NTT西日本子会社 情報流出 一部が貴金属販売業者で商品勧誘に

NTT西日本の子会社の元派遣社員が、自治体や企業などの個人情報、およそ900万件を不正に流出させた問題で、元派遣社員が名簿業者に売った情報の一部が東京の貴金属販売業者に売却され商品の勧誘に使われていたことが捜査関係者への取材で新たにわかりました。

いずれの業者も不正に流出した情報だとは認識していなかったと説明していて、警察は、この名簿業者や販売業者を関係先として捜索するなどして実態の解明を進めています。

約900万件の個人情報を不正に流出 任意で捜査

NTT西日本の子会社の会見(10月)

NTT西日本の子会社は、先月、「NTTビジネスソリューションズ」の元派遣社員が、ことし1月までの10年近くにわたって、業務の委託元の59の自治体や企業などが保有するおよそ900万件の個人情報を不正に流出させていたと発表し、岡山県警察本部は不正競争防止法違反の疑いで元派遣社員から任意で事情を聴くなどして捜査しています。

個人情報の一部 名簿業者から貴金属販売業者に売却

これまでの捜査で、元派遣社員が複数の名簿業者に個人情報を売って1000万円を超える現金を受け取った疑いがあることがわかっていますが、この情報の一部が、名簿業者から東京都内の貴金属販売業者に売却され、電話で商品を勧誘する際に使われていたことが捜査関係者への取材で新たにわかりました。

NHKの取材に対し、いずれの業者も不正に流出した情報だとは認識していなかったと説明していて、警察は、この名簿業者や販売業者を関係先として捜索するとともに、元派遣社員のパソコンを解析するなど、実態の解明を進めています。

東京都内の名簿業者 “不正流出した情報だと認識せず”

元派遣社員が情報を売却していた東京都内の名簿業者はNHKの取材に対し、不正に流出した情報だとは認識していなかったとしたうえで、「名簿の情報はさまざまな方法で手に入れており、いつ、どのくらいの量を購入したかは覚えていない」と話していました。

貴金属販売業者 “電話で営業するため情報を購入”

この名簿業者から情報を購入していた、東京都内にある貴金属販売業者がNHKの取材に応じました。

貴金属販売業者では、電話で営業をするためこの名簿業者から情報を購入したということです。

名簿業者から提示されるリストの中から
▽「着物の購入者」や、
▽「証券取引の経験がある人」などと希望を伝えると、数日後に住所や氏名、年齢、電話番号などの情報が記録媒体に入った状態で届く仕組みで、代金は1人あたり5円程度だったということです。

この貴金属販売業者は「健康食品の購入者」の名簿を購入し、電話で営業をしていたところ、去年春ごろに今回の問題でおよそ400万件が不正に流出した可能性がある岡山県鏡野町の健康食品の販売会社から、「うちの会社の名簿を使っているのではないか」と指摘を受けたということです。

その後、去年12月には岡山県警察本部の捜査員が訪れ記録媒体などが押収されたということです。

貴金属販売業者は、「出どころがあやしい名簿だとわかっていたら購入することはなかった。どういう経緯の名簿かは知らず、ずっと営業に活用してきたのでやり方を変えることは難しい。突然このようなことになり、驚くというよりも腹が立つ思いだ」と話していました。

流出した個人情報のうち約100万件 委託元依然わからず

「NTTビジネスソリューションズ」が入る建物

この問題では、NTT西日本の子会社、「NTTビジネスソリューションズ」でコールセンターシステムの運用保守業務を担当していた元派遣社員が2013年7月からことし1月にかけて10年近くにわたって情報を不正に持ち出していました。

会社側によりますとこの元派遣社員には顧客情報の入ったサーバーにアクセスする権限が与えられていて、サーバーから自身が業務で使用する端末に情報をダウンロードできるようになっていました。

そして、その端末にはUSBメモリなどの外部記録媒体を接続でき、情報を持ちだすこともできたということです。

去年4月にはマーケティング事業を手がけるNTT西日本の別の子会社に、取引先から情報流出の指摘があり、会社が調査をしたものの不正に気づけず、被害が拡大する要因となりました。

このため会社側は端末にUSBメモリなどを接続できないようにするなどの当面の対策を行ったうえで、今後、抜本的な対策を行うとしています。

一方、流出したおよそ900万件の個人情報のうちおよそ800万件はコールセンターの業務を委託した59の自治体や企業が保有する情報だったことがわかっていますが、流出した個人情報のうちおよそ100万件については依然として委託元がわかっていません。

NTTビジネスソリューションズによりますと、これらのデータの中には委託元の情報が含まれておらず、客の住所などから対象を絞る必要があるため、特定に時間がかかっているということで、委託元が特定できしだい、結果を公表するとしています。