【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(15日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる15日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ政府高官「クリミアの非武装化 徐々に進んでいる」

ウクライナのゼレンスキー大統領の側近、イエルマク大統領府長官は13日、訪問先のアメリカのシンクタンクで講演を行いました。

このなかでイエルマク長官は「ウクライナ軍はドニプロ川の左岸に足場を築いた。クリミアの非武装化に向け徐々に進んでいる」と述べ、南部ヘルソン州でロシア側が占領するドニプロ川の東岸にウクライナ側が拠点を築いたと主張し、南部で反転攻勢を強める構えを示しました。

そのうえで「われわれは武器をすぐに必要としている。特に防空システムが必要だ。ロシアは再び送電網やインフラを攻撃し、国民を恐怖に陥れようとするだろう」と述べ、欧米側に速やかな軍事支援を訴えました。

ロシア軍は攻撃強化も「主導権 取り戻せるかは不透明」

ゼレンスキー大統領は14日、動画での演説で「ロシアによる攻撃は特にドネツク州で激しい」と述べ、東部ドネツク州アウディーイウカなどで激しい戦闘が続いていると訴えました。

そのうえで来年3月に予定されるロシアの大統領選挙に向けてプーチン大統領は具体的な戦果を必要としていて東部で攻撃を強化しているとの見方を示し、警戒を強めています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は14日「ロシア軍は東部で、複数に同時攻撃を実施することで、主導権を取り戻そうとしている」と指摘したうえで、ウクライナ側も抵抗していてロシア軍が主導権を取り戻せるかは不透明だと分析しています。

“記者殺害の受刑者 侵攻に加わり恩赦で釈放”ロシアメディア

ロシアのプーチン政権に批判的な姿勢を貫いた新聞記者が17年前に殺害された事件の受刑者が、ウクライナ侵攻に加わり恩赦で釈放されていたとロシアのメディアが伝え、記者の遺族は、政権を強く批判しています。

ロシアのプーチン政権に批判的な姿勢を貫いた独立系新聞「ノーバヤ・ガゼータ」の記者、アンナ・ポリトコフスカヤ氏は、2006年、モスクワの自宅アパートで銃で撃たれて殺害されました。

ロシアの新聞RBKの電子版などは14日、この事件で20年の禁錮刑を受けていた治安機関の元職員が、去年、ウクライナ侵攻に加わり恩赦で釈放されていたと伝えました。

報道を受けてポリトコフスカヤ氏の遺族は14日「ノーバヤ・ガゼータ」を通じて声明を出し「信念と職務を果たしたために殺された者の記憶を冒とくするものだ」と政権を強く批判しました。

「ノーバヤ・ガゼータ」は、ロシアで言論の自由を守る闘いを続けてきたとして編集長のムラートフ氏がおととし、ノーベル平和賞を受賞したことでも知られています。

ウクライナ侵攻を続けるプーチン政権は、恩赦や高額な報酬を約束しながら受刑者を兵役に就かせるなどして兵員の補充を進めていると伝えられています。

ウクライナ軍総司令官 米軍制服組トップと反転攻勢を協議

ロシア軍とウクライナ東部で激しい戦闘を続けているウクライナ軍の総司令官は、アメリカ軍の制服組トップと電話で会談し、冬の反転攻勢に向けて、砲弾や防空兵器などが緊急に必要だと訴えました。

ウクライナ軍のザルジニー総司令官は、アメリカ軍の制服組トップのブラウン統合参謀本部議長と電話で会談し、冬の反転攻勢に向けて協議したことを13日、明らかにしました。

この中でザルジニー総司令官は、ロシア軍と激しい戦闘を続けている東部ドネツク州のアウディーイウカなどの戦況について「難しい状況だがコントロールしている」との認識を示したということです。

その上で、砲弾や防空兵器などが緊急に必要だと訴えたとしています。

一方、EU=ヨーロッパ連合は14日、ベルギーで国防相会議を開き、今後のウクライナへの軍事支援について協議しました。

EUは来年3月までにウクライナに砲弾など100万発を供与する目標を掲げていますが、これまでに供与できたのはおよそ30万発にとどまっています。

ドイツのピストリウス国防相は記者団に対し、100万発の目標は達成できないという見方を示したうえで「防衛産業が増産しなければならない」と述べました。

また、エストニアのペフクル国防相も「ロシアはいま、これまで以上に砲弾などを生産し、北朝鮮からも調達している。ヨーロッパが『調達できない』と言うことはできない」と述べ、取り組みの大幅な強化が必要だと強調しました。