イスラエル軍 ガザの病院に突入 イスラエル側への批判高まる

イスラエル軍はガザ地区最大の病院に突入し、イスラム組織ハマスの作戦の指揮所などを見つけたと主張しています。しかし、これまでのところ指揮所のような映像は公開されておらず、病院での作戦を決行したイスラエル側への批判の声が高まっています。

イスラエル軍は15日、ハマスの重要な拠点があると主張してきたガザ地区最大の病院、シファ病院に突入し、標的を絞った精密な作戦を行いハマスの作戦の指揮所を見つけたとしていますが、これまでに公開された動画に指揮所のような映像は含まれていません。

これに対しガザ地区の保健当局は、イスラエル軍が「病院内の重要な医療機器を破壊したほか、病院で働く技術者2人を拘束した。イスラエル軍は武器など発見してはいない」などと述べて、イスラエル側の主張を強く否定するとともに、医療機関での作戦に踏み切り甚大な損失を与えたなどと厳しく非難しました。

また、アメリカのABCテレビは15日、シファ病院の医師の話としてICU=集中治療室で治療を受けている63人の患者のうち、7割近くに当たる43人が医療用酸素が尽きたことで死亡したほか、病院の内外で多くの人々が死亡し遺体の埋葬が続けられているなどと伝えています。

さらにイギリスの公共放送BBCは16日、イスラエル軍の報道官の案内で取材したシファ病院内の様子を伝えました。

この中でBBCは、イスラエル軍の報道官から病院内で見つかったとする銃やパソコンなどを見せられたとしたうえで「イスラエルがこの病院を掌握した次の日に、私たちがこの病院に立ち会ったことは、イスラエル軍がなぜここにいるのかを世界に示そうというイスラエルの意欲を物語っている」などと伝えています。

一方、イスラエル軍は16日、ガザ地区にあるハマスの政治部門の最高幹部、ハニーヤ氏の住居に対する空爆を行ったと発表しました。

ハニーヤ氏はすでに海外に拠点を移していますが、自宅にはハマスの幹部らが頻繁に集まり、指揮をとっていたとしています。

イスラエル軍としては病院での作戦で高まった批判をかわし、あくまでハマスの拠点を狙った作戦を続けているとの主張をアピールしたいねらいもうかがえます。