プロ野球12球団合同トライアウト 新たな所属先求め59人が参加

プロ野球で戦力外になった選手たちが新たな所属先を求めてアピールする、12球団の合同のトライアウトが千葉県鎌ケ谷市で行われました。

12球団の合同トライアウトは戦力外を通告された選手たちが新たな所属先を求めて各球団の編成担当者にアピールする場で、ことしは2000人余りのファンが詰めかける中、鎌ケ谷市にある日本ハムの2軍の球場で行われました。

トライアウトには59人が参加してワンボールワンストライクから始まる実戦形式のシートバッティングが行われ、ピッチャーはバッター3人に投げ、野手は7打席に立つ形で進められました。

このうち、2016年にドラフト1位で阪神に入団し、その年にセ・リーグの新人王に輝いた高山俊選手は第1打席で右中間へのツーベースヒットを打ったほか、第3打席でもヒットを打ったあと盗塁を決めるなど7打席で2安打、2つのフォアボールを選び存在感を示しました。

高山選手は「知らない投手ばかりで難しいところもあったが甘い球を振ろうと思っていた。ファンの方にたくさん応援してもらい元気な姿をみせることができてよかった」と話していました。

また2017年に15勝3敗と最高勝率のタイトルを獲得し、リーグ優勝にも貢献した広島の薮田和樹投手はバッター2人に対して、フォアボールを出したものの、得意の落ちる変化球で高山選手から空振り三振を奪うなど持ち味もアピールしました。

薮田投手は「一番やりたかった三振が1つ取れてよかったが、シーズンを通して課題としていたフォアボールを2つ出してしまった。まだまだプロでできると思うのでいい連絡を待ちたい」と話していました。

参加した選手は今後、興味を持った球団から獲得のオファーや入団テスト受験の連絡を待つことになります。

=注目選手の結果=

15日に行われたトライアウトに参加した注目選手の結果です。

【吉田凌投手=オリックス】
オリックスで主にリリーフとして83試合に登板し、おととしには日本シリーズでも登板した吉田凌投手は、持ち味の曲がり幅の大きいスライダーを駆使して2者連続三振を奪いました。

1人目:見逃し三振
2人目:空振り三振
3人目:フォアボール

【高橋純平投手=ソフトバンク】
ドラフト会議では3球団が1位指名で競合した結果2016年にソフトバンクに入団し、2019年にはリリーフとして45試合に登板した高橋純平投手は、ヒットとフォアボールを与えたものの最速148キロの力強いストレートを軸に空振り三振を奪いました。

1人目:レフト前ヒット
2人目:空振り三振
3人目:デッドボール

【田中健二朗投手=DeNA】
2008年にDeNAの前身の横浜にドラフト1位で入団し、主にリリーフとして通算で274試合に登板した34歳のベテラン、田中健二朗投手は、ホームランを打たれる場面もありましたが、残りの2人は持ち味の打たせて取るピッチングを見せました。

1人目:ライトフライ
2人目:レフトへのホームラン
3人目:ショートゴロ

【多和田真三郎投手=元西武】
2018年に16勝5敗で最多勝のタイトルを獲得したもののその後、自律神経失調症を患い、今は軟式野球チームでプレーしている2016年のドラフト1位、元西武の多和田真三郎投手は、伸びのあるストレートを軸に見逃し三振を奪うなど、持ち味を発揮しました。

1人目:センターフライ
2人目:見逃し三振
3人目:フォアボール

【福田秀平選手=ロッテ】
一方、バッターでは2007年にソフトバンクに1位で入団し、チームの3年連続日本一に貢献したほか、その後、FA=フリーエージェントの権利を行使してロッテでプレーした福田秀平選手は、第4打席であと少しでスタンドに届くフェンス直撃のツーベースヒットを打ち、アピールしていました。

第1打席:セカンドフライ
第2打席:空振り三振
第3打席:セカンドゴロ
第4打席:右中間へのツーベースヒット
第5打席:ショートフライ
第6打席:フォアボール
第7打席:フォアボール

このほか、巨人から交換トレードで楽天に移籍した高田萌生投手は最速152キロのストレートで押すピッチングをみせ、ヒットを許さなかったほか、8年前の夏の甲子園で秋田商業のエースとしてベスト8の原動力となり、去年、初めて導入された「現役ドラフト」でヤクルトに移籍した成田翔投手もストレートと変化球を織り交ぜて抑えました。
また、去年の現役ドラフトで中日からDeNAに移籍した笠原祥太郎投手は、ホームランを打たれたものの力強い腕の振りをみせていました。

ことしのトライアウト 参加59選手

(▼の選手はプロ野球12球団の最終所属球団)
《セ・リーグ》
●阪神(2人)
渡邉雄大投手(32)、高山俊選手(30)
●広島(3人)
薮田和樹投手(31)行木俊投手(22)▼山口翔投手(24)
●DeNA(6人)
笠原祥太郎投手(29)平田真吾投手(34)田中健二朗投手(34)田中俊太選手(30)池谷蒼大投手(24)加藤大投手(21)
●巨人(8人)
田中豊樹投手(29)保科広一選手(25)坂本工宜投手(29)▼折下光輝選手(23)山本一輝投手(25)高田竜星投手(21)阿部剣友投手(21)太田龍投手(25)
●ヤクルト(8人)
▼山川晃司投手(27)▼中山翔太選手(27)市川悠太投手(22)成田翔投手(25)久保拓眞投手(27)松井聖選手(28)鈴木裕太投手(23)吉田大喜投手(26)
●中日(1人)
伊藤康祐選手(23)
《パ・リーグ》
●オリックス(7人)
吉田凌投手(26)西濱勇星投手(20)園部佳太選手(24)辻垣高良投手(21)中川拓真選手(21)▼佐藤優悟選手(26)釣寿生選手(21)
●ロッテ(6人)
福田秀平選手(34)佐藤奨真投手(25)土居豪人投手(23)西川僚祐選手(21)谷川唯人選手(21)速水将大選手(23)
●ソフトバンク(5人)
岡本直也投手(27)中道佑哉投手(24)居谷匠真選手(20)早真之介選手(21)高橋純平投手(25)
●楽天(5人)
高田萌生投手(25)佐藤智輝投手(23)引地秀一郎投手(23)福森耀真投手(26)▼石田駿投手(26)
●西武(4人)
張奕投手(29)▼中塚駿太投手(29)中山誠吾選手(24)▼多和田真三郎投手(30)
●日本ハム(4人)
▼高山優希投手(25)井口和朋投手(29)姫野優也投手(26)立野和明投手(25)

来年から2軍戦に参加「ハヤテ223」の山下大輔GMの姿も

15日のトライアウトではプロ野球の12球団の編成担当らとともに2軍の公式戦に来年から新たに参加する「ハヤテ223」の山下大輔GMも選手のプレーを見守りました。

山下GMは、「1日で判断するのは非常に難しいと思うが、これからチームで話して意見を出し合って、いろいろ決めていこうと思う。ゼロからスタートするチームで選手の数がいないと1年間戦えないので、少し枠を広げて見ていかなければならない」と話していました。その上で「野手も当然必要だが、ピッチャーとキャッチャーはしっかり確保しないと1年間戦っていけない」と話していました。