【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(17日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる17日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア報道官「戦時中には検閲あるべき」

言論統制が強化されていることについて、ロシア大統領府のペスコフ報道官は17日に放送されたモスクワの大学生とのインタビューの中で「戦時中には検閲があるべきだ。平時には受け入れられないようなルールも必要だ」と述べました。

一方で、発言が合法か違法かをどう区別するのか質問されると「線引きは難しい」としたうえで「軍などに対して批判的な発言をする前によく考えるよう勧める」と述べるにとどまりました。

ロシア 軍事侵攻に抗議の芸術家に禁錮刑

ウクライナへの侵攻をめぐり言論統制が強まっているロシアで、スーパーマーケットの値札を軍事侵攻に抗議するメッセージに付け替えた芸術家に対して、裁判所は軍の活動についてうその情報を拡散した罪で禁錮7年の有罪判決を言い渡しました。

ロシア第2の都市サンクトペテルブルクで去年4月、地元のスーパーマーケットで商品の値札をウクライナ侵攻に抗議するメッセージに付け替えた芸術家のアレクサンドラ・スコチレンコさんが、軍の活動についてうその情報を拡散した疑いで、警察に逮捕されました。

地元のメディアによりますと、メッセージには「ロシア軍はウクライナ東部のマリウポリで400人が避難していた芸術学校を爆撃した」と、書かれていたということです。

スコチレンコさんは事実を認めたうえで、自分はテロリストではなく平和主義者だとして、逮捕は不当だと訴えていましたが、サンクトペテルブルクの裁判所は16日、スコチレンコさんに対して禁錮7年の有罪判決を言い渡しました。

法廷にはスコチレンコさんの支援者たちも駆けつけ、有罪判決が言い渡されると「恥を知れ」などと声を挙げ、裁判所に抗議していました。

ロシアでは去年3月に刑法が改正され、軍の活動についてうその情報を拡散したとみなされると懲役刑が科されるなど、ウクライナへの侵攻をめぐり言論統制が強まっていて、国連はことし9月までに少なくとも185人が起訴されたとしています。

双方が防空システム強化の姿勢 空めぐる攻防激しくなる予想

ロシア軍はウクライナの各地でミサイルや無人機による攻撃を続けていて、ウクライナ側は警戒を強めています。

双方とも防空システムを強化する姿勢を示していて、この冬は空をめぐる攻防が激しくなることが予想されます。

ウクライナ空軍は17日、ロシア軍がイラン製の無人機10機で、南部のミコライウ州やオデーサ州などに攻撃をしかけ、このうち9機を撃墜したと発表しました。

また、ロシア軍は東部ドネツク州にもミサイル攻撃を行ったとしています。

ロシア側の空からの攻撃が続く中、ゼレンスキー大統領は17日、SNSで「我々の防空能力は強化されている。しかし100%ではなく、ハルキウのような都市、ドネツク州やザポリージャ州はさらに多くのシステムが必要だ」として、防空システムを強化する姿勢を示しました。

一方、プーチン大統領の側近、パトルシェフ安全保障会議書記は16日、ウクライナと国境を接するロシア西部ボロネジ州で会議を開き「各地域の作戦本部は重要なインフラ施設を守る措置をとり、防空を強化している」と述べました。

これについて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は16日「ウクライナ側もこの冬、ロシアの後方地域をミサイルで攻撃して補給路を断とうとしており、ロシアも対応しようとしている」と指摘しました。

ロシア、ウクライナ双方とも防空システムを強化する構えを示していて、この冬は空をめぐる攻防が激しくなることが予想されます。

東部ドネツク州 拠点近くにまでロシア軍が進軍か

ロシア軍が掌握を狙って攻撃を続けているウクライナ東部ドネツク州の拠点をめぐり、ロシア軍が近くの重要施設に迫っているという見方が出ていて、ウクライナ軍との攻防がいっそう激しくなるとみられます。

ウクライナ東部で攻勢を強めるロシア軍は、ドネツク州のウクライナ側の拠点アウディーイウカの掌握を狙って周辺で攻撃を繰り返しています。

戦況を分析しているイギリス国防省は16日、アウディーイウカはロシアが支配する州都ドネツクに近いことから、ロシアにとって政治的に重要な位置を占めているとした上で、街の北側にあるヨーロッパ最大級のコークス工場にロシア軍が迫っているとみられると指摘しました。

工場は戦術的に重要な施設で、ロシア軍に占拠されると街への主要な補給路が断たれることになりかねず、ウクライナ軍が守りを固めていると分析していて、アウディーイウカをめぐる攻防はいっそう激しくなるとみられます。

ロシア軍はウクライナ軍が反転攻勢を続ける南部でも攻撃を繰り返していて、ヘルソン州では16日、地元当局が、ロシア軍による住宅などへの砲撃で1人が死亡、4人がけがをしたと明らかにしました。

こうした中、イギリスの元首相で、新たに外相に起用されたキャメロン氏が就任後初の外国訪問でウクライナを訪れ、ゼレンスキー大統領との会談に続いて16日、南部の港湾都市オデーサを訪問しました。

ウクライナ側から、オデーサ州ではロシア軍の攻撃を頻繁に受けていると説明を受けたキャメロン外相は「ロシアの不当な軍事侵攻に対する戦いにおいて、われわれは経済的、外交的、それにもちろん軍事的な支援を続けていく」と強調しました。

ゼレンスキー大統領“黒海で主導権奪うことに成功”

ウクライナの首都キーウで16日に開かれた、黒海沿岸諸国が参加して経済協力について話し合う会議に寄せたビデオメッセージの中で、ゼレンスキー大統領は「われわれは黒海でロシアから主導権を奪うことに成功した」と述べ、ウクライナ軍が無人艇でロシア軍の艦船に攻撃するなどして、黒海でのロシアの軍事的な脅威を排除してきたと強調しました。

その上で「黒海地域における協力関係を強化すべきことは明らかだ」と述べ、黒海沿岸にあるウクライナの港から農作物を安定的に輸出することへの意欲を示しました。

黒海を使った農産物の輸出をめぐっては、ことし7月ロシアが農産物の輸出を巡る合意の履行を停止したあと、ウクライナ側が臨時の航路を設けています。

11月9日、ウクライナのクブラコフ副首相兼インフラ相はSNSで、臨時航路を設けたことし8月8日以降、91隻の船が、あわせておよそ330万トンの農産物などを輸出したと発表し、ロシア軍の攻撃があっても船舶の往来が続いていると明らかにしていました。