大阪のグミ製造工場に立ち入り検査 厚労省 麻薬取締部

大麻に近い成分の名前が表示されているグミを食べた人が相次いで体調不良を訴えている問題で、厚生労働省の麻薬取締部は、これらのグミに法律で規制された指定薬物と同じような毒性がある疑いがあるとして、21日に大阪の会社のグミの製造工場を立ち入り検査しました。

立ち入り検査を受けたのは、グミを製造した大阪 北区の会社「WWE」の市内にある工場です。

会社が製造したグミの袋には「HHCH」=ヘキサヒドロカンナビヘキソールという法律で規制されていない大麻に近い成分の名前が書かれていて、これらのグミに法律で規制された指定薬物と同じような毒性がある疑いがあるということです。

立ち入り検査は医薬品医療機器法に基づくもので、麻薬取締部は工場に在庫がどの程度あるか把握するとともに、幻覚などの健康被害を引き起こす成分が含まれていないか調べることにしています。

麻薬取締部は20日に大阪の会社を立ち入り検査していて、関係先から法律で規制された指定薬物と同じような毒性があるとみられるグミが見つかったとして、成分の検査結果が出るまでのあいだ、販売を停止するよう会社に命令を出しています。

東京や大阪では、ことしに入ってから、この会社が製造している同じグミを食べた人が病院に搬送されるなど体調不良を訴えるケースが相次いでいます。

麻薬取締部 全国各地の店舗も立ち入り検査

この問題で、厚生労働省の麻薬取締部は、グミから検出された成分が法律で規制されるまでの間にも健康被害が広がるおそれがあるとして21日、横浜市や札幌市、福岡市、北九州市の店舗を立ち入り検査しました。

大阪・北区の会社「WWE」が製造した同じグミを食べた人が病院に搬送されるなど体調不良を訴えるケースが相次いでいて、厚生労働省はグミから検出された大麻に近い成分「HHCH」を22日、規制対象の薬物に指定し、来月2日から販売や所持・使用を禁止する方針です。

しかし、この成分が規制されるまでの間にも健康被害が広がるおそれがあることから、厚生労働省の麻薬取締部は21日、大阪の会社が製造したグミだけではなく、「HHCH」を含むさまざまな商品を販売しているとみられる各地の店舗についても医薬品医療機器法に基づく立ち入り検査を行いました。

麻薬取締部は立ち入り検査で「HHCH」を含んでいる疑いがある商品が見つかった場合には、その店舗に販売停止命令を出すことにしていて、今後も各地で立ち入り検査を行う方針です。

札幌の店舗では

関係者によりますと、このうち札幌の店舗では北海道厚生局麻薬取締部は、21日午後5時から、札幌市内の店舗に立ち入り検査に入ったということです。

北海道では今月4日、札幌市などに住む20代の男性2人が札幌の繁華街・ススキノにある店舗で購入したグミと液体状のリキッドを摂取したあとに体調不良を訴えて病院に搬送され、その後の検査で2人から大麻の陽性反応が確認されています。

麻薬取締部は2人が摂取したグミが大阪の会社が製造しているグミと同じものかどうか確認するとともに、摂取した詳しいいきさつなどを調べています。

“ほろ酔いの状態続く”

大阪 北区の会社「WWE」が製造したグミを直営店で購入し、食べたことがあるという30代の男性が取材に応じました。

男性は大阪市内の街なかで直営店の看板を見かけ、調べたところグミを販売していることを知ったということで、半年ほど前に1袋およそ9000円で購入したといいます。

購入した際、店員からは「いきなり1粒ではなく、半分から試してください。効果が出るまでは30分から1時間ほどかかるので、すぐに効かないからといって続けて食べることは避けてください」と説明を受けたということです。

説明に従って半分ずつ食べたという男性は「グミはコーラ味でした。30分余りたつとほろ酔いの楽しい気分になり、その状態が2、3時間続きました。私の場合は体調が悪くなることはありませんでしたが、過剰に摂取するとよくないのかもしれません」と話しています。

その上で「店員と話をしたこともあり、怖さは感じませんでした。高額だったのでその後は購入していないし、人にも勧めていませんが、酒よりも安くなることがあればまた買うかもしれません」と話していました。