中国で事業拡大見込む日本企業 初めて3割下回る JETRO調査

JETRO=日本貿易振興機構が行った調査で中国での事業の拡大を見込んでいる日本企業が減少し、初めて3割を下回ったことがわかりました。一方で、インドやブラジルなどいわゆるグローバル・サウスで事業の拡大を見込む企業が目立っています。

この調査は、海外に進出している日本企業を対象にJETROが毎年行っていて、今回のことし8月から9月に行った調査では7632社が回答しました。

このうち、中国に進出している日本企業710社で、今後1年から2年で中国での事業の拡大を見込んでいると回答した企業は27.7%にとどまり、初めて3割を下回りました。

これまでの調査で回答した企業では、おととしは40.9%、去年は33.4%となっていて、この3年で急速に減少しています。

背景には、中国経済の先行きに不透明感が広がっていることに加え、EV=電気自動車の普及で、日本企業のシェアが高いガソリン車の市場が縮小している影響もあるものとみられます。

その一方で、今回の調査では、いわゆるグローバル・サウスで事業の拡大を見込んでいると答えた企業が目立ち、ブラジルやインドで自動車などの需要の拡大を見込んだり、南アフリカなどで周辺の市場開拓の拠点を設けたりする動きが進んでいるということです。

JETROの石黒憲彦理事長は記者会見で「中国経済はマクロ的に明らかに減速しているが、日本企業にとって中国市場は極めて重要だ。伸びるという意味で明るい見通しは持てなくても、重要なマーケットを守る意識が強い」と述べました。