拉致被害者の即時帰還求めるEU提出の国連決議案 19年連続採択

北朝鮮の人権侵害を非難し、すべての拉致被害者の即時帰還を求める、EU=ヨーロッパ連合が提出した決議案が国連総会の委員会で19年連続で採択されました。

国連総会で人権問題を扱う第3委員会に提出されたのは北朝鮮による人権侵害を厳しく非難したうえで、北朝鮮に拉致された被害者とその家族が深刻な苦痛を受け続けていることに重大な懸念を示し、すべての拉致被害者の即時帰還を求める決議案です。

決議案はEUが提出し、日本や韓国など60か国以上が共同提案国となり、15日の委員会で投票を求める国がなかったことから、各国の総意として無投票で採択されました。

北朝鮮の人権状況を非難し、拉致被害者の即時帰還を求める決議が採択されるのは、19年連続です。

国連日本代表部の大野公使は「拉致被害者の横田めぐみさんは46年前のきょう、11月15日に新潟で拉致された。その母親の早紀江さんは87歳、拉致被害者の有本恵子さんの父親の明弘さんは95歳になり、もはや一刻の猶予もない」と述べ、北朝鮮に対して拉致問題の解決に向け行動をとるよう求めました。

一方、中国やロシアは決議を支持しないと表明したほか、北朝鮮のキム・ソン国連大使は「北朝鮮に対する政治的な陰謀で決議を断固として拒否する」と述べ、発言を終えると退席しました。