加害者が精神障害で不起訴の場合 情報提供の充実を求め要望

殺人事件などの加害者が精神障害を理由に不起訴になった場合、被害者側が事件や加害者に関する情報を十分知ることができないなどとして、遺族などでつくる団体が情報提供の充実を求め、20日に、法務省に要望書を提出しました。

要望書を提出したのは、殺人事件などの遺族や被害者などでつくる団体「医療観察法と被害者の会」です。

殺人や放火などの重大事件で、精神障害による心神喪失などを理由に不起訴や無罪が確定した加害者は、医療観察法に基づく手続きに移行し、入院などを経て社会復帰を目指すことになります。

一方、プライバシーなどの観点から、被害者に対する情報提供が十分ではないとして、要望書では「通常の刑事事件の被害者と格差が生じている」と訴えています。

例えば、通常の刑事事件では、
▽裁判への被害者参加や
▽被害者の心情を加害者に伝達するなどの制度が整備されたのに対し、
医療観察法の対象事件では認められていないとしています。

そのうえで、
▽不起訴の場合は、精神鑑定の書面に基づき十分な説明をすることや
▽審判に被害者や弁護士の傍聴を認め、意見を述べる機会をつくること
▽治療が終了するまで、加害者の回復状況を定期的に情報提供すること
などを求めています。

要望した団体の濱口文歌弁護士は「医療観察法の対象事件の被害者は、情報も得られず、意見も聞いてもらえずに取り残されている。制度の改善が必要だ」と話していました。

要望について法務省は「関係機関と連携しつつ検討する」とコメントしています。