去年の政治資金 収入総額1067億円 前年比7%余増 総務省

総務省が公表した去年1年分の政治資金収支報告書によりますと、政党や政治団体の収入総額は1067億円で、新型コロナの行動制限が緩和される中、政治資金パーティーが増えたことなどから、前の年より71億円、率にして7%余り増えました。

総務省は、政党や活動範囲が複数の都道府県にまたがる政治団体が提出した去年1年分の政治資金収支報告書を取りまとめ、24日公開しました。

それによりますと、提出があった2984団体の収入の総額は1067億円で、前の年より71億円、率にして7.1%増えました。

内訳は、政治資金パーティーや機関紙の発行などの「事業収入」が341億円、国からの「政党交付金」が315億円、個人献金や企業・団体献金などの「寄付」が163億円などとなっています。

このうち政治資金パーティーは、コロナ禍の影響を受けていたおととしと比べて57多い335団体が開催して、収入額は82億円と21億円増えていて、収入総額が増えた要因の1つとなっています。

これに対し、支出の総額は1058億円で、おととしよりも10億円、率にして1%増えました。

内訳をみますと、去年は参議院選挙が行われたことからポスターやパンフレットの作成といった「宣伝事業費」が94億円で、前の年の3倍以上になりました。

一方で、公認推薦料などの「選挙関係費」は31億円減って50億円となりました。

これは、おととし行われた衆議院選挙に比べ、参議院選挙は候補者が少ないことなどが要因とみられます。

政党本部の収入は多い順に、

▽自民党が248億6000万円で、前の年より5億1000万円増えました。

次いで、▽共産党が191億円で、5億円減りました。

政党交付金は受けておらず、収入の9割近くを機関紙の発行などの「事業収入」が占めています。

▽公明党は135億1000万円で、16億8000万円増えました。

▽立憲民主党は91億7000万円で、7億2000万円増えました。

▽日本維新の会は43億9000万円で、19億7000万円増えました。

▽国民民主党は17億9000万円で、6億9000万円減りました。

▽去年7月に政党になった参政党は、15億9000万円でした。

▽れいわ新選組は7億8000万円で、2億6000万円増えました。

▽社民党は5億1000万円で、4000万円減りました。

▽「みんなでつくる党」に党名を変更した「政治家女子48党」は5億円で、8億1000万円減りました。

収支報告書の記載義務とは

政治資金規正法は、政治団体に対し、年に一度、収支報告書を提出することを義務づけています。

収支報告書には、その年の12月31日までの1年間の収入と支出、それに資産などを記載し、原則、次の年の3月末までに、都道府県の選挙管理委員会か総務大臣に提出することになっています。

具体的には、同じ人や団体から年間5万円を超える寄付や、1回の政治資金パーティーで20万円を超える支払いを受けた場合は、名前や金額などを記載しなければならないとされています。

広島選管委 政資収支報告書をネット上でも公表

広島県選挙管理委員会は、これまで窓口での閲覧などに限っていた政治資金収支報告書について、去年1年間分の報告書を24日からインターネット上でも公表しました。

政治資金収支報告書をめぐっては総務省が都道府県にインターネット上での公表を促す通知を出していましたが、これまで県選挙管理委員会は人員不足などを理由に対応せず、報告書を見るには、県庁を訪れるか、有料で写しを請求する方法しかありませんでした。

一方、広島県では河井克行元法務大臣の実刑判決が確定した4年前の参議院選挙をめぐる大規模買収事件を受けて、政治とカネの問題への関心が高まり、報告書のインターネット上での公表を求める声も出ていました。

こうした中、県選挙管理委員会は他県の状況なども踏まえ、これまでの方針を転換し、24日から去年分の報告書をホームページで公表しました。

公表期間は3年間で、引き続き県庁での閲覧や写しの交付も行われます。

広島県選挙管理委員会の末平顕雄事務局長は「インターネットでの公表に向けた検討は続けていたが、公表時期に選挙が重なるなどしてできていなかった。市民から利便性に欠けるとの声も寄せられており、全国的な状況も踏まえ政治資金の透明性を高めるべく見直しを行った。市民が関心を持つことは政治への監視にもなるので、ぜひ意識して見ていただきたい」と話しています。