JR東日本 利用少ない62区間で総額648億円の赤字 人口減少背景

人口減少で地方鉄道の赤字が続く中、JR東日本は利用が特に少ない62区間の昨年度の収支を公表し、赤字の総額は前の年度とほぼ同じ648億円となりました。

JR東日本は、災害や工事などの影響を受けている区間を除き、1日平均で何人運んだかを示す「輸送密度」が2000人未満の34路線62区間の昨年度の収支を公表しました。

それによりますと対象の区間はすべて赤字で、赤字の総額は前の年度とほぼ同じ648億円となりました。

沿線の人口減少を背景に、厳しい経営状況が続いています。

区間別で赤字額が最も多かったのは、羽越本線の新潟県の村上駅と山形県の鶴岡駅の区間で、49億4600万円の赤字でした。

また、100円の運輸収入を得るためにいくらの費用がかかるかを示す「営業係数」は、千葉県の久留里線の久留里駅と上総亀山駅の区間で1万6821円と最も採算が悪くなりました。
100円の収入のために168倍の費用がかかっている計算です。

赤字が続く地方鉄道をめぐっては、自治体や鉄道事業者からの要請で、バスへの転換など交通手段の再構築について国が協議会を設置できることを盛り込んだ改正法が、先月施行されました。

JR東日本は、現時点で協議会の設置を国に要請する考えはないとしていて、今後も沿線の自治体などと地域の公共交通手段のあり方を議論する方針です。

利用者からは路線の存続 心配する声

赤字額が最も多かった羽越本線の新潟県の村上駅と、山形県の鶴岡駅の区間。
鶴岡駅前では、路線の存続を心配する声などが聞かれました。

特急「いなほ」を利用して、東京から帰省してきた20代の女性は「赤字路線と聞いて驚きました。帰省の時に利用しているので、もし路線がなくなったら困ります」と話していました。

また、鶴岡市内の高等専門学校に通う17歳の男子学生は「通学で使っていて、朝の時間帯は混雑しているので、赤字と聞いて意外でした。経営は厳しいかもしれないが、電車通学の人が多いので運行は続けてほしい」と話していました。