パーティー券 購入団体関係者「複数議員から依頼 別々に購入」

自民党の派閥の政治資金をめぐる問題。収支報告書への記載が義務づけられている政治資金パーティーで、1回20万円を超える支払いを受けた団体の名前などを記載していなかったケースが相次いで明らかになっていますが、派閥のパーティー券を購入してきたという団体の関係者がNHKの取材に応じ、「同じ派閥の複数の議員から依頼され、同じパーティーで、議員ごとに別々に購入していた」などと証言しました。

自民党の派閥の政治資金をめぐっては、「清和政策研究会」安倍派、「志帥会」二階派、「平成研究会」茂木派、「志公会」麻生派、「宏池政策研究会」岸田派が、おととしまでの4年間に、収支報告書への記載が義務づけられている政治資金パーティーで、1回20万円を超える支払いを受けた団体の名前や金額など、合わせておよそ4000万円分を記載していなかったとして、大学教授が、会計責任者らに対する政治資金規正法違反の疑いでの告発状を提出しています。

また、去年の収支報告書でも、NHKの調べで、「志帥会」「志公会」「清和政策研究会」「近未来政治研究会」森山派、政界を引退した谷垣元総裁を中心とする議員グループ「有隣会」で、収入の不記載が明らかになりました。

なぜ、こうしたケースが相次いでいるのか。

自民党の派閥の政治団体のパーティー券を毎年購入してきたという団体の関係者がNHKの取材に応じました。

政治資金規正法は、同じ人や団体から政治資金パーティーで1回20万円を超える支払いを受けた場合に、収支報告書への記載を義務づけていますが、この男性の政治団体のパーティー券購入の支払いの一部が派閥側には記載されていなかったことがわかっています。

男性の政治団体には、毎年、つきあいのある複数の国会議員の事務所から政治資金パーティー開催の案内が届くほか、秘書が事務所を直接訪ねてきて「よろしくお願いします」などと、パーティー券の購入を求めてくるということです。

それぞれの求めに応じ、一口2万円のパーティー券を議員ごとに購入し、口座への金の振り込みも別々にしているといいます。

議員ごとの支払いでみると、派閥側に記載義務のない20万円以下が多かったものの、複数の議員への支払い額を合計すると50万円を超えることもあったということです。

男性は「記載されていなかったことは思いもよらないことだ。簡単に考えているかもしれないが、貴重なお金を集めて払うほうは大変な思いをしている。政治資金パーティーを開く側もしっかり認識してほしい。報告書を訂正すればよいという話ではない」と話していました。

NHKの取材では、派閥のパーティー券を購入したほかの団体でも、
▽同じ派閥のパーティー券購入で、複数に分けて支出していたケースがあったほか、
▽支出先として派閥の名前に加え、議員個人の名前を記載しているケースがありました。

告発状が出されている5つの派閥は、岸田総理大臣の指示を受けて収支報告書の訂正を行ったことを明らかにしています。

政治資金の問題に詳しい日本大学の岩井奉信名誉教授は「政治資金パーティーが金集めの抜け道になっているのではないかという指摘は以前からあった。規則がないがしろにされ、誰がパーティ券を購入したか、わからない形になっていることは大きな問題だ」と話しています。

専門家 “公開制度の根幹揺るがす非常に重大な問題”

日本大学の岩井奉信名誉教授は「パーティー券を購入してもらった側が、氏名などを公表するという規則がないがしろにされている。もし、不記載が故意あるいは組織的に行われたとすれば、政治資金の公開制度の根幹を揺るがす非常に重大な問題だと言わざるをえない。一方で、ミスで済まされるのもまた問題で、どうしてこういうことが起きたのか解明する必要がある」と指摘しました。

そのうえで、「派閥としては企業団体献金を集めることができないので、政治資金パーティーが重要な資金源になっている。パーティー券は、透明性のある形でわかりやすく売り、問題が起きないようにするということを、それぞれの派閥が考えていく必要がある」と話しています。