国際

【19日詳細】ガザ地区北部 学校に攻撃 50人以上死亡か

イスラエル軍が侵攻を続けるパレスチナのガザ地区北部で、国連機関が運営する学校に対して攻撃があり、中東のメディアは、少なくとも50人が死亡したと報じています。

イスラエル軍が病院に続いて、多くの避難民が身を寄せる学校も攻撃の対象にしていると受け止められていて、市民の犠牲がさらに増えることが懸念されます。

※11月19日(日本時間)のイスラエルやパレスチナに関する動きを随時更新でお伝えします。

目次

シファ病院にWHO専門家チーム “絶望的な状況”

WHO=世界保健機関は、イスラエル軍がイスラム組織ハマスの拠点があると主張して突入したガザ地区最大のシファ病院を、18日、国連機関からなるチームが視察したと発表しました。

チームには、WHOやOCHA=国連人道問題調整事務所などから公衆衛生の専門家や人道支援や安全保障を担当する職員らが参加し、イスラエル軍とルートを調整し、1時間程度に限って視察が行われたということです。

視察では明らかな爆撃や銃撃の痕が確認できたほか、病院の入り口に墓地もあり、80人以上が埋葬されているとの説明を受けたということです。

病院は水や燃料、医薬品の不足で医療機関としての機能が失われ、敷地内は医療廃棄物などで埋め尽くされ、感染症のリスクも高まっていると指摘しています。

また視察した時点で、病院内には医療従事者25人と患者291人が残され、ここ数日のうちでも複数の死者が出ているということで、患者の中には危篤状態にある乳幼児32人や、十分な治療が受けられない22人の透析患者などもいたということです。

さらに病院には、戦闘に巻き込まれて骨折したりやけどを負ったりした患者が多くいますが、衛生対策が不十分で抗生物質も手に入らないため、症状がひどくなっているということです。

このためWHOは、「病院は『死に満ちた場所』で絶望的な状況にある」として、患者らをすぐにほかの施設に避難させるよう訴えています。

ただWHOは、ガザ地区のいずれの病院もすでに受け入れ能力を超えていると懸念を示していて、医療施設への攻撃をやめて即時停戦に応じるよう求めています。

シファ病院から新生児31人を南部に退避

パレスチナ赤新月社は19日、ガザ地区北部にあるシファ病院から、低体重などで生まれた新生児31人を退避させたと発表しました。

それによりますとWHO=世界保健機関やOCHA=国連人道問題調整事務所との連携のもとで行われ、新生児31人は救急車で南部に向かい、ラファにある病院に移送されるということです。

ガザ地区保健当局「シファ病院からの退避 強要された」

ガザ地区の保健当局は18日、イスラエル軍が突入したシファ病院からの退避を強要されたと発表しました。

この中で「シファ病院にいる数百人の病人やけが人、それに新生児の命を危険にさらしている。イスラエル軍はシファ病院にいたすべての人の命に責任を負っている」などと非難しました。

これに対してイスラエル軍は、シファ病院からの退避は命じてはおらず、病院側の求めに応じて退避を支援しているなどと主張しています。

国連 ガザに12万リットル余りの燃料搬入も「必要量下回る」

OCHA=国連人道問題調整事務所は18日、12万3000リットルの燃料がエジプトからガザ地区へ搬入されたと発表しました。

搬入された燃料は、UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関によって配られ、病院や避難所などにある発電機の稼働などに役立てられるということです。

また、18日にかけて通信事業者が燃料を受け取り、ガザ地区の通信サービスが段階的に回復したとしています。

OCHAは、イスラエル当局が搬入を認めた燃料について「必要不可欠な人道活動に最低限、必要とされる量をはるかに下回っている」と訴えています。

イスラエル軍 作戦拡大と発表 ガザ地区南部でも犠牲者増

イスラエル軍は18日、ガザ地区での軍事作戦を拡大していると発表し、このうち、北部にあるジャバリア難民キャンプでは、住民に紛れて活動しているイスラム組織ハマスの戦闘員を多数、殺害したなどとしています。

ジャバリア難民キャンプでは18日、国連機関が運営する学校に対して攻撃があり、中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、少なくとも50人が死亡したと伝えたほか、中部の難民キャンプでは31人が死亡したとしています。

イスラエル軍は地上侵攻を進めるガザ地区の北部から南部への住民の退避を繰り返し迫っていますが、アルジャジーラは19日午前、その南部のハンユニスにある病院の近くで大きな爆発があったと伝えています。

ハンユニスなどガザ地区の南部では、18日にもイスラエル軍が集合住宅を空爆し多数の死傷者が出たと報じられるなど、イスラエル軍はこのところ南部への攻撃を強めているとみられ、住民の犠牲が増え続けています。

ハマスは18日「現時点でイスラエル軍に殺害された4割以上の人が南部にいた市民だ」として、イスラエル軍が退避先としているガザ地区南部でも住民に対する無差別な攻撃を続けていると主張しています。

ネタニヤフ首相「現時点で取り引きは成立していない」

イスラエルのネタニヤフ首相は18日に行われた会見の中で、人質の解放をめぐる交渉について「さまざまな根拠のないうわさや、多くの不正確な報道があるが、はっきりさせたいのは、現時点で取り引きは成立していないということだ。発表できる段階になったら明らかにする」と述べました。

そのうえで「完全な停戦に応じるよう国際社会から圧力を受けているが、われわれはこれを拒否する。われわれが合意できるのは戦闘の休止のみで、それは人質の解放と引き換えになる場合だ」と述べハマスを壊滅し、人質を取り戻すまで戦闘を続けると強調しました。

米紙 “イスラエルとハマス 戦闘休止と人質解放で合意近づく”

アメリカのメディアは18日、イスラエルとイスラム組織ハマスが、アメリカの仲介による交渉で5日間の戦闘の休止と引き換えに、ガザ地区で人質となっている数十人を解放することで合意に近づいていると伝えました。

これについてホワイトハウスは、「まだ合意には達していないが引き続き努力する」とコメントしています。

アメリカのワシントン・ポストは18日、イスラエルとハマスが5日間の戦闘の休止と引き換えに、ガザ地区で人質となっている女性と子ども数十人を解放する交渉が合意に近づいていると伝えました。

交渉はアメリカの仲介で行われ、事情に詳しい関係者の話として、新たな問題などが生じなければ、今後数日のうちに人質の解放が始まり、持続的な戦闘の休止が実現する可能性があるとしています。

ハマス幹部「イスラエル軍に殺害された4割以上が市民」

イスラム組織ハマスの政治部門の幹部は18日、レバノンの首都ベイルートで記者会見し、「現時点でイスラエル軍に殺害された4割以上の人が南部にいた市民だ」として、イスラエル軍が退避先としているガザ地区南部でも市民に対する無差別な攻撃を続けていると主張しました。

イスラエル軍がガザ地区最大の病院に突入し、4日間にわたって作戦を行っていることについては「シファ病院には、イスラエル軍が当初主張していたハマスの司令部も人質も見つかっていない。けが人や医療従事者を追い出し、許しがたい大きな罪を犯している」と述べ、シファ病院の地下にハマスの司令部があるとするイスラエル側の主張を改めて否定しました。

その上で「イスラエル軍は病院への攻撃など多くの国際法違反を行っていて、その責任はイスラエルを支援するバイデン政権にもある」として、アメリカを重ねて非難しました。

一方、この幹部は、ガザ地区での人道危機が深刻化していることについて「ガザ地区に入ってくる食料品は必要な量の1割ほどしか満たしていない。虐殺と飢餓、そして病院への攻撃で、戦略的に市民を北部から追い出している」と述べ、一刻も早い停戦と物資の搬入を求めました。

そして「パレスチナの人々は、イスラエル軍のいかなる攻撃にも屈せず、最後まで戦う」として、徹底抗戦の姿勢を強調しました。

バイデン大統領“「2国家共存」による和平を”

アメリカのバイデン大統領は18日、有力紙ワシントン・ポストに寄稿し、この中で、イスラエルとイスラム組織ハマスの間の戦闘が終結したあと、紛争を繰り返さないためにはイスラエルとパレスチナの「2国家共存」による和平を目指すべきだという考えを改めて強調しました。

そして、イスラエルは戦闘終結後にガザ地区を占領したり封鎖したりすべきではないとした上で「ガザ地区とヨルダン川西岸は、最終的には1つの統治機構、すなわちパレスチナ暫定自治政府によって統治されるべきだ」としています。

バイデン大統領は、ヨルダン川西岸で住民とユダヤ人入植者らとの衝突が続いていることをめぐり「ヨルダン川西岸の住民を攻撃する過激な勢力に対してはアメリカとしてビザの発給停止を含む措置をとる用意がある」として、住民への暴力の停止を強く求めました。

ガザ地区の死者 少なくとも1万1800人に

パレスチナの保健当局は18日、一連の衝突で、ガザ地区では少なくとも1万1800人が死亡し、このうちおよそ4900人が子どもだと発表しました。

これは17日時点の情報だということで、ガザ地区北部の病院では通信状況が極めて悪く、情報の更新が困難になっているとしています。

一方、イスラエル側では、これまでにおよそ1200人が死亡しています。

大勢が避難するガザ南部のラファ 深刻な食料不足に

NHKガザ事務所のサラーム・アブタホンカメラマンが16日、ラファ市内で撮影した映像では、食料品店の前で多くの人が列をなして開店を待っている様子が映っています。

この日は店主が住民に「きょうは営業しない」と伝えたということですが、次に食料を手に入れられるのがいつになるのか分からないと、店先で何時間も待ち続ける人たちの姿もありました。

市内では営業を続けられなくなった食料品店が多く、営業している別の食料品店では、商品棚がほとんど空っぽになっていて、豆や調味料、紅茶などわずかな食料品だけが残されていました。

店を訪れた客の1人は「いつ食料が手に入らなくなるか分からず、本当に危機的な状況です。近いうちに私たちは飢餓に陥るのではないかと懸念しています」と話していました。

237人がハマスの人質に 解放求め大規模なデモ行進

イスラエル政府や地元メディアは、イスラム組織ハマスによる攻撃で237人が人質になっているとしています。こうした中、ハマスに人質に取られてから6週間となる18日、エルサレムでは人質の家族や市民らが解放を求めて大規模なデモ行進を行いました。

およそ60キロほど離れたテルアビブから5日間かけて行進してきた参加者たちは、目的地の首相府前に到着すると「全員をすぐに解放せよ」などと声をあげました。

そのあと、人質の家族たちがスピーチを行い、母親など7人が人質になっているという男性は「もうこれ以上待てない。解放に向けた交渉について何が起きているのか教えてほしい」と訴えました。

NHKの取材に応じた参加者のうち、いとことその息子が人質に取られているという男性は「ハマス側のどのような要求に応じなくてはいけないのかは私たちには分からないが、全員が解放されるべきだ」と話していました。

弟が人質になっているという男性は「人質を救う時間はもうない。軍事作戦は少なくとも一時的に停止されなくてはいけない」と話していました。

イスラエルのシンクタンクが今月10日に公表した世論調査の結果では「人質の解放のためにハマスと交渉するべきか」という質問に対し、「戦闘を継続しながら応じるべき」と答えた人は38%、「戦闘を停止しても応じるべき」と答えた人は21%で、ハマスとの交渉を進めるべきだとする人は合わせて6割近くに達し、先月中旬の調査に比べて14ポイント増えています。

人質をめぐっては、ハマス側がこれまでに4人を解放したほか、イスラエル軍が女性兵士1人を救出したと発表しましたが、まとまった人数の解放は実現していません。

一方、イスラエル軍は、今月15日に突入したシファ病院の近くで人質の女性1人の遺体を発見したのに続いて、17日には人質となっていたイスラエル軍の兵士1人も遺体で見つかったとしています。

最新の主要ニュース7本

一覧

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。

特集

一覧

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。

スペシャルコンテンツ

一覧

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。

ソーシャルランキング

一覧

この2時間のツイートが多い記事です

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。

アクセスランキング

一覧

この24時間に多く読まれている記事です

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。