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【詳細】ハマス 人質24人を解放 戦闘休止後初
戦闘の休止に続き、最初の人質が解放されたことで、このまま合意の履行が着実に進むのか注目されます。
※イスラエルやパレスチナに関する動きを随時更新でお伝えします。
目次
パレスチナ人の子どもや女性39人釈放
イスラエルとハマスの間で戦闘の休止にともなって24日、イスラエルの刑務所に収容されていたパレスチナ人の子どもや女性39人が釈放されました。
NHKのムーサ・シャエルカメラマンが25日未明、パレスチナ暫定自治区のベツレヘムで撮影した映像では、難民キャンプに住む大勢の人がこの日、釈放されたファティマ・シャヒンさんを出迎える様子が映っています。
釈放されたシャヒンさんはことし4月から収容されていたということです。父親のイスマイルさんは「私たちはこの数日間、緊張して待っていました。彼女が釈放されたことを喜んでいますが、喜びもわずかです。何千人もの人が犠牲になっているガザ地区の悲惨な状況を無視することができないからです」と話していました。
また、シャヒンさんは「私を愛してくれている人たちと再会できた気持ちをことばにすることができません。すべての囚人が釈放されることを願っています」と訴えていました。
戦闘休止2日目もエジプトから支援物資載せたトラック ガザ地区へ
イスラエルとガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスによる戦闘休止が2日目を迎える中、25日も、隣国エジプトから支援物資を載せたトラックの車列がガザ地区に入っています。
エジプト政府によりますと、前日の24日には野外病院を設置するための資機材の搬入が認められたほか、その病院で働くスタッフもガザ地区に入ることができたということです。
一方で、けが人など合わせて32人がガザ地区からエジプトに入り、一部の人は治療のため、トルコとUAE=アラブ首長国連邦に搬送されたとしています。
そのうえで、「ガザ地区の同胞に対する人道危機の悪化を防ぐために、エジプト政府は努力を続ける」としています。
ハマス側 合意めぐりけん制も
ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスの政治部門の幹部が25日、中東の衛星テレビ局アルジャジーラの取材に応じ、ガザ地区への支援物資の搬入をめぐって、「支援物資をガザ地区の北部に届けさせないのであれば、合意そのものが危機に陥りかねない」としてけん制しました。
また、24日の戦闘休止期間中にイスラエル軍がガザ地区の複数の場所で発砲し、2人が死亡したと主張し、合意に違反するとしてイスラエルを非難しています。
ただ、この幹部は「新たな合意の実現を模索する準備がある」とも述べていて、仲介役のカタールやエジプトを通じて、戦闘休止期間終了後の対応などをめぐり、協議に応じる姿勢も示しました。
解放されたイスラエル人 4歳の女の子「おうちに帰る夢を見た」
ハマスに拘束され、24日解放されたイスラエル人の人質の様子について、写真や動画が公開されました。
このうち、病院の廊下で撮影された動画では、解放された9歳の男の子が迎えに来た父親を見つけ、右手をあげてあいさつをしたあと、走って駆け寄っていき、抱き締められているのが確認できます。
続いて、男の子と一緒に解放された母親と祖母も次々と家族に抱き締められ、再会を喜んでいました。解放された3人は元気だということですが、いまだにガザ地区で人質になっている親族もいるということです。
また、別の動画では、解放された4歳と2歳の女の子と母親が病院のベッドの上で、久しぶりに再会した父親と過ごす様子が写されています。4歳の女の子は「おうちに帰る夢を見た」と話すと、父親は「いまに夢が叶うよ、もうすぐ私たちのおうちに帰れるよ」と女の子を抱き締めながら答えていました。
さらに、別の写真では、解放された6歳の女の子が迎えに来た祖母に抱き締められている様子も確認できます。
イラン大使館“タイ人解放を促した”
イスラム組織ハマスに拘束されていたタイ人の人質10人が解放されたことを受けて、タイにあるイラン大使館は25日、声明を出し、「タイ外務省から人質の解放を後押しするよう要請を受けた。イラン政府の代表団がレバノンのベイルートを訪問した際に人質のリストをハマス側に渡して解放を促し、受け入れられた」として、イランが仲介役を担ったと主張しました。
イランとしてはみずからが後ろ盾となってきたハマスに対し、影響力を持つことを誇示するねらいがあるとみられます。
イスラエル人の人質が到着の病院で人々が歓声
ロイター通信は25日、ハマスに拘束されていたイスラエル人の人質が乗ったヘリコプターが病院に到着する様子を撮影した映像を配信しました。
映像には解放されたイスラエル人の人質を乗せたヘリコプターがイスラエルの中部にある病院に到着する中、イスラエルの国旗を手に持ち、歓声を上げて喜ぶ人たちの様子が写っています。
解放された人質に声援を送りたいと訪れた女性は「到着した子どもや大人たちを出迎えたくてきました。とても興奮しています。人質全員が早く家に帰れるように祈っています」と話していました。
ロイター通信 釈放されたとするパレスチナ人の映像を公開
ロイター通信は24日、イスラエルの刑務所から釈放されたとするパレスチナ人の様子を伝えました。
ヨルダン川西岸で撮影された映像には、刑務所から釈放された娘を母親が抱きしめ、涙を流しながら再会を喜ぶ姿が写っています。
また、大勢の人が集まるなか、釈放された人たちがパレスチナの旗を振って釈放を祝う様子が確認できます。
娘の釈放を待ち望んでいたという男性は「私たちはこの数日間、緊張して待っていました。彼女が釈放されたことを喜んでいますが、喜びもわずかです。何千人もの人が犠牲になっているガザ地区の悲惨な状況を無視することができないからです」と話していました。
釈放された女性は「私を愛してくれている人たちと再会できた気持ちをことばにすることができません。すべての囚人が釈放されることを願っています」と訴えていました。
カタール外務省 解放された24人 ICRCへの引き渡し確認
イスラエルとハマスの仲介にあたってきたカタールの外務省は、4日間の戦闘休止の期間に入った24日、ガザ地区でハマスに拘束されていた人質のうち、イスラエル人13人のほかタイ人などを含むあわせて24人の人質が解放され、ICRC=赤十字国際委員会に引き渡されたことを確認したと発表しました。
イスラエル人13人はハマスが合意に基づき段階的に解放するとしていた50人の人質の第1陣ということで、このうち、8人を受け入れた病院はいずれも「体調は良好だ」とした上で、詳しい健康状態の確認を進めるとしています。
OCHA “支援物資載せたトラック137台がガザ地区に”
ガザ地区の人道状況の改善に向け、OCHA=国連人道問題調整事務所は24日、支援物資を載せた137台のトラックがガザ地区に入ったと発表しました。
双方による衝突が始まった先月7日以降、最大規模だとしています。
イスラエル “解放予定の人質リストを受け取った”
イスラエル軍は25日にハマス側が解放を予定している人質のリストを受け取ったことを明らかにしました。
イスラエルの有力メディアによりますと、イスラエル側はこのリストをもとに釈放するパレスチナ人の囚人のリストをハマス側に送るということです。
ハマスが人質を解放する時間については現地時間の午後4時、日本時間の午後11時前になる可能性があると伝えていて、4日間の戦闘休止の期間のうち2日目となる25日もこのまま合意の履行が着実に進むのかが焦点です。
タイ “解放された人質は10人”と訂正
タイ外務省は24日、イスラム組織ハマスに拘束されていた人質のうち、タイ人の人質12人が解放されたと発表しましたが、25日になって、解放された人質は10人だったと訂正しました。
また、依然としてガザ地区で人質となっているタイ人は20人であることもあわせて発表しました。
タイ外務省 解放された人質の写真 公開
このほか、タイ外務省は解放されたタイ人の人質の様子をとらえた写真あわせて3枚を25日に公開しました。
このうち2枚はイスラエルの病院で撮影されたというもので、医療関係者らとともに親指を立ててほほえんでいる男性の様子を写したものと、胸の前で手を合わせて、感謝の意を示す女性の様子を写したものがあります。
もう1枚は解放された男性9人と女性1人がタイ政府の関係者とともに写っている集合写真で、解放された男性はみな緑色の上着を着ていて笑みを浮かべる人も確認できます。
イスラエル人13人のほかタイ人など24人が解放
イスラエルとハマスの仲介にあたってきたカタールの外務省報道官は24日、ガザ地区でハマスに拘束されていた24人の人質が解放され、ICRC=赤十字国際委員会に引き渡されたことを確認したと発表しました。
解放された人質は、
▽13人がイスラエル人、
▽10人がタイ人、
▽1人がフィリピン人で、
イスラエル人の中には複数の国籍を持つ人もいるとしています。
タイ政府はタイ人12人が解放されたと発表していますが、カタール政府は解放されたタイ人は10人だとしています。
イスラエルとハマスの間で24日午前7時、日本時間の24日午後2時から4日間の戦闘休止が始まってから人質が解放されるのは初めてです。
このうち、イスラエル人13人はハマスが合意に基づき段階的に解放するとしていた50人の人質の第1陣ということです。
【動画】ハマスが公開した人質解放の様子
イスラム組織ハマスは24日、イスラエルとの間で合意した人質の解放の様子を記録した動画を公開しました。
動画では覆面をしたハマスの戦闘員たちがタイ人とみられる人質の男性たちをICRC=赤十字国際委員会のスタッフに引き渡す様子がうつっています。
また、子どもや高齢の女性を抱きかかえて車に乗せる様子もあり、人質となっていた人たちを丁寧に扱っていることをアピールするねらいがあるとみられます。
イスラエル軍「すべての人質を取り戻すまで作戦続ける」
イスラエル軍は24日、声明を発表し、解放された人質はイスラエル国内にいるとしたうえで、健康状態を確認するとしています。
そのうえで、「イスラエル軍は解放された人質たちに敬意を表し、歓迎する。すべての人質を取り戻すまで作戦を続ける」としています。
また、イスラエルのネタニヤフ首相は24日、「最初の人質の帰還を完了したが、人質は全員取り戻すと強調したい。これは戦争の目的の一つであり、われわれはすべての目的を達成する」と述べ、人質全員の奪還を含め軍事作戦を続ける考えを重ねて強調しました。
戦闘休止期間に入ってからは、イスラエル軍とハマスの間での戦闘は伝えられていませんが、ガザ地区には依然、イスラエル軍が展開し、ガラント国防相は地元メディアに対して、今回の戦闘の休止は短いものにすぎず、戦闘はさらに2か月続くとの見方を示しています。
戦闘の休止に続き、最初の人質が解放されたことで、このまま合意の履行が着実に進み、支援物資の搬入の拡大も含め、ガザ地区の人道状況の改善につながるかも注目されます。
解放された13人は
イスラエル首相府は解放された13人の人質の名前と年齢を公表しています。
それによりますと、
▽10歳未満の子どもが4人、
▽30代が1人、
▽40代が1人、
▽50代が1人、
▽70代が5人、
▽80代が1人となっていて、最年少は2歳、最年長は85歳です。
イスラエルの有力メディアハーレツによりますと、男性は9歳の男の子1人でそのほかは全員女性とみられます。
このうち、44歳の母親と5歳の娘は、ガザ地区との境界近くに住む親族の家を訪ねていたところ、ハマスの戦闘員に拘束されたということで、母親の妹とその夫、それに、妹夫婦の3歳の双子の娘はいまも人質となったままだと伝えています。
ほかにも、解放された人たちのなかにはいまも家族が人質になっていたり、先月7日のハマスによる襲撃で夫やきょうだいが殺されたりした人がいるということです。
イスラエル 人質受け入れ先の病院会見「体調は良好」
解放されたイスラエル人の人質の受け入れ先となっている2つの病院が24日、それぞれ記者会見を行いました。
このうち、4人の子どもを含む合わせて8人を受け入れている病院の院長は「体調は良好だ」とした上で、近隣の病院の協力も受けながら詳しい健康状態の確認などを進めるとしています。
イスラエル保健省の担当者は「私たちはみな、帰りを心待ちにしていました。この日を迎えることができて感無量です」と述べ、喜びを語っていました
ラファ検問所に赤十字の旗掲げた車列 車内から手を振る人も
日本時間の25日午前0時45分ごろ、ガザ地区南部のエジプトとの境界にあるラファ検問所付近の映像では、赤十字の旗を掲げた車列が検問所の施設に向かって走って行く様子が確認されました。
それぞれの車内には複数の男性や女性の姿が見られ、外に向かって手を振っている人もいました。
アメリカのCNNテレビなどは人質を移送している車列だと伝えています。
また、日本時間の25日午前1時30分ごろ、ガザ地区南部のエジプトとの境界にあるラファ検問所付近のエジプト側で撮影された映像では、大型のバス1台と20台以上の救急車が待機しているのが確認できます。
そして、複数の幼い子どもを含む10人以上がバスに乗り込み、日本時間の25日午前1時40分ごろ、敷地を出発しました。
赤十字国際委員会は、ガザでとらわれている人質と拘束されているパレスチナ人の解放と移送を進めるため、数日間に渡るオペレーションを24日開始したと明らかにしていました。
その後、イスラエル軍は、解放された人質を乗せたバスや複数の救急車が境界を越えてイスラエル国内に入る様子だとする映像を公開しました。
解放された人質たちはこのあと、イスラエル国内の病院に向かい、それぞれの家族と面会するということです。
カタール外務省「パレスチナ人 39人の釈放を確認」
また、カタール外務省の報道官はイスラエルの刑務所に収容されていたパレスチナ人の39人の釈放を確認したと、24日、SNSで明らかにしました。
この39人は女性と子どもだということです。
ロイター通信はこれまでに、パレスチナ側の話として、39人の内訳について24人が女性で、15人が10代の男性と伝えていました。
【動画】“人質解放” 家族らが歌や踊りで歓喜
イスラエル最大の商業都市テルアビブの広場ではガザ地区で拘束されていた人質の解放が伝えられると、集まった人たちが歌を歌うなどして喜んだり、さらなる解放を願ったりしました。
広場では人質が解放される予定の時刻に合わせて、家族や友人などが参加した集会が開かれ、テレビが設けられた場所では、ニュースを食い入るように見つめる人もいました。
そして、人質の解放が伝えられると、集まった人たちは輪になって歌ったり踊ったりして喜びを表したほか、さらなる解放を願いろうそくに火をともして並べるなどしました。
息子がガザ地区近くのコンサート会場から連れ去られた男性は「私たち人質の家族は一つの大きな家族のような関係になったので、きょうの解放はもちろんとてもうれしい。だけど、その中に私の息子が含まれていないのは複雑な気持ちです。戦争が早く終わって、人質全員が帰ってきてほしい」と話していました。
また、友人とその2人の子どもが人質にとられている女性は「全員が元気に戻ってくることを願っています。最後の一人が帰ってくるまで心から喜ぶことはできませんが、きょうはその始まりです」と話していました。
ガザ地区での死者1万4854人 イスラエル側は約1200人
イスラム組織ハマスが実効支配するガザ地区の当局は、一連の衝突でガザ地区で少なくとも1万4854人が死亡したと23日、発表しました。
一方、パレスチナの保健当局は通信状況の悪化などで情報の更新ができていないとしていて、死亡した人の数を発表していません。
一方、イスラエル側ではこれまでにおよそ1200人が死亡しています。
国連 支援物資搬入 “戦闘始まった先月7日以降で最大”
OCHA=国連人道問題調整事務所は24日、イスラエルとハマスの戦闘休止を受け、137台のトラックがガザ地区に支援物資を搬入したと発表しました。
両者による戦闘が始まった先月7日以降、最大だとしています。
また、およそ13万リットルの燃料のほか、調理用のガスを積んだトラック4台もガザ地区に入ったということです。
OCHAは「人道的な戦闘の休止でガザ地区全域での人道支援を拡大することができた。24人の人質の解放を歓迎するとともに、すべての人質を即時に無条件で解放することを改めて求める」とした上で、今後、数日間、ガザ地区での支援活動を強化するとしています。
戦闘休止期間の合意に基づく人道支援物資の搬入をめぐっては、ハマスなどは1日当たり、
▽支援物資と医薬品を積んだトラックが200台、
▽13万リットルの燃料、
▽それに調理用のガスを積んだトラック4台が搬入される予定だとしています。
バイデン大統領 25日以降も人質が解放されるとの見方示す
アメリカのバイデン大統領は24日、滞在先の東部マサチューセッツ州で記者会見を開き、人質の解放を歓迎した上で、「これは始まりにすぎない」と述べ、戦闘の休止期間の2日目となる25日以降も人質が解放されるとの見方を示しました。
今後、数日間で、数十人の人質が解放される見通しだとしています。
バイデン大統領は「われわれは人質の所在が明らかになり、すべての人を取り戻すまで取り組みを続ける」と述べ、引き続き、イスラエルやカタール、それにエジプトとともにすべての人質解放に向けて取り組む考えを強調しました。
また、記者団から戦闘の休止期間が延長される可能性を問われると、バイデン大統領は「その可能性はあると思う」と述べました。
イスラエル軍 “25日解放予定の人質リスト ハマスから受け取る”
イスラエル軍は24日、戦闘の休止から2日目となる25日にハマス側が解放を予定している人質のリストを受け取ったことを明らかにしました。
イスラエルの有力メディア ハーレツによりますと、イスラエル側はこのリストをもとに、釈放するパレスチナ人の囚人のリストをハマス側に送るということです。
また、25日にハマスが人質を解放する時間について、イスラエル側は現地時間の午後4時、日本時間の午後11時前になるとみていると伝えています。