COP28開幕 気候変動による被害支援する基金 運用ルール決定

国連の気候変動対策の会議COP28が30日、UAE=アラブ首長国連邦で開幕し、初日は気候変動による被害を受ける途上国を支援する基金について、世界銀行のもとに設置するなど運用に向けた具体的なルールが決まりました。

COP28は30日、UAEのドバイで開幕し、前回のCOPで合意した、気候変動による被害「損失と損害」に特化する新たな基金について議論が行われました。

この中で、基金は気候変動の影響に特にぜい弱な途上国が対象で、最初の4年間は世界銀行のもとに設置され、先進国を中心に任意で資金を拠出するなど、運用に向けた具体的なルールが決まりました。

基金にはUAEやドイツ、それに日本などが、これまでに合わせて4億2000万ドル、日本円でおよそ620億円の資金の拠出を表明したということです。

決定した瞬間、会場では多くの人が立ち上がり、拍手を送っていました。

COP28の議長を務めるUAEのジャベル産業・先端技術相は記者会見で、「COPの初日にこうした重要な節目を迎えることは前例がない」と述べ、歴史的な成果だと強調しました。

日本時間の1日午後からは2日間にわたる首脳級の会合が始まり、岸田総理大臣など各国首脳の演説が予定されています。

会合では世界全体の気候変動対策の進捗を5年に1度、評価する「グローバル・ストックテイク」も予定され、対策の強化に向けて各国首脳がどのような方針を打ち出すかが注目されています。

岸田首相 ドバイに到着 COP28首脳級会合で演説へ

岸田総理大臣は日本時間の1日午前3時ごろ、UAE=アラブ首長国連邦のドバイに政府専用機で到着しました。

岸田総理大臣は1日夜、COP28の首脳級会合で演説し、2050年までに温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を実現するために、日本が進めている施策などを説明することにしています。

そして、日本の技術や投資を通じて、アジア太平洋地域全体の脱炭素化にも貢献していく姿勢を強調し、地球の気温上昇の抑制に向けた国際社会の取り組みを主導していく決意を示す方針です。

また、岸田総理大臣は会合への出席にあわせて、イスラエルのヘルツォグ大統領をはじめ、エジプト、ヨルダン、カタールの首脳と個別に会談する予定です。

会談ではイスラエル・パレスチナ情勢をめぐり、国際法に基づく行動が不可欠だとする日本の立場を伝えるとともに、事態の早期沈静化や人道状況の改善への対応を働きかけたい考えです。