北朝鮮 軍事偵察衛星 “きょうから正式に運用開始”

北朝鮮は先週打ち上げた初の軍事偵察衛星について、1日から正式に運用を開始すると主張しています。これに先立ってキム・ジョンウン(金正恩)総書記は、アメリカのホワイトハウスや軍の基地などを試験的に撮影した衛星画像を確認したとしていて、安全保障協力を進める日米韓3か国の動向に対する監視を強化していく構えです。

北朝鮮は先月21日、初の軍事偵察衛星「マルリギョン(万里鏡)1号」の3回目の打ち上げを行い、地球の周回軌道に正確に進入させて成功したと発表し、1日から「正式に偵察任務に着手する」と主張しています。

これに先立って、国営メディアはキム・ジョンウン総書記が国家航空宇宙技術総局のピョンヤン総合管制所を繰り返し訪れて、試験的に撮影した衛星画像を直接確認したと伝えています。

これまでに撮影したとする具体的な場所としては、
▽アメリカのホワイトハウスや国防総省、
▽沖縄のアメリカ軍嘉手納基地、
▽韓国やグアムにあるアメリカ軍基地などを挙げていて、関係国が衛星の性能などの分析を続けています。

軍事偵察衛星の運用は「国防5か年計画」に盛り込まれていて、指導部は多様なミサイルの開発と合わせて、アメリカなどの軍事行動を逐一正確に把握するのに欠かせない偵察能力の向上を重視しています。

今月開かれる見通しの朝鮮労働党の中央委員会総会では、来年、複数の軍事偵察衛星を追加で打ち上げる計画を決定するとしていて、安全保障協力を進める日米韓3か国の動向に対する監視を強化していく構えです。

日本政府 “地域の平和と安全を脅かす” 追加の制裁措置を決定

北朝鮮が打ち上げを成功させたと主張する「軍事偵察衛星」について、日本政府は弾道ミサイル技術を用いた発射で地域の平和と安全を脅かすものだとして、追加の制裁措置をとることを決めました。

北朝鮮は11月21日、3回目となる「軍事偵察衛星」の打ち上げを行い、地球の周回軌道に正確に進入させて成功したと発表し、12月1日から正式に運用を開始すると主張しています。

これについて政府は、弾道ミサイル技術を用いた発射で地域や国際社会の平和と安全を脅かすものだとして、1日の閣議で北朝鮮に対し、追加の制裁措置をとることを決めました。

この中では、今回の打ち上げにロシアから技術支援があったという見方も踏まえ、新たに資産凍結の対象にロシアとの武器取り引きに関与するなどした4つの団体と5人の個人を加えます。

今回の措置により、北朝鮮関連の資産凍結の対象は合わせて144の団体と133人の個人となります。

松野官房長官は記者会見で、「アメリカ、韓国、それに今回はオーストラリアとも歩調を合わせ、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決のための措置を了解した。国際社会とも連携しながら、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画の完全な廃棄を求めていく」と述べました。

米政府 “北朝鮮国営企業などに関係の8人と団体1つに制裁”

アメリカ政府は北朝鮮が先週、軍事偵察衛星の3回目の打ち上げを行ったことへの対抗措置として、北朝鮮の国営企業などに関係する個人8人と、北朝鮮の団体1つに制裁を科したと発表しました。

アメリカ財務省が30日、発表したところによりますと、8人はロシアや中国、それにイランにある北朝鮮の国営企業などに関係していて、兵器開発のために必要な外国の技術を提供したり、国際金融システムにアクセスすることを通じて北朝鮮に収入を生み出したりしていたとしています。

また、団体1つについては、サイバー上でスパイ活動を行ってきた対外諜報活動の組織だとしています。

アメリカ財務省は「北朝鮮が海外で働く労働者を活用し、サイバーを通じてスパイ活動などを行うことは、国際的な安全保障や地域の同盟国を脅かし続けている。われわれは引き続き、北朝鮮の不正な資金調達や兵器の拡散を注視していく」としています。

韓国 “独自制裁 新たに11人を対象に指定”

韓国外務省は北朝鮮による軍事偵察衛星打ち上げを受けた措置だとして、新たに独自制裁の対象を指定したと発表しました。

指定されたのは衛星の開発や関連する物資の調達に関与したとする、北朝鮮の国家航空宇宙技術総局の幹部など合わせて11人です。

韓国外務省は日米韓3か国とオーストラリアがそろって独自制裁を科すのは初めてだとして、「北のたび重なる挑発を座視しないという国際社会の意志が強まっていることを示している」と強調しました。