愛知 東郷町長パワハラ発言問題 不信任決議案は否決

愛知県東郷町の井俣憲治町長が町の職員に対し、パワーハラスメントにあたる発言をしたとされる問題をめぐり27日、町議会に町長に対する不信任決議案が提出されましたが、採決の結果、否決されました。

東郷町の井俣町長は、会議の場などで町の職員に対してパワーハラスメントにあたる発言をしたと指摘され「職員と接するときにフレンドリーに接したいという思いが少なからずあった」などと不適切な発言があったことを認めていました。

これを受けて27日、午前10時過ぎから臨時議会が開かれ冒頭、井俣町長は「私自身が引き起こしたハラスメント案件について、東郷町に関わるすべての皆様に対し、改めて謝罪する」と述べました。

そして、一部の議員から町長に対する不信任決議案が提出され、審議が行われました。

討論の中で決議案に賛成する立場の議員は「第三者委員会の結論が出るには時間がかかる。被害者のためにも町長は一刻も早く職場から去るべきだ」などと述べました。

これに対し、反対する立場の議員は「しっかりとした検証が終わってから町長が進退を考えるべきだ」などと述べました。

討論では、議長以外のすべての議員が意見を述べ、議長を含む16人で採決が行われた結果、不信任決議案は賛成10人、反対6人と、賛成が可決に必要な出席議員の4分の3を下回り、否決されました。

不信任決議案 賛成と反対 それぞれの議員からは

不信任決議案に賛成した石原恵里香 議員は「非常に残念で申し訳なく、議員としての力不足を痛感している。職員の皆さんには申し訳ない。ただ、引き続きできるかぎりのことをやっていきたい」と話していました。

不信任決議案に反対した中野勝宏 議員は「第三者委員会や公的なアンケートによる調査をして、しっかりとした根拠を持ったうえで、不信任決議をすべきとの考えで反対した。ただ、職員や町民の皆さんが一刻も早い解決を望んでいるのはわかるので、時間がかかってしまうのは申し訳ないという思いだ」と話していました。

井俣町長「第三者委の調査結果受け 進退含めた判断」

臨時議会を終えたあと、井俣町長は記者団に対して「不信任決議案に反対した議員も賛成した議員も言いたいことは同じで、私がしっかり反省をし、職員の皆さんに謝罪していかなければならないということだ。どういった発言をしたのか職員へのアンケート調査で明らかにし、第三者委員会には、叱責の場なのか、それとも冗談として話が進んでいる場での発言だったのか、背景を客観的に見てもらった結果を受けて、私の進退を含めた判断をしていきたい」と述べました。

町民「否決され残念」

不信任決議案の審議を傍聴した東郷町に住む60代の女性は「否決されてとても残念だ。この問題を先送りにしていくと心のケアが必要な人がもっと増えてくるだろう。一刻も早くちゃんとした体制で職員が安心して仕事ができるようにしてもらいたい」と話していました。

また、不信任決議案が否決されたことについて、東郷町役場を訪れた40代の町民の男性は「否決されるとは思わなかった。反対した議員が、いま不信任決議案を判断するタイミングではないというならいつ判断するのかと思う」と話していました。

70代の町民の男性は「議員たちの中でいろいろと調べたうえで否決という結果なのだろうとは思う。ただ、私自身の気持ちとしては納得できない」と話していました。