岸田首相 会見「国際社会を協調に導くため 首脳外交に尽力」

岸田総理大臣は、アメリカで記者会見し、今回の一連の訪問について、日中首脳会談で大局的な観点から建設的な対話を行ったなどと振り返った上で、国際社会を協調に導くため、今後も首脳外交に力を尽くす考えを示しました。

この中で岸田総理大臣は、APEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議について「国内で重視している政策も念頭に、日本の考え方を発信し、議論に積極的に貢献した」と述べました。

そして、公正で透明性のある貿易・投資環境の確保や脱炭素社会の実現に向けた日本の貢献を明確にしたほか、ロシアのウクライナ侵攻や核の威嚇などを認めない立場を示し、議長国のアメリカが発出した声明でも共有されたと説明しました。

またアメリカのバイデン大統領との日米首脳会談について、中東情勢やウクライナ情勢、それにインド太平洋地域の諸課題がある中、同盟国としていっそうの連携を確認したとして「大変有意義だった」と述べました。

その上で1年ぶりとなった中国の習近平国家主席との日中首脳会談について「およそ65分間にわたり、大局的な観点から率直かつ建設的なやりとりを行った。日中間にはさまざまな協力の可能性と課題や懸案がある中、日中平和友好条約の締結45年の節目にあたり『建設的かつ安定的な日中関係』の構築という大きな方向性を確認した」と述べました。

また日本産水産物の輸入停止措置の即時撤廃を求めたことなどに触れ「諸懸案についてもしっかりと提起した」と述べ、今回の一連の外交成果を強調しました。

そしてことしのG7=主要7か国の議長国として各国の議論をけん引してきたとした上で「来月は日本とASEAN=東南アジア諸国連合との特別首脳会議も開催する。国際情勢が混とんとする難局において、引き続き活発な首脳外交を行い、日本の平和と安全を守り、国際社会を協調に導くために尽力していく」と訴えました。

処理水や水産物輸入停止をめぐる対話は

岸田総理大臣は記者会見で、習近平国家主席が福島第一原発の処理水を「核汚染水」と言及したとされていることに関して「首脳会談における相手方の発言や具体的なやり取りについてコメントは控える。処理水の科学的な分析と事実にもとづく理解は国際的にも幅広く共有されていると認識している」と述べました。

また、日本産水産物の輸入停止措置をめぐる日中両国の対話について「専門家のレベルで科学に立脚した議論を行っていくことになる。あらゆる機会を捉えて規制の即時撤廃を強く働きかけていく。科学的分析と事実に基づく冷静な判断、建設的な態度を促していきたい」と述べました。

日本産水産物の輸入停止措置の撤廃に向けた見通しについては、「率直に申し上げて輸入規制の解除の時期を予断できる状況ではない。政府としては国内需要の拡大、輸出先の多様化、水産関係事業者の支援などすでに用意したおよそ1000億円の基金を活用し、全力で影響の緩和につとめていく」と述べました。

一連の日程を終えて帰国

岸田総理大臣は19日午前0時10分すぎ、政府専用機で羽田空港に到着しました。

岸田総理大臣は20日、国会で審議入りする新たな経済対策の裏付けとなる今年度の補正予算案の審議に臨むことにしています。