キーウで最大の無人機攻撃 ゼレンスキー大統領“意図的テロ”

ウクライナの首都キーウでは25日、これまでで最大とされるロシア軍による無人機攻撃があり、けが人が出るなど大きな被害が出ました。ゼレンスキー大統領は、ロシアへの対抗意識が高まる歴史的な記念日を狙った「意図的なテロだ」と非難しました。

ウクライナ空軍は25日、ロシア軍が75機のイラン製の自爆型無人機で首都キーウなど、少なくとも6つの地域に攻撃を仕掛けたと発表しました。このうち74機を撃墜したということで、これまでで最大の無人機攻撃だとしています。

ウクライナ側は無人機はロシア西部のクルスクなど2つの方面から発射され、キーウを狙ったものだとしていて、クリチコ市長によりますと、無人機の破片が落下するなどして子供1人を含む5人がけがをしたということです。

キーウ市西部の幼稚園では無人機の破片が建物に直撃して天井や壁が崩れ、がれきが敷地内に散乱していました。

幼稚園に孫を通わせているという男性は「恐怖でしかなかった。何が起きたわからず、暗い時間でどこに逃げていいかわからなかった。ロシアを強く非難したい」と話していました。

ウクライナで25日は、1932年から翌年にかけて当時のソビエトのスターリン政権が人為的に発生させた、「ホロドモール」と呼ばれる大飢きんの犠牲者を追悼する日にあたります。

ロシアへの対抗意識が高まる記念日でもあり、ゼレンスキー大統領は「意図的なテロだ」と非難した上で、防空能力を強化していくと強調しました。

無人機が落下の現場は

ウクライナの首都キーウでは25日、ウクライナ側に撃墜されたロシア軍の無人機の破片が市街地に落下し、けが人が出たほか、建物にも大きな被害が出ました。

このうち、西部にある幼稚園では落下した破片が2階建ての建物に直撃して天井や壁が崩れ、幼稚園の敷地内に散乱し、子どもたちが利用する部屋がむき出しになっていました。現場ではがれきの撤去作業が始まっていました。

また、幼稚園の近くの集合住宅では、破片が落下した際の衝撃で窓ガラスが割れるなどの被害も出ていて、住んでいる人たちが協力してガラスの破片を集め、新しい窓ガラスを取りつけたり、窓を木の板でふさいだりしていました。

無人機が落下した幼稚園に孫を通わせているという67歳の男性は「恐怖でしかありませんでした。何が起きたわからず、暗い時間でどこに逃げていいかわかりませんでした。こんなことをするロシアを強く非難したいです」と話していました。

また、割れた窓ガラスを片づけていた30歳の女性は「怖かったです。3人の子どもがいて、窓のそばで寝ていましたが、幸いにしてけがはありませんでした。冬なので寒いですから、すぐに窓ガラスを取り替えました」と話していました。