暴力団「工藤会」トップの2審 審理終了 判決は来年3月12日

北九州市の特定危険指定暴力団「工藤会」が市民を襲撃した4つの事件で、殺人などの罪に問われ1審で死刑判決を言い渡された組織トップの総裁ら2人の2審の裁判は29日で審理が終わり、判決が2024年3月12日に言い渡されることになりました。

特定危険指定暴力団「工藤会」は平成10年から26年にかけて北九州市などで漁協の元組合長を射殺したほか、看護師や歯科医師など3人を拳銃や刃物で襲うなど4つの事件を起こし、1審の福岡地方裁判所は2021年、いずれも殺人などの罪に問われた組織のトップ、総裁の野村悟 被告(77)に死刑判決を、ナンバー2で会長の田上不美夫 被告(67)に無期懲役を言い渡しています。

福岡高等裁判所で行われた29日の裁判では、被告側と検察側の双方が最終的な主張を述べ、このうち被告側の弁護士は野村被告について「4つの事件に共謀した事実はない」と改めて無罪を主張するとともに、田上被告については2審で関与を認めた看護師と歯科医師が襲われた2つの事件について「殺人未遂ではなく傷害罪にとどまる」と主張しました。

そのうえで「推認のもとで適格な理由もなく共謀と殺意を認めた1審判決は重大な事実誤認があり取り消されるべきだ」と述べました。

一方、検察は4つの事件いずれについても「2人の共謀を認めた1審の判決の判断に不合理な点がないことは明らかだ」と主張し、控訴を退けるよう求めました。

2審の審理は29日ですべて終わり、判決は2024年3月12日に言い渡されることになりました。