日銀 中村審議委員「金融緩和の政策修正 もう少し時間かかる」

日銀の金融政策を決める政策委員の1人、中村豊明審議委員が30日、神戸市で開かれた地元の経済団体との懇談会に出席しました。中村氏は賃金と物価の好循環を実現させる千載一遇のチャンスが到来しているという見方を示しましたが、「金融緩和の政策修正にはもう少し時間がかかる」と述べました。

懇談会のあいさつで中村審議委員は「現在、賃金と物価の好循環を実現させる千載一遇のチャンスが到来しており、その実現の正念場を迎えている」と述べました。

その一方で、「賃金上昇を伴った持続的な2%の物価安定目標の実現に確信を持てる状況ではない。今は慎重な対応が必要であり、金融緩和の政策修正にはもう少し時間がかかる」と述べ、金融緩和を継続する必要性を強調しました。

日銀は10月の会合で、長期金利が1%を超えても一定の水準までは金利の上昇を容認することを決めましたが、中村審議委員は企業の稼ぐ力が高まったことを確認する必要があるとして唯一、反対していました。

これに関連して、中村審議委員は懇談会のあとの記者会見で、「日本は30年間、賃金や物価、金利が動かなかったので、その構造が変わっているのかをみるべきだ。データや企業へのヒアリングで、企業の稼ぐ力がどれほど持続可能なものかという分析や評価も必要で、よくなるはずだという予想に基づいて、先に政策を変えてしまうのは危険だ」と述べました。