円安で留学費用に影響 ワーホリ人気すぎて仕事就けないことも

円安が海外に留学する学生にも影響していて、中には費用の懸念から留学を断念したり、期間を短縮したりする人も出ています。

留学を支援している「留学ジャーナル」によりますと、ことし10月の相談件数はおよそ850人と、コロナ禍前の8割ほどにとどまっているといいます。

その背景にあるのが円安です。

例えば、カナダへ留学する場合、これまでは1年間の費用が200万から300万円というケースが多かったのが、最近は100万円近く上積みされるケースも出ているそうです。

相談者の中には、費用面の懸念から留学を断念したり、期間を1年から半年に短縮したりする人もいるということです。

留学ジャーナル 加藤ゆかり副社長

留学ジャーナル 加藤ゆかり副社長
「影響が特に大きいのは長期留学で、円安が1円進むだけでもかなり違ってきます。留学にかかる予算を計算する私たちが驚くこともあります」

そのうえで学生に向けては次のようにアドバイスしています。

「学生の留学に奨学金を創設する民間企業も出始めているので、どういった支援制度があるか事前に調べてほしい」

現在 留学中の学生は…

円安の影響は留学中の学生にも及んでいます。

秋田県の国際教養大学大3年の越智ひかるさん(21)は、ことしの8月から1年間の予定でオランダに留学しています。

国際教養大学では、すべての学生が在学中、1年間留学することを義務づけられていて、越智さんもことし2月にオランダに留学することを決めました。

しかし、2月は1ユーロ140円台前半でしたが、11月は160円台前半まで円安が進んでいます。

毎月6万円を仕送りしてもらっていますが、現地は物価も高く、家賃も含めた生活費は1か月20万円ほどかかっているといいます。

このため越智さんは留学の2か月前にオランダで開設した口座に入金していたお金を切り崩しながら節約した生活を心がけているということです。

オランダに留学中の越智ひかるさん

越智さん
「生活費は日本の1.5倍から2倍ぐらいになっています。食事はほぼ自炊で、早起きしてサンドイッチを作り学校に持参しています。洋服もオランダでは一切買わないつもりです」

毎日しているという自炊

また、調理器具や自転車など必要なものはなるべくリサイクルショップで買いそろえたほか、通信費用を抑えるため課題は自宅ではなく大学で調べるようにしているということです。

越智さん
「これ以上円安が続いたら生活が厳しい気がします。日本でできない経験ができるので、留学は大きな意味があると思いますが、円安じゃなければもう少し気持ちが楽でした」

ワーキングホリデー人気も注意が必要

円安で留学費用の負担が増えるなか、働きながら経験が積めるワーキングホリデーが人気となっています。
一方、希望者が増えた結果、希望する仕事に就けないケースも出ているということで、留学支援サービスを手がける会社は早めに計画を立ててほしいと話しています。

働きながら海外体験できるワーキングホリデーの行き先は、ことし8月時点でオーストラリアやニュージーランド、カナダ、韓国など30か国近くにのぼっています。

都内で留学支援サービスを手がける会社によりますと、ことし10月までにワーキングホリデーで海外に行った人は1200人あまりと、去年のおよそ3倍、コロナ禍前の2019年のおよそ4倍に増えているということです。

この会社では毎週、説明会を開いていますが、毎回、定員はいっぱいで、人気のオーストラリアの場合、日本円で時給2000円を超える仕事もあるといいます。

株式会社リアブロード 神田慎社長

株式会社リアブロード 神田慎社長
「円安で語学学校の授業料や生活費などの金額が上がっていて、“出稼ぎ留学”という形になっている」

一方で、急激な人気の高まりによる影響も出ているといいます。

この会社では、語学学校の手配や宿泊先、ビザの手配などを支援していますが、希望どおりの時期にワーキングホリデーに行けなかったり、宿泊先で一人部屋を希望しても相部屋になったり、寮になったりするケースも出ているということです。

また、海外での働き先は参加者が自分で探すことになっていますが、条件がいい仕事は競争率が高く、複数に応募しても採用されない人もいて、希望どおりの条件で働けないケースも出ているそうです。

神田社長
「すべてのお客様が描いているどおり、理想どおりにいかないという事実はあります。準備期間をある程度、余裕を持ってほしい」