世界平均気温 国連“温室効果ガス削減目標達成でも2.9度上昇”

国連は各国が2030年に向けて掲げた温室効果ガスの削減目標を達成したとしても世界の平均気温は今世紀末までに2.9度上昇するという見通しを発表し、対策は不十分だと指摘しました。

UNEP(国連環境計画)は20日、温室効果ガスの排出について分析した報告書を発表しました。

この中で去年の世界の温室効果ガスの排出量はおととしに比べ1.2%増加し、574億トンと過去最も多かったとしています。

そして、このままでは各国が2030年に向けて掲げた温室効果ガスの削減目標を達成したとしても、世界の平均気温は今世紀末までに産業革命前に比べ2.5度から2.9度上昇するという見通しを示しました。

その上で国際社会が目指す気温の上昇を1.5度に抑えるためには、2030年には42%の削減が必要だとしています。

報告書では先月はじめまでに世界の平均気温の上昇が1.5度を上回る日が86日、観測され、このうち9月は1.8度上回り、記録上、最も暑い月だったと指摘しています。

UNEPは対策は不十分ですべての国が排出削減を加速させる必要があるとしていて、今月30日から始まる国連の気候変動対策の会議「COP28」を取り組みの強化につなげる機会にすべきだと呼びかけています。

グテーレス事務総長「これ以上、先送りすることはできない」

報告書の発表を受けて国連のグテーレス事務総長は20日、ニューヨークの国連本部で会見し、世界の温室効果ガスの排出削減が不十分だという見通しについて「これらはすべてリーダーシップの失敗であり、弱者への裏切りであり、大きな機会の喪失だ」と述べ、各国の対策の遅れを非難しました。

その上でグテーレス事務総長は「指導者たちは、これ以上、問題を先送りすることはできない。COP28で飛躍的な気候変動対策を掲げなければならない」と述べ、各国がより野心的な合意を目指すべきだと訴えました。