名古屋市の高校に通っていた元男子生徒(19)は、17歳の高校2年生だった2022年1月、地下鉄の車内でエタノールなどの液体をまいたあと、大学入学共通テストの会場だった東京大学の門の前で受験生など3人を次々に切りつけけがをさせたとして、殺人未遂や威力業務妨害などの罪に問われました。
17日の判決で、東京地方裁判所の中尾佳久 裁判長は、動機について「被告は東京大学理科3類を目指していたが、成績が落ちて自暴自棄になり、家出を計画した。東京大学付近で無差別殺傷事件を起こして安田講堂で自殺しようとした」と指摘しました。
そのうえで「人命を軽視する姿勢は甚だしく危険で悪質な犯行だ。学歴や偏差値で優劣を評価するという偏った価値観、視野の狭さなどが背景にあり、刑罰よりも保護処分が有効だとは言い難い」とし、弁護側が求めていた少年法にもとづく保護処分は適切ではないとしました。
一方「反省の深さは不十分だが、自分の問題性を認識して立ち直りのスタートラインに立った様子が見て取れる」として、懲役6年から10年の不定期刑を言い渡しました。
中尾裁判長は「人の命の大切さを忘れないでください。人生に対する希望を見つけて社会復帰してほしい」と話し、元高校生は深く頭を下げました。
東大前3人切りつけ 元高校生に懲役6~10年の不定期刑 東京地裁
2022年1月の大学入学共通テストの日に、東京大学の前で受験生など3人を切りつけたとして、殺人未遂などの罪に問われた当時17歳の元高校生に対し、東京地方裁判所は「東大を目指し、成績が落ちたことから自暴自棄になり、無差別殺傷事件を起こして自殺しようとした。危険で悪質な犯行だ」として懲役6年から10年の不定期刑を言い渡しました。
裁判員「反省して 今後の立ち直りに期待」
判決のあと、裁判員5人と補充裁判員2人が記者会見に出席しました。
裁判員を務めた40代の男性は、「被告は、周りの環境も影響して柔軟に考えることができないようになったのではないかと思う。これから社会に出て行かないといけないので、しっかり反省してほしいし、今後の立ち直りに期待したい」と話していました。
補充裁判員を務めた30代の男性は「頭がよい子だという印象を受けた。法廷でことばを選んで話している姿を見て、本心を話しているかどうか分からなかった。動機も経緯も理解できないが、やっと反省しはじめているのかもしれないという印象は受けた」と話していました。