参院予算委 首相 防衛費の増額 “円安でも範囲内に収める”

国会は参議院予算委員会で経済対策の裏付けとなる補正予算案の実質的な審議が始まりました。防衛費の増額をめぐり、岸田総理大臣は円安に伴い装備品の調達価格が上昇しても5年間で43兆円の範囲内に収める考えを示しました。

所得税などの定額減税について

午前の審議では立憲民主党が質問に立ち、辻元清美氏は所得税などの定額減税について「世論調査で説明が不適切だとする意見が多いのはなぜだと思うか。岸田総理大臣は『増税メガネ』の上に『減税メガネ』をかけて国民の望むことが見えなくなっているのではないか」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は「国民の声は謙虚に受け止めたい。そのうえで、正念場にあるデフレ脱却に向けてどういった政策が必要なのか丁寧に説明することが重要だ。経済対策が未来にどうつながるかを説明することが国民の理解につながると信じており、しっかり説明していきたい」と述べました。

防衛費の増額めぐり

また、辻元氏は防衛費の増額をめぐり「去年、5年間の防衛費を43兆円に増額すると決めたとき、為替レートを1ドル108円で試算している。今の為替レートでは43兆円をはるかに突破するのではないか」と指摘しました。

これに対し、岸田総理大臣は「43兆円という金額は必要な防衛力を用意するために検討し吟味して積み上げた数字だ。閣議決定した数字なので、この範囲内で防衛力を強化していく方針に変わりはない。為替の動向も見ながら効率化や合理化を徹底し、現実的にどういった効果的な防衛力の強化ができるか、財源の確保と合わせて具体化していきたい」と述べました。

イスラエルとハマス 戦闘休止めぐり

一方、岸田総理大臣は、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘休止をめぐり「人質の解放など今後の行方を世界中が注目しており、イスラエルや関係国に対し事態の沈静化に向けて働きかける努力を続けていく。今後の状況をしっかり見極めたうえで具体的な対応を判断する」と述べました。

大阪・関西万博めぐり

再来年開催される大阪・関西万博をめぐり、西村経済産業大臣は、政府が出展するパビリオン「日本館」の整備にかかる費用を問われ「これまでの予算で92億円を計上しているほか、今回の補正予算案で171億円を計上している。これに加えて今後、仕上げや実際の運営、解体のための費用を計上しなければならないが、総額として360億円には抑えたい」と述べました。

立民 泉代表「『大屋根』国民は納得できない建造物」

立憲民主党の泉代表はNHKの取材に対し、再来年の大阪・関西万博で会場のシンボルとして設けられるリング型の木造建築物「大屋根」について「国民からすれば納得できない建造物だ。日よけにはなるだろうが、税金も投入される巨額の日よけ傘はいらないというのが国民の声ではないか」と述べました。

その上で「万博の会場建設費は2350億円と言われているが、警備費は別扱いにするなど予算がどんどん膨らんでいる。総額をごまかそうとしている姿勢をチェックしなければいけない。コスト削減に最大限取り組むべきで、経費をこれまでの範囲に収める方が応援できる万博になるのではないか」と指摘しました。

共産 小池書記局長「中止を決断すべき」

共産党の小池書記局長は記者会見で「これだけ国民や大阪府民の負担が膨れ上がっていくことを多くの人は支持していない。多額の国費を投入するのはやめるべきだ。今なら引き返せるので、中止を決断すべきだ」と述べました。