技能実習制度 別の企業への「転籍」制限に反対声明 日労弁

政府の有識者会議で見直しが検討されている外国人の技能実習制度について、日本労働弁護団が厚生労働省で会見を開き、別の企業などへの「転籍」を制限してきたことが人権侵害の温床になってきたなどとして「転籍」について無用な要件を設けないよう求める緊急声明を出しました。

外国人が最長で5年間、働きながら技能を学べる技能実習制度では失踪者が相次いでいることなどから、政府の有識者会議が見直しを検討しています。

このうち、別の企業などに移る「転籍」は原則できませんでしたが、先月まとめられた最終報告書のたたき台で、受け入れ先で働いた期間が「1年以上」であることなどを要件に転籍を認める案が示されました。

しかし、人材が地方から都市部へ流出する懸念があるなどとして、15日開かれた会議で、転籍が可能となる要件について新たな条件を加え、分野によっては受け入れ先で働いていた期間を当分の間は最大で「2年以内」に延ばす案が出されました。

これを受けて16日、労働問題に詳しい弁護士でつくる「日本労働弁護団」が厚生労働省で記者会見を開き、緊急声明を出しました。

この中では「転籍」の制限が数々の人権侵害の温床となってきたとしたうえで、政府の有識者会議に対し案を撤回するほか、「転籍」について無用な要件を設けないよう求めています。

政府の有識者会議は年内に最終報告書をまとめる方針です。

「日本労働弁護団」の中村優介事務局次長は「パワハラやいじめを受けても転籍に制限があることで、会社などをやめるにやめられないケースもあった。人権侵害が繰り返されないよう制度を見直すべきだ」と話していました。