北海道 知床半島沖 観光船沈没 賠償訴訟 国側は争う姿勢

2022年4月、北海道の知床半島沖で観光船が沈没した事故で、船の検査が不十分だったとして、亡くなった甲板員の遺族が国に賠償を求めた裁判が始まり、国側は「検査したのは別の団体で、国に賠償責任はない」などとして、全面的に争う姿勢を見せました。

2022年4月、北海道の知床半島沖で、観光船の「KAZU 1」が沈没した事故では20人が死亡、6人が行方不明になっています。

事故で亡くなった甲板員の曽山聖さん(当時27)の両親は、国土交通省が所管する日本小型船舶検査機構が行った検査が不十分だったとして、国に1億800万円余りの賠償を求める訴えを起こしています。

この裁判が30日、東京地方裁判所で始まり、国側は訴えを退けるよう求める書面を提出し、全面的に争う姿勢を見せました。

両親の代理人を務める村上誠 弁護士によりますと、国側は検査の主体は日本小型船舶検査機構であり、国に賠償の責任はないなどと主張しているということです。

村上弁護士は「国は『検査機関に任せたので知らない』と主張しているが、検査を監督し、観光船の安全な運航を担保しているのは国だ。国に大きな責任があるとはっきりさせることが、事故で亡くなった人に対するわれわれの一番の仕事だ」と話していました。

両親の弁護士によりますと、この事故で国に賠償を求める裁判は初めてとみられます。

一方、曽山さんの両親は会社側に対しても責任を問う裁判を起こしています。