イタリア人男性 入管で自殺 知人らが日弁連に人権救済申し立て

去年、東京の入管施設で、収容中のイタリア人男性が自殺を図り、その後死亡したことについて、男性の知人などが日弁連=日本弁護士連合会に人権救済を申し立てました。「入管側の対応が適切だったか経緯の検証が必要だ」として調査の実施などを国に勧告するよう求めています。

日弁連に人権救済を申し立てたのは、去年11月、東京出入国在留管理局の施設に収容中に死亡した50代のイタリア人男性の知人などで、17日、代理人の弁護士とともに記者会見しました。

弁護士によりますと、イタリア人男性は収容される4年前に精神障害の疑いがあると診断を受けていて、収容後も精神的に不安定な状態だったのに専門の医師による診察は一度も行われず、収容から24日後に自殺を図ったということです。

このため、「精神的な障害がある人への配慮など入管側の対応が適切だったか、経緯の検証が必要だ」として、国に対して調査を実施し結果を公表することや、再発防止策の策定などを勧告するよう求めています。

指宿昭一弁護士は「2007年以降、入管施設で亡くなった外国人は18人にのぼり、スリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんの件に続いて起きた今回の問題について、入管側は真相を明らかにしない姿勢をとっている。彼の死を忘れてはならず、日弁連の調査や勧告に期待したい」と話しています。

出入国在留管理庁“コメントは差し控える”

申し立てについて出入国在留管理庁は「詳細を承知しておらず、コメントは差し控えさせていただく」としています。

そのうえで「本件については関係資料の精査や職員などへの聞き取りを行った結果、対応を問題視するべき事情は見当たらなかった。さらなる調査の必要性はないと考えている」としています。