モスクワ近郊にウクライナ軍無人機飛来 “報復攻撃だ”

ロシアの首都モスクワ近郊などには25日から26日にかけてウクライナ軍の無人機が飛来し、複数の建物が損傷する被害が出ました。ウクライナではこれに先立ちロシア軍による大規模な無人機攻撃があったばかりで、ウクライナの地元メディアは報復攻撃だと伝えています。

ロシア国防省は、25日夜から26日未明にかけて、ウクライナ軍の無人機が首都モスクワ近郊などに飛来し、24機を撃墜したと発表しました。

ロシア側の発表によりますと、モスクワのおよそ200キロ南のトゥーラ州では、撃墜された無人機が集合住宅に墜落し、1人が軽いけがをしたほか、モスクワ近郊でも複数の建物が損傷する被害が出たということです。

ウクライナでは、これに先立つ25日、首都キーウなどにこれまでで最大規模とされるロシア軍の無人機による攻撃があったばかりで、ウクライナのメディアは、この攻撃に対する報復としてモスクワ近郊などへの無人機攻撃が計画され、ロシア軍の関連施設などを標的に35機ほどが投入されたと伝えています。

また、ウクライナ国営の電力会社「ウクルエネルゴ」は地元のメディアに、25日の大規模な無人機攻撃ではキーウや近郊に電力を供給する送電線2本が損傷したものの、迅速に復旧し電力の使用を制限せずに済んだとしています。

ウクライナ軍によりますと、26日朝にかけてもロシア側から無人機9機の攻撃があり、8機を撃墜したということで、双方の無人機による攻撃が激しさを増しています。

人権監視団 “ウクライナ市民 侵攻以降1万人以上殺害された”

国連のウクライナ人権監視団は、去年2月にロシアによる軍事侵攻が始まって以降、ウクライナで560人以上の子どもを含む1万人以上の市民が殺害されたと明らかにしました。

死者のほとんどはミサイルやクラスター爆弾など、広範囲に被害を及ぼす兵器によるものだということです。

人権監視団は、確認作業に時間がかかるため実際の死者数ははるかに多いという見方を示したうえで、「最近の3か月間は死傷者の半数近くが前線から遠く離れた場所にいた市民で、ウクライナ国内では安全な場所はない」と指摘しています。