【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(16日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる16日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

南部ヘルソン州 激しい攻防が続く

領土奪還を目指すウクライナ軍は、南部ヘルソン州でロシア側が占領する地域に複数の拠点を築いた上で作戦を展開しているとみられ、ロシア側も攻撃を強化するなど、激しい攻防が続いている模様です。

ウクライナのイエルマク大統領府長官は13日、南部ヘルソン州でロシア側が占領するドニプロ川の東岸にウクライナ側が拠点を築いたと明らかにし、地元のロシア側の幹部も15日、ウクライナ軍が川を渡って作戦を行っていることを初めて認めました。

アメリカの有力紙、ウォール・ストリート・ジャーナルは15日、作戦に参加した兵士らの話としてウクライナ軍が夜間に小規模の集団で川を渡り、ここ数週間で東岸地域にあるクリンキの集落などで3つの拠点を築き、ロシア軍の補給路を遮断したと伝えました。ロシア軍も大量の地雷を設置しているほか、無人機などを使った空爆で攻撃を強化するなど、激しい攻防が続いている模様です。

一方、東部での攻勢を強めるロシア軍は、ドネツク州セリドベで15日未明、ミサイルで攻撃を行い、16日までに3人が死亡し、ウクライナ軍の報道担当者は「ロシアはこの冬、エネルギー施設への攻撃を行うため800発以上のミサイルをクリミアに集中して保管している」と警戒を強めています。

ゼレンスキー大統領は15日、国民向けの動画で「ロシアは悪魔のような行為を続ける能力があることを覚えておく必要がある」と述べ、ロシアに対抗するためには結束が重要だと改めて呼びかけました。

ウクライナ東部でミサイル攻撃 2人死亡

ロシア軍が侵攻を続けるウクライナでは東部ドネツク州セリドベで15日未明、ロシア軍が住宅地にミサイル攻撃を行い、2人が死亡し、3人がけがをしたと地元当局が明らかにしました。

ゼレンスキー大統領は14日、「ロシアによる攻撃は特にドネツク州で激しい」と述べたうえで、来年3月に予定されるロシアの大統領選挙に向けて、プーチン大統領は具体的な戦果を必要とし、東部で攻撃を強化しているとして警戒を強めています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は14日、「ロシア軍は東部で複数に同時攻撃を実施することで、主導権を取り戻そうとしている」と指摘したうえで、ウクライナ側も抵抗していて、ロシア軍が主導権を取り戻せるかは不透明だと分析しています。

ウクライナ統領府長官「ドニプロ川左岸に足場築いた」

ウクライナのイエルマク大統領府長官は13日、訪問先のアメリカで行った講演で、「ウクライナ軍はドニプロ川の左岸に足場を築いた。クリミアの非武装化に向け徐々に進んでいる」と述べ、南部ヘルソン州でロシア側が占領するドニプロ川の東岸にウクライナ側が拠点を築いたと明らかにしたうえで、南部で反転攻勢を強める構えを示しました。

これについて、ヘルソン州の親ロシア派のトップ、サリド氏は15日、SNSで、「ウクライナ軍は多くの人員を送り込み川を渡ってきた」としていて、激しい攻防が続いているとみられます。

ゼレンスキー大統領 伊メローニ首相と電話会談

ウクライナ大統領府によりますと、ゼレンスキー大統領は15日、イタリアのメローニ首相と電話会談を行いました。

ゼレンスキー大統領はこれまでのイタリアの支援に感謝の意を伝えるとともに、来年、イタリアがG7の議長国となることを踏まえ、ウクライナへの支援におけるイタリアの役割に期待感を示しました。

両首脳は将来のロシアの侵略を抑止するために、ウクライナに長期的な支援を行うことなどを盛り込んだG7の共同宣言に基づき、イタリアとの間で安全保障に関する取り組みを進めるための作業を開始することで合意しました。

メローニ首相をめぐってはことし9月、ロシアのコメディアンからのいたずら電話に対し、ウクライナ情勢について、「各方面で疲労が蓄積している」などと回答したとイタリアのメディアが報じ、各国に「支援疲れ」があるという認識を示したと問題視されていました。

一方、外交筋によりますと、電話会談はイスラエル・パレスチナ情勢に国際社会の関心が集まる中、ウクライナへの支援にも関心を持ち続けてもらおうとウクライナ側が各国に呼びかけて行っているものだということで、ウクライナ側の危機感が垣間見えるものとなりました。