RSウイルス感染症 妊婦向けのワクチン承認へ 厚労省専門家部会

主に子どもが感染し、6か月未満の赤ちゃんがかかると肺炎を起こして重症化することもあるRSウイルス感染症の妊婦向けのワクチンについて、厚生労働省の専門家部会は使用することを了承しました。今後、厚生労働省の正式な承認を経て、妊婦向けのRSウイルス感染症のワクチンの製造・販売が国内で初めて行われます。

使用が了承されたのは、アメリカの製薬会社ファイザーが開発したRSウイルス感染症のワクチン「アブリスボ」です。

RSウイルス感染症は、主に子どもが感染し、発熱やせきなどかぜのような症状が出る病気で、生後6か月未満の赤ちゃんや先天性の心臓の病気がある子どもなどは肺炎を起こして重症化することもあります。

今回のワクチンは妊婦が接種することで、生まれてきた子どもが重い症状になるのを防ぐ効果が期待されているということです。

ファイザーがことし2月に厚生労働省に承認申請を行い、27日夜開かれた厚生労働省の専門家部会は有効性が確認でき、安全性にも重大な懸念はないとして、使用を認めることを了承しました。

厚生労働省によりますとRSウイルス感染症のワクチンは、ことし9月、イギリスの製薬会社が開発した60歳以上を対象としたワクチンが承認されていますが、妊婦向けのワクチンが了承されるのは今回が初めてで、今後、厚生労働省の正式な承認を経て、ワクチンの製造・販売ができるようになります。

RSウイルス感染症とは

「RSウイルス」には2歳くらいまでにほぼすべての子どもが1回は感染するとされています。

感染して「RSウイルス感染症」を発症すると、発熱やせきといった軽いかぜのような症状が出ますが、ほとんどの場合、数日から1週間くらいかけて徐々に回復します。

一方で、特に生後6か月未満の赤ちゃんや小さく産まれた赤ちゃんなどの場合は肺炎や気管支炎を起こして重症化し、入院が必要となることがあります。

特効薬はなく、重症化した場合は酸素を投与して呼吸を助けたり、点滴をしたりといった対症療法で回復を待つしかなく、ワクチンの実用化が期待されていました。

流行の時期はこれまで秋から冬とされていましたが、ここ数年は春から夏にかけて感染者が増える傾向が見られています。

専門家「非常に期待の持てるワクチン」

子どもの感染症に詳しい新潟大学の齋藤昭彦教授は「妊婦がこのワクチンを接種すると、抗体が胎盤を通じて赤ちゃんにも届くので、生まれてから半年くらいまでRSウイルスへの感染や重症化から守ることができる。小児科医にとっては非常に期待の持てるワクチンだ」としています。

そのうえで「ワクチンの安全性を気にする妊婦の方は多いと思うが、これまでの研究で安全性については問題ないとされている。接種する際には医師と十分相談して、納得したうえで接種してほしい」と話していました。