日米経済版「2プラス2」サプライチェーンの強じん化で一致

日米の外務、経済閣僚が経済分野の議論を行う経済版「2プラス2」の2回目となる会合がアメリカで開かれました。中国を念頭に、輸出入の規制などで貿易相手国に圧力をかける「経済的威圧」に対抗するため、サプライチェーン=供給網の強じん化に協力して取り組んでいくことなどで一致しました。

日米両政府による経済版「2プラス2」の2回目の会合は、14日にアメリカのサンフランシスコで開かれ、日本からは上川外務大臣と西村経済産業大臣が、アメリカからはブリンケン国務長官とレモンド商務長官が出席しました。

はじめに上川大臣が「国際社会が直面する課題は山積しており、この地域でのルールに基づく経済秩序を強化し、強じん性を高めていく方向性について認識をすりあわせたい」と述べました。

また、西村大臣は「経済の相互依存関係を武器として利用する動きなど、われわれは新たな挑戦に直面している。同志国が産業政策全体で足並みをそろえて連携する、全く新しいアプローチが必要だ」と述べました。

一方、レモンド商務長官は「日米両国は、経済的威圧に対抗し、AI=人工知能やバイオテクロノジーなど、新しい重要な技術の推進と保護に向けて協力している。日米関係はかつてないほど強固で、私たちの協力がインド太平洋地域にさらなる機会と繁栄をもたらすと確信している」と述べました。

会合のあと発表された共同声明によりますと、中国を念頭に経済的威圧に対抗し、特定の国に依存するリスクを下げるため、半導体や鉱物など重要物資のサプライチェーンの強じん化に、日米両国が協力して取り組んでいくなどとしています。

また、食料や農産物の輸出入に対する規制は、科学的根拠に基づいて行われるべきだとして、東京電力福島第一原発にたまる処理水の海への放出を受けた日本産水産物に対する輸入規制は、直ちに撤廃されるべきだとしています。

西村経産相 サプライチェーン強化に作業部会設置へ

経済版「2プラス2」のあと、西村経済産業大臣は記者団に対して、日米両国の間で半導体や重要鉱物などのサプライチェーンの強化に向けた戦略を議論する作業部会を設置することを明らかにしました。

西村大臣は「戦略物資を特定の国に依存することのリスクをわれわれは、これまでいろいろと経験してきた。早急に議論していければと思うし、サプライチェーンの構築は日米両国だけではできない部分もあり、日米で取り組みをリードし、そのうえで同志国間でのサプライチェーン強じん化につなげていきたい」と述べました。

上川外相「戦略的観点から経済分野での協力を拡大・深化」

上川外務大臣は、訪問先のサンフランシスコで記者団に対し「日米両国がインド太平洋地域の経済秩序において、責任ある地位を占めることの重要性を確認した。今回の議論や共同声明も踏まえ、引き続き、戦略的観点から経済分野での協力を拡大・深化させていく」と述べました。

夕食会では北海道産ホタテなど 米の支援に謝意

会合のあと、西村経済産業大臣はアメリカのレモンド商務長官との夕食会に臨みました。

この中では、北海道産のホタテやアラスカ産のサーモンなどが出され、西村大臣は、中国による日本産水産物の輸入停止を念頭に「アメリカ軍に日本産ホタテを購入する長期契約をしてもらうなど、アメリカからの継続的な支援に感謝している」などと述べました。

これに対し、レモンド長官は「日本産の水産物は、世界でも最高水準だ。その安全性や質の高さを今後も共有していきたい」と応じていました。

夕食会の中では、西村大臣がレモンド長官にホタテ料理を勧める場面も見られました。