北朝鮮 南北軍事合意で中止の軍事的措置を即時再開と発表

北朝鮮は23日、2018年の南北軍事合意によって中止していたすべての軍事的措置を即時、再開させると発表しました。韓国政府は軍事合意の効力を22日一部停止し、軍事境界線付近での北朝鮮に対する監視・偵察活動を再開させていてこれに反発した形です。

北朝鮮国防省は23日、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」などを通じて声明を発表し、北朝鮮軍は今後、2018年に結んだ南北の軍事合意書に拘束されないと表明した上で、合意によって中止していたすべての軍事的措置を即時、再開させるとしています。

具体的には、陸海空すべてにおいて、軍事的な緊張と衝突を防止するために講じた措置を撤回するとともに「軍事境界線の付近により強力な武力と新型の軍事装備を配置する」ということです。

その上で南北の間で取り返しがつかない衝突が発生した場合、「『大韓民国』が全面的に責任を負うことになる」と一方的に主張しています。

2018年の南北軍事合意をめぐって、韓国政府は、北朝鮮による21日の軍事偵察衛星の打ち上げを受けて22日、効力を一部停止し、軍事境界線付近での北朝鮮に対する監視・偵察活動を再開させていました。

北朝鮮としては、韓国側の対応への対抗措置を示し反発した形です。

韓国 “北朝鮮側が南北軍事合意の破棄宣言”

北朝鮮国防省の23日の発表について、韓国のシン・ウォンシク国防相は、23日に開かれた国会の国防委員会で「合意の破棄を宣言したものだ」と述べ、北朝鮮側が2018年の南北軍事合意の破棄を宣言したという見解を示しました。

また、韓国政府が22日、軍事合意の効力を一部停止したことに関連して「仮に北が韓国による合意の一部効力停止を口実に挑発を強行すれば、直ちに強力に懲らしめる」と述べました。

2018年の軍事合意をめぐって、韓国政府はこれまでに、北朝鮮が海上への砲撃や無人機による領空侵犯など、軍事合意の違反を繰り返し、合意を有名無実化させてきたと指摘しています。

国連安保理の緊急会合 27日開催で調整

国連の外交筋によりますと、北朝鮮による21日の発射を受けて、日本やアメリカなどが対応を協議する国連安全保障理事会の緊急会合の開催を、今月の議長国の中国に要請し、来週27日に開催する方向で調整が進められているということです。