【詳細】フーシ派 貨物船乗っ取り イスラエル実業家関係か

イスラエル軍は19日、イエメン近くの紅海でトルコからインドに向かっていた貨物船がイエメンの反政府勢力 フーシ派に乗っ取られたと発表しました。

貨物船は日本郵船が運航する船で、会社によりますと、日本時間の19日夜、船を所有するイギリスの会社から連絡があったということで、乗組員はあわせて25人で詳しい安否などは分かっていませんが、日本人は含まれていないということです。

イスラエルの有力メディアハーレツなどはイエメンの反政府勢力 フーシ派が乗っ取った貨物船について船を所有しているのはイスラエルの実業家、アブラハム・ウンガー氏の関連企業だと伝えています。

※11月20日(日本時間)のイスラエルやパレスチナに関する動きを随時更新でお伝えします。

“ガザ地区で1万2700人死亡” パレスチナ保健当局

パレスチナの保健当局は20日、一連の衝突でガザ地区では少なくとも1万2700人が死亡し、このうちおよそ5350人が子どもだと発表しました。

これは19日時点の情報だということで、ガザ地区北部の病院では通信状況が極めて悪く情報の更新が困難になっているとしていますが、死亡した人の数は前日の発表より1日で500人増えています。

一方、イスラエル側では、これまでにおよそ1200人が死亡しています。

ガザ北部のインドネシア病院 5000人近くが身を寄せる

ガザ地区北部にある「インドネシア病院」を支援するインドネシアの人道支援団体が20日、ジャカルタで会見を開きました。団体では現地から入った連絡として19日夜以降のイスラエル軍による攻撃でこれまでに12人が死亡したということです。

病院では現在、少なくとも700人のけが人の治療にあたっているほか、病院には5000人近くが身を寄せていてそのほとんどが女性と子どもだということです。

病院の4階部分はイスラエル軍の攻撃で外壁に穴が開いた状態だということで、団体は「イスラエル軍が発砲してくるため、患者を避難させられない」と説明しています。

「インドネシア病院」は、この人道支援団体などの資金援助で2015年から医療活動を開始し運営はパレスチナの当局が担っていますが、イスラエル軍はシファ病院と同様にイスラム組織ハマスの地下の拠点があると主張しています。

団体の代表はイスラエル軍の主張を否定した上でイスラエル軍に対し「国際法を順守するよう求める。病院は戦場ではない」と攻撃を即時にやめるよう訴えました。

インドネシア国内ではイスラエルへの抗議デモがたびたび開かれていて、ルトノ外相はきのう公開した動画で「イスラエルと密接な関係がある国はあらゆる影響力と能力を駆使しイスラエルに残虐行為をやめるよう働きかけるべきだ」と述べています。

ガザ地区で水不足深刻 雨水を集めて生活用水に

人道危機が深まるガザ地区では深刻な水不足が続いていて、雨水を集めて生活用水として利用する動きも出ています。

NHKガザ事務所のサラーム・アブタホンカメラマンが20日、ガザ地区南部のラファで撮影した映像では、建物の屋上にたまった雨水をバケツですくって貯水タンクにためている避難者の姿が見られました。

取材した地域では電力不足の影響で井戸水をくみ上げることができず給水車による水の提供もこの1週間、受けられていないということで、清潔な水の確保が極めて難しくなっています。

ガザ地区南部には北部から大勢の人が逃れてきていますが、深刻な水不足に人々は苦しんでいるということです。

フーシ派 日本郵船運航の貨物船乗っ取る

イスラエル軍は19日、イエメン近くの紅海で、トルコからインドに向かっていた貨物船がイエメンの反政府勢力 フーシ派に乗っ取られたと発表しました。

貨物船は日本郵船が運航する船で、会社によりますと、日本時間の19日夜、船を所有するイギリスの会社から連絡があったということで、乗組員はあわせて25人で詳しい安否などは分かっていませんが、日本人は含まれていないということです。

イスラエル軍は乗っ取られた船はイスラエルの船ではなくイスラエル人も乗船していなかったとしています。

一方、イエメンの反政府勢力 フーシ派の報道官は紅海を航行中だった船を乗っ取ったとするビデオ声明を発表しました。

この中で報道官は乗っ取った船がイスラエルの船だったとしたうえで、「紅海で作戦を実施し、イスラエルの船舶を拿捕(だほ)し、イエメン沿岸まで連行した。乗組員に対してはイスラムの教えに沿って対応している」と述べました。

イスラエルの実業家が関係か

イスラエルの有力メディアハーレツなどはイエメンの反政府勢力 フーシ派が乗っ取った貨物船について、船を所有しているのはイスラエルの実業家、アブラハム・ウンガー氏の関連企業だと伝えています。

ウンガー氏はイスラエルの有数の富豪です。AP通信によりますと、2021年、ウンガー氏と関連がある船がオマーン湾で爆発する事故があり、当時、イスラエルのメディアは敵対するイランの関与を報じていたということです。

フーシ派 攻撃の矛先 イスラエルにも

フーシ派はイランの支援を受けるイエメンの反政府勢力で、これまでイエメンの内戦で敵対する政権側を支援するサウジアラビアやUAEなどに対し、ミサイルや無人機で石油施設や軍の基地を攻撃することはありましたが、今回、一連の衝突が始まって以降、その矛先がイスラエルにも向けられています。

これまでもイスラエル南部に対して弾道ミサイルや無人機による攻撃を繰り返していますが、今回民間の貨物船が乗っ取られたことで世界的な物流への影響も懸念されます。

ハマス「この動きを歓迎し、たたえたい」

イエメン近くの紅海でイエメンの反政府勢力 フーシ派が海運大手、日本郵船が運航する船を乗っ取ったことについてイスラム組織ハマスは20日、歓迎する声明を出しました。

声明では「この動きを歓迎し、たたえたい。イスラム教徒の同胞がガザの勝利のために行動を起こしてくれている」としています。

フーシ派の軍事力は

フーシ派はイランの支援を受けるイエメンの反政府勢力で、2015年以降、首都サヌアを武力で掌握しています。

近年、海上での活動を活発化させていると指摘されています。

去年1月には紅海でUAE=アラブ首長国連邦の貨物船を拿捕(だほ)して乗組員を3か月以上にわたって拘束し、国連の安全保障理事会から航海の安全を脅かす重大なリスクになっていると非難されていました。

イギリスのシンクタンク、国際戦略研究所によりますと、フーシ派はおよそ2万人の戦闘員を抱え、イランの協力によって巡航ミサイルや弾道ミサイル、それに無人機など、軍備を増強してきたということです。

ことし9月、首都サヌアで軍事パレードを行った際には射程が最大1950キロとされイラン製の中距離弾道ミサイルと同じタイプとみられるミサイルが公開されたということです。

イエメンからイスラエルの国境までは最も近いところでおよそ1600キロで、国際戦略研究所は、このミサイルはイスラエルを射程圏内におさめる可能性があると指摘しています。

国交省“日本郵船から連絡 貨物船が拿捕された”

国土交通省によりますと、19日午後9時半ごろ、日本郵船から「トルコからインドに向かっていた貨物船が拿捕(だほ)された」と連絡があったということです。

この船はイギリスの企業が所有するバハマ船籍の自動車運搬船、「ギャラクシー・リーダー」で、運航は日本郵船が行っていたということです。

船員に日本人は含まれておらず、国土交通省は船が乗っ取られた状況やその後の消息などについて確認を急いでいます。

貨物船はトルコで積み荷を降ろしたあと、スエズ運河を通って新たな荷物を積み込むためインドに向かっていたところ、イエメン近くで乗っ取られたということです。

日本郵船は20日午前、社内に対策本部を設け情報収集などにあたっています。

専門家 フーシ派の狙いは

紅海を航行中の貨物船を乗っ取ったイエメンの反政府勢力フーシ派の狙いについて、中東情勢に詳しい慶應義塾大学の田中浩一郎教授は、「イスラエルに関係する船舶だと十分に下調べをした上で狙いを定めたという印象だ。人質のような形で船を差し押さえ、イスラエルのガザ地区への攻撃を止めさせるなどの交渉材料に使おうとしているのではないか」と分析しています。

また、貨物船が乗っ取られた海域は湾岸諸国からヨーロッパなどに向かうLNG=液化天然ガスなどの重要な輸送ルートになっているとした上で、「イスラエルへの支持を表明している特にヨーロッパの国に対して、ある種の圧力行使として、この海域での安全航行を脅かす能力を持っていることを示した。けん制球を投げたような形だ」と述べました。

一方、イスラエルと敵対し、フーシ派を支援するイランの関与については「安全航行への脅威はイランに得になることばかりとは言い切れない」と述べ、否定的な見方を示しました。

貨物船の航跡は

船に搭載されたAIS=船舶自動識別装置が発信する位置データなどを公開している民間のホームページ「マリントラフィック」によりますと、「ギャラクシー・リーダー」は日本時間の今月13日ごろ、トルコ西部コジャエリの港を出ました。

目的地はインド西部グジャラート州の港と記されています。

出港した「ギャラクシー・リーダー」は地中海を航行し、16日から17日にかけて地中海と紅海を結ぶスエズ運河を通過し、紅海に入りました。

その後、紅海を南下しますが、18日午後8時半ごろ、サウジアラビア西部のジッダの南側海域でAISの発信が途絶えています。

松野官房長官「船舶や船員の早期解放のため取り組んでいる」

松野官房長官は船員に日本人は含まれていないとした上で「政府として断固非難する。現在、国土交通省や外務省などの関係省庁が情報収集を進めつつ、関係国と連携しながら船舶や船員の早期解放のため取り組んでいるところだ」と述べました。

また「イスラエルとも意思疎通を図りつつ、当事者であるフーシ派への直接の働きかけに加え、サウジアラビア、オマーン、イランなど関係国に対して早期釈放を強く求めるよう働きかけを行っている。状況の推移を踏まえながら必要な対応を行っていく」と述べました。

防衛省は情報収集を進める

イエメンの周辺国、アフリカ東部のジブチには自衛隊の護衛艦と哨戒機が派遣されていて、防衛省が情報収集を進めています。

ジブチは今回、貨物船が乗っ取られた紅海の出入り口に位置していて、イエメンの対岸にあります。

防衛省はジブチに海上自衛隊の護衛艦1隻と哨戒機1機を派遣していて、アフリカとイエメンの間にあるアデン湾を中心に海賊の警戒監視や民間船舶の護衛などにあたっています。

紅海は自衛隊の活動地域ではありませんが、防衛省は情報収集を進めるとともにアデン湾での警戒監視を続けています。

海上保安庁 日本の船舶に対して航行警報 注意呼びかけ

海上保安庁は20日午前8時にイエメン沖の紅海付近を航行する日本の船舶に対して航行警報を出し、注意を呼びかけています。

アメリカの水路当局が「海賊情報」として航行警報を出したのに伴う措置だということです。

斉藤国交相「詳細な情報については現在精査中」

斉藤国土交通大臣は、20日の閣議の後の会見で会社から日本時間の19日夜、連絡を受けたとした上で、「詳細な情報については現在精査中だ。国土交通省としては関係省庁と情報の共有を図るとともに、日本郵船とも緊密に連絡を取りながら情報の収集に努めてまいりたい」と述べました。

イスラエル首相府 イランを非難 イラン外務省 関与を否定

紅海での貨物船の乗っ取りについてイスラエルの首相府は19日、「イランによる新たなテロ行為だ」などとイランを名指して非難する声明を発表しています。

これに対してイラン外務省のキャンアニ報道官は20日の会見で「不当な疑いだ。抵抗勢力はみずから判断し行動している。イスラエルはイランのせいにすることで自らの失敗を覆い隠そうとしている」と述べ、イランの関与を否定しました。

その一方で「イスラエルとアメリカはガザ地区の包囲や人々の殺害、それに、そこからパレスチナの人々を追い出すことをやめた場合にのみ、抵抗勢力による対応が終わることを知るべきだ」と述べ、イスラエルが停戦などに応じない限りフーシ派を含めイランの支援を受けた勢力による敵対的な行動が続く可能性を示唆しました。

米NBCテレビ 「フーシ派はヘリコプター使用」

貨物船が乗っ取られたときの状況についてアメリカのNBCテレビは19日、アメリカ当局者の話として「フーシ派はヘリコプターを使って貨物船を襲った」と伝えました。

それによりますと、ヘリコプター1機がまず、紅海を航行中の貨物船の上空でホバリングし、そこから武装した数人が降下して甲板に降り立ち、船に侵入したとしています。

南部ラファ空爆 少なくとも14人が死亡

ガザ地区の北部から大勢の人が避難している南部のラファでは現地時間の20日朝、市内の難民キャンプで攻撃があり、地元メディアはイスラエル軍による空爆でこれまでに少なくとも14人が死亡したと伝えています。

NHKガザ事務所のサラーム・アブタホンカメラマンが現場で撮影した映像では攻撃のすぐあと複数の救急車が現場に向かう様子が写っています。

この難民キャンプにはガザ市など北部からの避難者が多く身を寄せているということで、けがをした子どもが救急車に運び込まれたり、頭から血を流した男性が手当てを受けたりしていました。

また、がれきの下になった住民を助け出そうと多くの人が集まり、家族の行方が分からないと泣き叫ぶ女性の姿も見られました。

ガザ地区への地上侵攻を続けるイスラエル軍はガザ地区北部の住民に南部への退避を通告する一方、南部のラファやハンユニスでも空爆を続けています。

ガザ地区 “1万2200人死亡 5000人近くは子ども”

パレスチナの保健当局は19日、一連の衝突でガザ地区では少なくとも1万2200人が死亡し、このうち5000人近くが子どもだと発表しました。

これは18日時点の情報だということで、ガザ地区北部の病院では通信状況が極めて悪く情報の更新が困難になっているとしています。

一方、イスラエル側では、これまでにおよそ1200人が死亡しています。

インドネシアの人道支援団体 「病院への攻撃を止めるべき」

イスラエル軍の攻撃を受けているガザ地区北部にある「インドネシア病院」に資金援助などを行ってきたインドネシアの人道支援団体が20日、会見を開きました。

この中で団体の担当者は、病院で働いているインドネシア人のボランティア3人と連絡がつかない状態で現地からの情報が限られるとした上で、「病院内にハマスの戦闘員はおらず、イスラエル軍は病院への攻撃を止めるべきだ」と訴えました。

「インドネシア病院」はこの人道支援団体などが資金援助して2015年から稼働を始め、パレスチナの当局が運営を担っています。

イスラエル軍は「インドネシア病院」もハマスの地下拠点の隠れみのになっていると主張していますが、インドネシアの外務省や人道支援団体は否定していました。

シファ病院 新生児31人退避

イスラエル軍は19日、地上侵攻を続けているガザ地区北部のガザ市リマルなどで軍事作戦を行い、ハマスが利用していた武器庫や多数の地下トンネルを発見したなどと発表しました。

一方で、イスラエル軍がハマスの重要な拠点があると主張して15日に突入したシファ病院では、深刻な人道状況が懸念されるなか19日、パレスチナ赤新月社は低体重などで生まれた新生児31人を退避させたと発表しました。

ただ、WHO=世界保健機関などの国連機関が18日にシファ病院を訪れた際には、なおも医療従事者25人と患者291人が残されていたほか、病院内の衛生対策が不十分で抗生物質も手に入らないため症状がひどくなっているということで、WHOは患者らをすぐにほかの施設に避難させるよう訴えています。

一方、シファ病院に突入したイスラエル軍は病院の敷地内の地下に深さ10メートル、長さ55メートルのトンネルを発見したと主張して、その映像を公開しました。

ドローンによって撮影したとみられる映像では、空中から縦穴のようなものを抜け、地下のトンネルのような空間までを一連で撮影しています。

イスラエル軍は「この調査結果は病院がハマスによるテロ行為の隠れ場所となっていることを明確に示している。ハマスがガザ地区の住民を人間の盾としている証拠だ」と主張したうえで引き続き解明を続けるとしていて、軍事作戦の正当性を強調しました。

これについて中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、「ガザ地区の保健省の幹部は、イスラエル側の主張について『真っ赤なうそだ』と否定している」と報じています。

ユニセフ 事務局次長「子どもたちの墓場となりつつある」

日本を訪れているユニセフのキティ・ファンデルハイデン事務局次長は、20日、都内でNHKのインタビューに応じました。

ファンデルハイデン事務局次長は、イスラム組織ハマスによるイスラエルへの襲撃とイスラエル軍によるガザ地区への攻撃によって数千人の子どもが犠牲になっている現状について、「この戦争の真の代償は失われた子どもたちの命、永遠に変わってしまった子どもたちの人生だ。ガザ地区の状況は悲惨そのもので、子どもたちの墓場となりつつある」と強い懸念を示しました。

そしてガザ地区の子どもたちのために食料や水、医薬品などの提供が急務になっているとしたうえで、傷ついた心のケアなども喫緊の課題だと指摘し「子どもたちは紛争を始めたわけでもなく、紛争を止めることもできない。子どもたちが生き延び、成長していけるよう、直ちに暴力を止めるべきだ。時間がたてばたつほど多くの子どもが傷ついていく」と述べ、国際社会が即時停戦に向けて働きかけを強めるよう、訴えました。

また、20日が国連の定めた「世界子どもの日」であることも踏まえ、世界各地で多くの子どもが武力紛争や気候変動、新型コロナウイルスの感染拡大によって深刻な影響を受けているとして、いかなる場所でも子どもが不自由なく生活できる環境を整えていく重要性を強調しました。

イスラエルメディア“戦時内閣のなかで意見割れている”

一方、イスラエルの有力メディアハーレツは18日、人質の解放に向けたイスラム組織ハマスとの交渉について、戦時内閣のなかで意見が割れていると指摘する記事を掲載しました。

記事では、軍や情報機関の幹部らが軍事作戦を止めるべきではないと主張する一方、野党の党首などは人質の解放を優先することを訴えているとしています。

また、ネタニヤフ首相は最終的な立場を明らかにしていないとしています。

アメリカの有力紙ワシントン・ポストは人質解放の交渉が合意に近づいていると伝えていますが、イスラエルの戦時内閣での意見の相違が交渉の行方に影響する可能性もあります。

上川外相「イスラエルに国際法に従った対応を要請」

上川外務大臣は記者会見で、イスラエル軍の攻撃が難民キャンプや学校などに及んでいることについて「学校や病院における民間人の被害を防ぐのは当然で、イスラエルには一般市民の保護の重要性や国際法に従った対応を要請している」と述べました。

また、イスラエルとイスラム組織ハマスが5日間の戦闘休止と引き換えに一部の人質を解放することで合意に近づいているとアメリカのメディアが伝えたことについて「人質の解放を期待している。日本としても人質の即時解放、人道状況の改善、事態の沈静化などに向けた外交努力を粘り強く積極的に重ねていきたい」と述べました。

イスラエル軍 “病院内”とする映像公開

イスラエル軍は19日夜、治安当局と共同でイスラム組織ハマスが奇襲攻撃を行った当日の先月7日のシファ病院内だとする映像を公開し、ハマスが連れ去った人質が映っていたとして病院がハマスの拠点として使われていたと改めて主張しました。

公開された映像では病院のロビーのように見える場所から複数の人物が1人の人物を建物の奥に連れて行くように見える様子が映っています。

また、廊下のような場所で撮影されたように見える映像にはストレッチャーに乗せられたけがをした男性が部屋の中に運び込まれていくような様子が映っています。

イスラエル軍はハマスに連れ去られたネパール人とタイ人の人質を映した映像だと主張していますが、ロビーのような場所での映像からは顔などを確認することはできず、ストレッチャーに乗せられたけがをした男性の顔の部分にはぼかしがかけられています。

これについてハマスは「われわれは以前から、けがをした人質を手当てや手術のために病院に搬送してきたと言ってきたし、写真も公開してきた」などと主張し、けが人の手当てなどのため、病院に連れてきただけだと反論しました。

ラファ避難所 寒さに耐えながら

ガザ地区では多くの住民が着の身着のまま南部に避難していて、避難所では寒さに耐えながら避難生活を送っています。

NHKガザ事務所のサラーム・アブタホンカメラマンが19日、雨と強風に見舞われた南部ラファの避難所で撮影した映像にはテント生活をしている人たちが強風でテントが飛ばされたり雨でぬれたりしないように防風と防水のためのシートをテントに取り付けている様子が映っています。

この避難所は国連機関が運営する学校で35の教室がありますが、3500人以上が身を寄せていて、教室に入れなかった多くの人が校庭でテントを張って避難生活を送ることを余儀なくされています。

避難所では、はだしで校庭を歩く小さな子どもたちの姿や、真っ暗なテントのなかで残り少なくなった小麦粉で家族のためにパンをつくる女性の姿もありました。

強風で倒れたテントを直していた男性は「きょうはどこで寝ればよいのでしょうか。もう私たちにはどうしようもありません」と話していました。

別の男性は「雨をしのぐためにどこに行けばいいのでしょう。避難者たちは死にかけていて子どもたちは寒さで体調を崩している。十分な冬用の服もないのです」と訴えていました。

これからガザ地区では気温が低くなる時期を迎えることから、避難をしている人たちの冬の生活の支援が必要とされています。

シファ病院にいた新生児28人 エジプト側に退避

エジプトのテレビ局は20日、イスラエル軍がイスラム組織ハマスの重要な拠点があるとして突入したガザ地区北部のシファ病院にいた新生児28人がラファ検問所を経由してエジプト側に退避したと伝えました。放映された映像は新生児がパレスチナ赤新月社の救急車でエジプト側に搬送される様子を伝えていて、担当者の話として低体重などで生まれた新生児28人が退避したとしています。

ユニセフ=国連児童基金によりますと19日、ガザ地区北部のシファ病院からエジプトとの境界に近い南部の病院に新生児合わせて31人が移送され一夜を過ごしていました。ユニセフは声明を発表し、「新生児の移送は病院スタッフや現地の保健当局と協力し、極めて危険な状況のもとで行われた」としています。

またエジプト政府は20日、これまでにラファ検問所を通じて外国籍の人など合わせて7600人あまりがガザ地区からエジプトに退避するのを受け入れたと発表しました。エジプトからガザ地区へは人道支援物資として230トンあまりの燃料や4600トンあまりの食料、それに4200トンあまりの水を搬入したとしています。