北朝鮮の軍事偵察衛星 国連安保理 緊急会合で非難相次ぐ

北朝鮮による軍事偵察衛星の打ち上げを受けて、国連の安全保障理事会で緊急会合が開かれ、各国からは弾道ミサイル技術を使った発射は安保理決議違反だと非難する意見が相次ぎました。
これに対して北朝鮮の代表は自衛権の行使だと反発し、アメリカの代表と非難の応酬を繰り広げました。

安保理の緊急会合は27日、日本時間の28日未明、日本やアメリカなどの要請で開かれ、北朝鮮のキム・ソン国連大使も出席しました。

会合では各国から、今月21日の弾道ミサイル技術を使った打ち上げは安保理決議違反だとする非難が相次ぎ、日本の石兼国連大使は「発射は核ミサイル開発につながるもので、地域の平和と安全に対する重大な脅威だ」と訴えました。

また、アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は「北朝鮮に挑発をやめるよう繰り返し呼びかけたが、それを完全に無視し平然と安保理決議に違反した」と厳しく指摘したうえで、これまで北朝鮮を擁護してきた中国とロシアについても、安保理の結束を乱し国際社会に誤ったメッセージを送っていると批判しました。

これに対して北朝鮮のキム大使は、会合の開催そのものが主権の侵害だと反発したうえで、「偵察衛星の打ち上げは自衛権の正当な行使だ」と改めて主張しました。

このあとアメリカのトーマスグリーンフィールド大使が「北朝鮮の不誠実な主張を強く拒否する」と改めて発言すると、北朝鮮のキム大使が「アメリカの軍事的圧力がなくならないかぎり、われわれは防衛能力を高め続ける」と反論する場面もありました。

一方、中国とロシアの代表は「地域で緊張を高めているのはアメリカだ」と主張して、今回も北朝鮮を擁護しました。

松野官房長官「技術的進展得たか 情報収集・分析に全力」

松野官房長官は閣議のあとの記者会見で「北朝鮮による核・ミサイル開発は、わが国や国際社会の平和と安全を脅かすもので断じて容認できない。アメリカ、韓国などと緊密に意思疎通を行い、北朝鮮に対し関連する国連安保理決議の順守を求めていく」と述べました。

また「北朝鮮はミサイル技術のさらなる進展に加え、衛星の打ち上げで一定の技術的進展を得たと考えられ、仮に偵察衛星を保有・運用するに至った場合、核・ミサイルの運用能力はさらに向上し、平和と安全を一層脅かすおそれがある。情報の収集や分析に全力を挙げていく」と述べました。