「GX経済移行債」 支援の対象企業は「排出量取引」参画を

脱炭素社会の実現に向けて民間の投資を後押しする新たな国債による支援について、政府は対象となる企業に対し、二酸化炭素の排出量の削減分を売買する「排出量取引」への参画を求めていくことになりました。

28日、総理大臣官邸で開かれた「GX=グリーントランスフォーメーション実行会議」には、岸田総理大臣のほか、西村経済産業大臣や経団連の十倉会長などが出席しました。

この中で西村大臣は、民間の投資の後押しに向けて、総額20兆円規模で発行する新たな国債「GX経済移行債」について、専門家との議論を通じてまとめた企業に対する支援の方針を報告しました。

具体的には、経済成長や、二酸化炭素の排出削減などに貢献できるものの、民間企業だけでは実現が困難な事業を支援するとともに、エネルギーや鉄鋼など排出量の多い分野を中心に優先順位をつけて支援していくとしています。

さらに、支援の前提として今年度から自主的に参加する形で始まった二酸化炭素の排出量の削減分を売買する「排出量取引」への参画を求めるとしています。

このほか、会議では年末までに水素や原子力、鉄鋼など分野別に今後10年間の投資戦略をまとめ、来年度の当初予算案に盛り込む事業を決定することなども報告されました。

岸田首相「ものづくりの世界の脱炭素投資 リードを」

岸田総理大臣は、「本日は20兆円の支援策を展開していく際の基本原則を明確にした。くらしのGXなど国民生活に直結する分野、半導体、蓄電池などの戦略分野に加え、炭素の排出シェアが高く、生産方法の抜本的な転換が求められる鉄や化学といった分野に投資支援の枠組みを適用し、ものづくりにおける世界の脱炭素投資をリードすることを目指す」と述べました。