死んでいたクマのDNA鑑定で遺体の男子大学生襲撃と特定 北海道

今月、北海道南部の山で遺体で見つかった男子大学生について、警察は近くで死んでいたクマのDNA鑑定などを行った結果、このクマに襲われたことが特定されたと明らかにしました。

今月2日、北海道福島町などにまたがる大千軒岳の山中で、登山のため訪れていた22歳の男子大学生が遺体で見つかり、近くではクマ1頭が死んでいるのも見つかりました。

警察はDNA鑑定を行うなど詳しく調べた結果、大学生が近くで死んでいたクマに襲われたことが特定されたと24日、明らかにしました。

このクマは大学生のほかにも消防署員のグループを襲って2人にけがをさせていたことが分かっていて、現地調査にあたった北海道立総合研究機構によりますと、クマは消防署員から刃物で撃退されたときに負った傷がもとで死んだとみられるということです。

大学生の死因は特定されていませんが、北海道によりますと、道内で登山中にクマに襲われて亡くなったとされた場合は、53年前の1970年に北海道の中札内村で登山中の大学生3人がクマに襲われ亡くなって以来だということです。

警察や町は、山に入る際は複数人で行動し、鈴やラジオなど音の出る物や、クマよけのスプレーを携行するよう呼びかけています。

ことしのクマ被害 24日までに211人 うち6人死亡 過去最悪

クマに襲われてけがをするなど被害にあった人の数をNHKがまとめたところ、24日までに少なくとも19の道府県で211人に上りうち6人が死亡しています。

環境省のまとめによりますと、ことし4月から10月までにクマによる被害にあった人の数は合わせて180人に上っています。

また、NHKが各地域局の取材をもとに集計したところ、10月までにさらに2人がクマの被害にあっていたほか、11月の被害は24日までに少なくとも29人で、10月までの集計と合わせると211人に上り、このうち6人が死亡しています。

環境省が統計を取り始めて以降、最も多い158人の被害が出た2020年度の1年間をすでに50人以上も上回り、被害にあった人の数と死亡した人の数、いずれも過去最悪の被害となっています。

道府県別に見ますと
▽秋田が70人で最も多く
▽岩手が47人
▽福島が14人
▽青森が11人と
東北地方で被害が多くなっています。

このほか
▽長野で11人
▽新潟で10人
▽北海道で9人
▽富山で9人
▽岐阜で7人
▽山形で5人
▽群馬で4人
▽宮城で3人
▽石川で2人
▽福井で2人
▽山梨で2人
▽島根で2人
▽栃木で1人
▽三重で1人
▽京都で1人と
19の道府県で被害が出ています。

例年、クマが冬眠に入る12月ごろにかけて各地で被害が相次いでいることから、国や自治体、専門家が被害を防ぐ対策の徹底を呼びかけています。