半沢直樹」で堺雅人さんが演じる主人公が使った決めゼリフです。「お・も・て・な・し」は東京オリンピック・パラリンピックの招致活動でプレゼンターをつとめた滝川クリステルさんが使いました。