イスラエル軍“ガザ地区北部でハマスの軍事力解体しつつある”

パレスチナのガザ地区で地上侵攻を続けるイスラエル軍はガザ地区の北部ではイスラム組織ハマスの軍事力を解体しつつあるとの認識を示しました。一方、ハマスの重要な拠点があると主張して突入した病院の近くで人質となっていた女性やイスラエル兵の遺体が見つかったと発表し、ハマスが病院を拠点としていた根拠を示したいねらいがありそうです。

イスラエル軍は17日にかけてもガザ地区で地上侵攻を続けていて、このうちハマスの戦闘員が潜んでいるとして行った学校での軍事作戦では、校内で大量の武器を発見したと主張しています。

ガザ地区の学校には多くの避難民が身を寄せていて、今後、病院だけでなく学校での作戦も正当化するねらいがありそうです。

イスラエル軍の参謀総長は「ガザ地区北部での軍事システムは解体に近づいている」と述べ、ハマスの軍事力を北部では解体しつつあるという認識を示したうえで、「ガザ地区内での作戦を継続し、より多くの地域を標的にする」と述べ、作戦の範囲の拡大を示唆しました。

こうした中、地元のメディアはガザ地区南部のハンユニスやラファ周辺でもイスラエル軍による空爆で多数の死傷者が出ていると報じていて、ガザ地区の北部に続き大勢の避難民が押し寄せている南部での攻撃が激化するのではとの見方も出ています。

一方、イスラエル軍は15日に突入したガザ地区北部にある最大の病院、シファ病院の近くで人質の女性1人の遺体を発見したのに続いて、17日には人質となっていたイスラエル軍の兵士1人が遺体で見つかったと発表し、ハマスが病院を拠点としていたとする根拠を示したいねらいがありそうです。

シファ病院の状況について、ガザの保健当局は、イスラエル軍が病院にあった車両を破壊したために外部への脱出もできず、物資が極端に不足する中、患者や医療従事者、それに避難してきた人たちが死に直面しているなどと窮状を訴えています。

ガザ地区での人道状況は日増しに悪化していて、WFP=世界食糧計画は、ガザ地区に供給されている食料は必要な量の1割にすぎず、ガザ地区のほぼすべての人に食料支援が必要な状況だとしています。