「階段王」目指す会社員 ステアクライミングで世界一へ

皆さん、「ステアクライミング」という競技をご存じですか?
超高層ビルなどの階段をかけあがり、その速さを競います。

現在、世界15か国以上で行われていて、この競技の世界選手権が先日初めて大阪で開催されました。

そこでの優勝、「階段王」を目指した日本人選手に密着しました。

「階段王」目指す会社員の名は

「こんにちは、階段王になる男、渡辺良治です」

この競技の日本チャンピオン、渡辺良治選手 39歳。
日本で開催される世界選手権で初めての優勝を目指しています。

“劣っている人間”だからこそ「何かで一番になりたい」

渡辺さんがこの競技を始めたのは「何かで一番になりたい」という強い気持ちがきっかけでした。
10代の頃は卓球。
大人になってからはボクシングに打ち込みました。
しかし、どちらも夢を果たせませんでした。

渡辺良治選手
「どうしても比べてしまって劣っている人間なんだって、やっぱり暗い気持ちになりましたよね」

転機となったのは7年前。
初めて出たステアクライミングの国際大会で、なんと3位に入賞します。

苦しいことに耐える競技は自分に向いているのではないかと手応えを感じ、この競技にのめり込でいきました。

階段をつくる会社に転職も

ことし4月、階段をつくる会社に転職。
階段を駆け上がる大会での実績が評価され、実業団選手として会社で働きながら世界一を目指し、職場の休憩時間でもトレーニングに励んできました。

念願の“世界一”に向けて60階を駆け上がる

そして、初の世界一を目指して挑んだ世界選手権。

決戦の舞台は「あべのハルカス」です。

地上から60階。およそ300m分の階段を駆け上がります。

9か国から13人の健脚自慢が出場。

渡辺選手、スタートダッシュに成功しました。

17階で、すでに後続に大きく差をつけます。

しかし後半、疲れも見えてきました。

渡辺良治選手
「自分はすごい人間なんだって何でもできるんだっていうのが自信じゃなくて、そこにたどりつくまでにどれだけ練習取り組めたか」

スタートから8分53秒。1着でのゴール。

後続に30秒以上の差をつけて、念願の“世界一”をつかみました。

渡辺良治選手
「結果として、一番となれれば最高にうれしいんですけども、良くなかったとしても目標に向かって、夢を目指して全力で頑張っていくっていうこと自体が、かっこいいなと。挑戦は続けていきたいなと思います」