ガザ市病院で活動 日赤看護師 “傍観者であってはならない”

ガザ地区で医療支援活動に携わり、イスラエルとイスラム組織ハマスとの軍事衝突が始まったため帰国した日本赤十字社の看護師 川瀬佐知子さんが17日、都内で記者会見し「一人一人がこの歴史的な悲劇の傍観者であってはならない」と訴えました。

川瀬さんは、ガザ地区北部のガザ市にあるクッズ病院の医療支援に去年から携わり、ことし7月からは現地で活動を行ってきました。

17日都内の日本記者クラブで会見した川瀬さんは、衝突が始まった先月7日の状況について「負傷者がどんどん増え、看護師としては一番現場に行かなければならない中、それが許されず、1人の看護師としていろいろな葛藤を感じました」と話していました。

その後、川瀬さんはイスラエル軍が退避を呼びかける中、南部ラファに移動しましたが、今月1日にエジプトに越境するまで、できる範囲で避難民のケアなどを行ったということです。

川瀬さんは、越境した当時の心境について「日本に帰国したいという思いもありましたが、現地のスタッフを残してガザを出ていいのかと、半々の気持ちでした」と振り返っていました。

そして、クッズ病院で一緒に活動してきた現地のスタッフに、自分がエジプトへ退避する日が決まったことを伝えたところ「安全な場所に行けるのならとてもうれしい」と喜んでくれたうえで「命の重さはみんな同じはずなのに、この世界はフェアにはできていない。自分たちに人権なんてない。私たちは本当にみじめだ。きっとこのことばさえも世の中には伝わらない」と涙ながらに訴えていたことが心に突き刺さっていると話していました。

そして川瀬さんは「この記者会見の間にも負傷者や死者の数は増え続けています。一人一人がこの歴史的な悲劇の傍観者であってはならないと思います。一人一人の声が集まれば国際社会を動かすことにつながると信じています」と訴えました。