中国「白紙運動」から1年 当局 体制批判を警戒 監視強める

中国の習近平指導部による「ゼロコロナ」政策への不満を背景に、各地で若者らが抗議の意思を示す白い紙を掲げるなどして反発した、いわゆる「白紙運動」から1年となります。中国では景気の先行きに不透明感が広がる中、当局は人々の不満が体制批判に向かうことを警戒し、監視を強めています。

中国では去年11月、厳しい行動制限を伴う「ゼロコロナ」政策に対する抗議活動が各地に広がり、このうち、上海では1年前の26日から27日にかけて、「習近平は退陣せよ」などと公然と体制批判まで行われる異例の事態となりました。

こうした抗議活動は首都 北京をはじめ各地に広がり、参加した若者などが無言のまま抗議の意思を示す白い紙を掲げたことから、「白紙運動」とも呼ばれています。

その後、習近平指導部は「ゼロコロナ」政策を急きょ、終了させ、表立った抗議活動は見られなくなりました。

しかし、中国では「ゼロコロナ」政策の終了後も経済の回復は力強さを欠き、若者を中心に雇用情勢が厳しいうえ、不動産不況も深刻化し、景気の先行きに不透明感が広がっています。

こうした中、当局は人々の不満が体制批判に向かうことを警戒し、社会問題などを発信しているSNS上のアカウントへの管理を進めるなど、監視を強めています。

去年抗議活動に参加した若者は

去年11月に中国各地で広がった抗議活動では、参加した若者などが当局に相次いで拘束されました。

このうち、上海で拘束され、その後、海外に移住した20代の男性がオンラインでNHKの取材に応じました。

この男性は去年11月27日の早朝、上海市内で行われた抗議活動の現場で拘束され、その後、警察署で取り調べを受けましたが、その中で警察官に暴力を振るわれたこともあったということです。

男性は拘束された経験に加え、インターネット上での発言が監視されるなど、言論の自由がない日常に不満を感じ、ことし10月、海外に移住しました。

現在は移住先で難民申請を行っているということで、住まいを転々としながら生活しています。

男性は1年前の抗議活動について、「学生や若者だけでなく、さまざまな人がもっと多く参加していれば、中国の民主を推し進める効果があったと思う」と述べた上で、「抗議活動はまた起きるかもしれませんが、政府は国外に知られることを望まず、監視を強めているので、警察は鎮圧するでしょう」と述べ、当局が警戒を強めているとの見方を示しました。

そして、抗議活動に言及しない当局の姿勢について、「政府は『天安門事件』などの歴史的な出来事と同様に率先して言及せず、隠したり、ごまかしたりしています。抗議活動に目を向けるべきです」と訴えていました。