佐賀 鹿島の養鶏場 今季初の鳥インフルエンザ 約4万羽を処分へ

佐賀県鹿島市の養鶏場でニワトリが死んでいるのが見つかり、遺伝子検査の結果、鳥インフルエンザウイルスが検出されました。鳥インフルエンザの感染が養鶏場で確認されたのは今シーズン初めてで、佐賀県は、養鶏場で飼育されていたおよそ4万羽のニワトリの処分を進めています。

佐賀県によりますと、鹿島市重ノ木の養鶏場で24日ニワトリが相次いで死んでいるのが見つかり、遺伝子検査の結果、高病原性とみられる「H5型」の鳥インフルエンザウイルスが検出されたということです。

佐賀県は25日午前9時から、この養鶏場で飼育されているおよそ4万羽のニワトリの処分を始め、午後4時の段階で全体の24%にあたる9500羽余りを処分したということです。

佐賀県は、この養鶏場から半径10キロ以内を「搬出制限区域」に指定して12の養鶏場にニワトリなどの区域外への出荷を禁止する措置をとったほか、周辺の7か所にポイントを設け、24時間体制で通行する車の消毒にあたるとしています。

また、佐賀県によりますと、鹿島市内で死体で見つかったカラスが簡易検査で鳥インフルエンザに感染している疑いがあることが分かり、県は国の機関で詳しい検査を進めるとともに野鳥への監視を強化することにしています。

農林水産省によりますと今シーズン、養鶏場で鳥インフルエンザウイルスが検出されたのは、全国で初めてで、警戒を強化するよう呼びかけています。

農林水産省 4シーズン連続発生は初

農林水産省は感染経路などの詳しい調査を行う専門家のチームを現地に派遣しました。

また、すべての都道府県に対し、養鶏場に出入りする人や車両の消毒や、野鳥などを侵入させない対策、それに、死んだ鳥など異変に気付いたら早期に通報することなどを改めて徹底するよう通知を出して警戒を呼びかけています。

世界的な感染拡大が続いていることを背景に、国内の養鶏場などでもここ数年、鳥インフルエンザの発生が相次いでいて、農林水産省によりますと、4シーズン連続で発生するのは初めてだということです。

去年秋からことし春にかけての昨シーズンは、処分されたニワトリなどの数がおよそ1771万羽と過去最多となっていて、卵の価格が上昇するなどの影響が出ました。

農相 “今回の地域以外発生のおそれ 発生とまん延防止対策を”

農林水産省は25日対策本部を開きました。

この中で、宮下農林水産大臣は「今シーズンも今後、今回の地域以外でも発生するおそれがある。全国の養鶏業者や関係者には、改めて農場の衛生管理がしっかり行われているか確認していただき、発生予防とまん延防止に万全の対策を行っていただきたい」と述べました。

そのうえで、感染が確認された養鶏場でのニワトリの処分の実施や、感染拡大防止のため、養鶏場周辺で消毒を強化し主要道路への消毒ポイントを設けるなどの措置を行い、速やかに対応していく方針を確認しました。

“政府一丸で感染拡大防止に万全の対応を”

政府は25日午後、総理大臣官邸で松野官房長官や宮下農林水産大臣らが出席して関係閣僚会議を開きました。

この中で松野官房長官は、岸田総理大臣から、
▽関係各省が緊密に連携して徹底した防疫措置を迅速に進めるほか、
▽国民に対して正確な情報を迅速に伝えるよう指示があったことを報告しました。

また、昨シーズンは世界的に感染が確認され、日本では、およそ1771万羽が処分されたことに触れ、今シーズンも、今後ほかの地域でも発生するおそれがあると指摘しました。

そして、「養鶏農家に対する衛生管理の徹底など、発生予防措置について改めて全国の自治体など関係機関にも注意喚起の徹底をお願いするとともに、関係各省が緊密に連携し、政府一丸となって感染拡大防止のため緊張感をもって万全の対応をとってほしい」と述べました。

専門家「来年の春ごろまではどこでも発生しうる」

今シーズン初めて養鶏場で鳥インフルエンザが発生したことについて、北海道大学の迫田義博教授は「先月上旬からさまざまな場所で野鳥からウイルスが検出され始めていたので、養鶏場などにウイルスが持ち込まれるリスクが高まっている状態だった」と述べました。

また、初めて4シーズン連続の発生となったことについて「ウイルスは渡り鳥を介して拡散するが、ここ数年、ヨーロッパやアメリカ大陸などで世界的な感染拡大が起きている。国内でもこれからも毎年同じことが起きるのではないかと心配している」と話していました。

そのうえで、今後の見通しについて「全国的に野鳥からウイルスが検出されているので、来年の春ごろまではどこでも発生しうる。過去最多の処分数となった去年の教訓を生かして、1件でも発生が減るように対応してもらいたい」と警戒を呼びかけました。