拉致被害者家族が大規模集会 “親世代存命のうちに帰国を”

北朝鮮に拉致された被害者の帰りを待つ家族の高齢化が一段と進む中、東京で大規模な集会が開かれ、家族らは「拉致問題は命に関わる問題で時間には限りがある」として、親世代が存命のうちにすべての被害者の帰国を実現させるよう、政府の取り組みと北朝鮮の決断を求めました。

集会は拉致被害者の家族や支援者らが東京 千代田区で開き、岸田総理大臣などおよそ800人が参加しました。

はじめに、被害者の家族会代表で、46年前、中学1年生の時に拉致された横田めぐみさんの弟の拓也さんが「政府は本気でこの人権、人道問題解決に向けて取り組んでいるのでしょうか。高齢の親世代が1人また1人と他界される現実をどのように受け止めているのでしょうか。こうした悲しいことが繰り返されないよう、国家の総力をもって全拉致被害者の帰国が実現できるよう、北朝鮮と外交交渉を行ってください。命に関わる問題なのです」と訴えました。

続いて、母親の早紀江さんが(87)「『何で助けてくれないの』と言っている気がします。命がかかっています。命を日本に取り戻していただきたいんです」と訴えました。

また、21年前に帰国を果たした拉致被害者の曽我ひとみさんは、ともに拉致され、帰国できずにいる母親のミヨシさんについて、「来月92歳になります。北朝鮮ではしっかり食べられているのか、しっかり歩けているのか、本当に心配が尽きません」と思いを語りました。

拉致問題をめぐっては、ことし5月、岸田総理大臣が日朝首脳会談を実現させるため、自らが直轄するハイレベル協議を始めたいという考えを示しましたが、その後、目に見える動きがなく、家族の間では残された時間はわずかだという焦りがこれまでになく強まっています。

集会では
▽すべての被害者の一刻も早い帰国の実現を政府に求めるとともに、
▽北朝鮮に対し被害者全員の帰国を決断するよう求める決議を採択しました。