「オープンAI」元CEO “復帰しなければ退社” 社員9割超が署名

生成AIのChatGPTを開発したアメリカのベンチャー企業「オープンAI」のCEOだったサム・アルトマン氏が事実上解任されたことをめぐり、アメリカのメディアは全体の9割を超える社員がアルトマン氏が復帰しなければ退社するなどとする会社宛ての書簡に署名したと報じました。

生成AIのChatGPTを開発した「オープンAI」は先週17日、CEOだったサム・アルトマン氏の退任を発表し、事実上の解任とみられています。

アルトマン氏はその後、IT大手のマイクロソフトに入社することが明らかになっていますが、アメリカのメディアは20日、「オープンAI」のおよそ770人いる社員のうち、全体の9割を超える700人以上の社員が会社宛ての書簡に署名したと報じました。

書簡ではアルトマン氏の会社への復帰とともに、すべての取締役の辞任を求めていて、認められなければ退社し、マイクロソフトに入社するアルトマン氏のもとで働く可能性があるなどとしています。

書簡にはアルトマン氏に退任を知らせたとされる取締役の1人、イリヤ・サツキバー氏も署名しているということです。イリヤ・サツキバー氏は20日、旧ツイッターの「X」に「取締役会の行動に参加したことを深く後悔しています」と退任の決定に加わった自身の行動を悔いるようなコメントをつづっています。その上で、「オープンAIを傷つけるつもりはまったくありませんでした。私は、私たちがともに築いてきたすべてを愛しています。会社を再結成するためにできることはすべてやります」と投稿しました。

アルトマン氏は2015年にイーロン・マスク氏らとともにオープンAIを設立し、去年11月にサービスを開始したChatGPTは質問を入力すると自然な文章で回答を作成できるとして世界で急速に利用が広がっています。

退任の背景にはアルトマン氏が生成AIのサービスを急速に拡大していたことと製品の安全性をめぐり社内で内紛があった可能性が伝えられていて、会社側の対応に関心が集まっています。

米メディア “暫定CEOにエメット・シア氏”

アメリカのメディアはオープンAIの新たな暫定CEOにアメリカの動画配信サイト「Twitch」を運営する会社を経営していたことで知られるエメット・シア氏が就任したと伝えています。

シア氏も20日、旧ツイッターの「X」に、オープンAIから暫定CEOの打診を受け、引き受けたと投稿しました。

この中で、シア氏は「アルトマン氏の退任をめぐる経緯やコミュニケーションは非常にひどいもので信頼を著しく損なった」として今回の退任の経緯を調べるため今後、30日以内に独立した調査員を雇って報告書をまとめる意向を示しました。