iPS細胞を用いた子宮頸がん治療の治験へ 順天堂大

iPS細胞から作り出した免疫細胞で子宮頸がんを治療する治験を順天堂大学などのグループが計画していることが分かりました。グループは来年度にも患者に細胞を投与することを目指しています。

治験を計画しているのは順天堂大学の安藤美樹主任教授らのグループです。

安藤教授らのグループは、健康な人の血液から子宮頸がんの原因となるHPV=ヒトパピローマウイルスに感染した細胞を狙って攻撃する「キラーT細胞」という免疫細胞を取り出し、この細胞からiPS細胞を作りました。

そのiPS細胞から再びキラーT細胞を作ると、HPVに感染した細胞を攻撃する機能が高くなるほか、ゲノム編集技術を使うことで拒絶反応が起きにくくすることができたということです。

グループではこうして作り出したキラーT細胞を、子宮頸がんが再発し治療が難しいとされる患者9人に投与する治験を計画しています。

治験はまず少ない量から始め、安全性を中心に確認するということです。

国内では年間およそ3000人が子宮頸がんで死亡しています。

がんが再発した場合、治療が難しいことがあり、新たな治療法の開発が期待されているということです。

グループは、今年度中に学内の審査委員会に申請して審査を受け、来年度には1人目の患者に投与したいとしています。

安藤主任教授は「安全性を確認した上で投与量を増やし、有効性を確認したい。子宮頸がんに苦しむ多くの女性の希望になるよう着実に進めたい」と話しています。