袴田巌さん再審 検察 “「ねつ造」は非現実的”

57年前、静岡県で一家4人が殺害された事件で、死刑が確定した袴田巌さんの再審=やり直しの裁判で20日、3回目の審理が行われ、検察は、弁護団が主張している証拠のねつ造の疑いについて、「発覚するリスクを冒して、あえて捜査機関が行ったと考えることは非現実的だ」と主張しました。

57年前の1966年に、今の静岡市清水区で、みそ製造会社の一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審は、20日に静岡地方裁判所で3回目の審理が行われ、事件の発生から1年2か月後に現場近くのみそタンクから見つかり、有罪の決め手とされた「5点の衣類」について、検察が主張を展開しました。

検察は、
▽5点の衣類のうち、シャツの右袖に空いた穴と、逮捕当時、袴田さんがけがをしていた箇所の位置がおおむね整合していることや、
▽衣類が見つかったみそタンクが袴田さんの作業スペースだったことなどを挙げ、
「衣類は袴田さんのもので、犯行時に着用し、事件後にみそタンクに隠したと認められる」と述べました。

そのうえで、弁護団が「衣類はねつ造されたものだ」と主張していることについて、「袴田さんが事件前に着ていた衣類と酷似する衣類を用意するのは著しく困難だ。ねつ造が発覚するリスクを冒して、あえて捜査機関が行ったと考えることは非現実的で実現不可能だ」と主張しました。

次回の審理は、12月11日に行われます。