沖縄 辺野古「国による代執行」に向けた裁判 12月20日に判決

沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設先になっている名護市辺野古沖の地盤の改良工事をめぐり、国が移設に反対する県に代わって工事を承認する「代執行」に向けて起こした裁判は、12月20日に判決が言い渡されることになりました。

名護市辺野古沖の埋め立て予定地で見つかった軟弱地盤の改良工事を行うため国が行った設計変更の申請を沖縄県が「不承認」としたことに対し、10月、国は移設に反対する県に代わって工事を承認する「代執行」に向けて訴えを起こし10月30日、福岡高等裁判所那覇支部で初めての弁論が行われました。

弁論で国側は「日本の安全保障と普天間基地の固定化の回避が達成できず、放置することで著しく公益を害することは明らかだ」などと述べて県に承認することを命じる判決を速やかに言い渡すよう求めました。

一方、県側は、玉城知事が法廷で意見陳述を行い「県民が明確に示す移設反対の民意こそが公益とされるべきだ。代執行という国家権力を容認せず、対話による解決の道が最善の方法だと示してほしい」などと求め、すべての審理が終わりました。

この裁判の判決は、12月20日に言い渡されることになりました。

裁判所が国の訴えを認めた場合、期限を設けて県に承認するよう命じ、その期限を過ぎても県が承認しなければ国が「代執行」を行うことができるようになります。

一方、県は判決から1週間を期限に最高裁判所に上告できますが、最高裁で県側が勝訴するまで「代執行」を止める効力はありません。

国が、自治体の事務を「代執行」したことは過去になく、工事が承認されない状態を放置することが著しく公益を害するかどうかなどについて、裁判所がどのような判断を示すのか注目されます。

玉城知事「国の請求はいずれの代執行要件も充足しない」

判決が来月20日に言い渡されることが決まったことを受けて、沖縄県の玉城知事は「県民の明確な民意こそが公益であって、国が沖縄県との対話に応じていないことなどを踏まえれば、国の請求はいずれの代執行要件も充足しない」と改めて強調しました。

その上で「双方の対話によって辺野古新基地建設問題の解決の道を探ることこそが最善の方法であることを、地方自治の本旨と多くの県民の民意に即した判断として示していただけると期待している」と述べました。