【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(21日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる21日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ゼレンスキー大統領 欧米側と連携 反転攻勢続ける構え

ロシア軍がウクライナ東部で、受刑者で構成された部隊を投入するなどして攻勢を強めているのに対して、ウクライナのゼレンスキー大統領は、アメリカのオースティン国防長官との会談も踏まえ、引き続き欧米側と連携して反転攻勢を続ける構えです。

ウクライナ空軍は21日、ロシア軍がイラン製の無人機10機で攻撃をしかけ、このうち9機を撃墜したほか、南部クリミアから発射した短距離弾道ミサイルの「イスカンデル」を迎撃したと発表しました。

また、ウクライナ陸軍のシルスキー司令官は21日、ロシア軍は、受刑者などで構成された部隊『ストームZ』を使い続け、兵士の犠牲をいとわず、東部のハルキウ州クピヤンシクやドネツク州バフムト近郊などで攻勢を強めていると指摘しました。

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は20日、首都キーウを訪問したアメリカのオースティン国防長官と会談しました。

オースティン長官は、1億ドル、日本円にして148億円相当の追加の弾薬などを供与することを伝え、その後ゼレンスキー大統領はSNSで「すべてのパートナー、特にアメリカの継続的なリーダーシップに感謝する」と投稿しました。

ゼレンスキー大統領としては、オースティン長官との会談も踏まえ、アメリカ国内で支援疲れが指摘される中でも、引き続き欧米側と連携して反転攻勢を続ける構えです。

米国防長官 弾薬など1億ドル相当の追加供与を伝える

アメリカのオースティン国防長官は20日、事前の予告なくウクライナの首都キーウを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談しました。

会談のあと記者会見したオースティン長官は、ウクライナに対し1億ドル、日本円にして148億円相当の追加の弾薬などを供与することを伝えたと明らかにしたうえで「われわれは、ウクライナが戦場で成功するために必要なものを確保できるよう取り組んでいく」と強調しました。一方、ウクライナ大統領府は、会談で、ゼレンスキー大統領が前線の状況や今後の目標などを説明し、武器や弾薬が途切れることなく供給されることの重要性を強調したとしています。

アメリカ議会では先週、暫定的な「つなぎ予算」が失効するのを前に、当面の予算を確保する新たな「つなぎ予算」案が可決され成立しましたが、バイデン政権が求めていたウクライナ支援は共和党の一部が反対し盛り込まれませんでした。

オースティン長官は、ゼレンスキー大統領と直接、会談することでアメリカ国内で支援疲れが指摘される中でもアメリカの支援は揺るぎないという姿勢を示すねらいがあったとみられます。

日本から地雷探知機を引き渡し

ウクライナでは軍事侵攻したロシアが各地に敷設した地雷の除去が課題となっていて、首都キーウで20日、日本が供与する地雷探知機などの引き渡し式が行われました。

式典で辻外務副大臣は「地雷や不発弾の処理は、住民の安心や安全の確保に不可欠であるだけでなく、生活や農業、産業の再建にも必要だ」と述べました。

引き渡し式が行われた広場にはJICA=国際協力機構を通じてウクライナ非常事態庁に供与される地雷探知機50台、地雷除去部隊が作業現場に行く際などに使用する車、あわせて40台が並べられお披露目されました。

また、このほか北九州市の企業が開発した石けんの成分で作った環境に配慮した消火剤も今後、ウクライナ側に供与され、ロシア軍の攻撃による火災の鎮火などに活用されるということです。

地雷の除去作業を担当するイワン・シェペリエフさんは「この支援は私たちの仕事にとって非常に重要です。効率よく正確な作業を行うことが可能になるからです」と話していました。

辻外務副大臣らがキーウ訪問 インフラ整備などで連携へ

辻外務副大臣と岩田経済産業副大臣は20日、日本企業10社の関係者らとともにウクライナの首都キーウを訪問し、シュミハリ首相らと会談しました。

会談の冒頭、シュミハリ首相は「ロシアによる侵略が続く中での日本政府や企業の皆さんの支援は大変ありがたい。今回の訪問が復興に向けた具体的な成功につながると確信している」と述べました。これに対し、辻外務副大臣は「今回の訪問は今後のウクライナへの復旧や復興支援への日本企業の関与をさらに深める上で非常に重要だ」と応じました。

会談で両政府はロシアの軍事侵攻で破壊された橋などのインフラ整備に連携して取り組んでいくことを確認しました。また、来年2月に東京で開催されるウクライナの経済復興の会議に向けた準備を加速させることでも一致しました。

会談のあと、岩田経済産業副大臣は記者団に対し「経済の復興に関しては、やはり民間の皆さんの協力が必要だ」と述べました。このあと、両国の企業関係者どうしの会合も行われ、エネルギー分野や農業分野などでも連携を進めていく考えで一致しました。

松野官房長官「官民一体の取り組みをさらに進める」

松野官房長官は午前の記者会見で「わが国としてウクライナとともにあるという姿勢は揺るがないことを政府要人に伝達し、日本企業の関係者がニーズを直接聴取するなど今後の復旧・復興分野の具体的案件形成のため重要な機会となった」と述べました。

その上で「政府としては今回の訪問の成果を土台に対ウクライナ支援の官民一体の取り組みをさらに進め、来年2月に控える『日ウクライナ経済復興推進会議』の準備を加速化したい」と述べました。