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【15日詳細】イスラエル軍がシファ病院突入“軍は地下を捜索”

イスラエル軍は15日、イスラム組織、ハマスの拠点があると主張するガザ地区最大の病院に突入しての軍事作戦に踏み切りました。一方、ハマスの報道官は「病院は医療と市民のための建物で、軍事施設ではない」と述べて、イスラエルの主張を否定し、攻撃を強く非難しました。

現地にいる地元のジャーナリストによりますと、シファ病院内での通信は遮断され、現地の状況の把握が困難になっているということで、情勢は緊迫の度合いを強めています。

※11月15日(日本時間)のイスラエルやパレスチナに関する動きを随時更新でお伝えします。

目次

シファ病院 医師「とても恐ろしい状況」

シファ病院で働く小児科の医師がロイター通信の電話インタビューに応じ、「戦車が東側の門から入ってきて救急病棟の前で止まった。銃撃や爆弾などあらゆる種類の武器が使われた。病室が直接、狙われ、壁に直径50センチメートルの穴が空いた」などと証言しました。

さらに、インタビューの間に何度も銃声が響き、医師は「戦車から銃が連射されている。とても恐ろしい状況だ」と話しています。

また、「病院への攻撃や封鎖が最終的にどのような結果に終わるのか分からない。患者たちに治療を受ける権利を与えることなく、放り出すような形で病院から立ち退かせるのではないかと恐れている」と、先行きへの不安を口にしました。

19:00前

イスラエル軍 「作戦は継続中」

イスラエル軍はガザ地区最大の病院での軍事作戦について、15日正午ごろ、日本時間の午後7時前にSNSに投稿し、「作戦は継続中で、ハマスのテロのためのインフラと武器の捜索を行っている」と発表しました。

軍事作戦について複数の動画や写真を公開し、このうち、病院がある地域でのイスラエル軍の活動とする白黒の動画では、イスラエル兵とみられる白い人影が次々に建物の中に入っていく姿が確認できます。

突入時とみられる4枚の写真では、暗視装置を着用した兵士らが自動小銃を構えている様子や、軍用車両の中とみられる場所にいる様子が写っています。

一方、イスラエル軍は「病院の入り口に部隊が人道支援物資を届けた」としていて、動画では「医療用品」と大きく書いた紙が貼られた箱や、医療用の担架を兵士らが運び込む様子が映されています。

病院内には煙

ロイター通信が日本時間の15日夕方配信したシファ病院の映像では、病棟内に煙が立ちこめ、白くもやがかかるなか、医療関係者たちがせき込んでいる様子が写っています。

また、現場の状況をアラビア語で説明する声が収録されていて、「撃ち込まれた砲弾によるガスで呼吸が難しくなっている。患者たちは粉じんや煙から逃れるために避難を進めているが、困難に直面している」と伝えています。

シファ病院の担当者「病院ゲートの爆破でけが人も」

中東の衛星テレビ局アルジャジーラはシファ病院の担当者の話として、「イスラエル軍は病院のゲートの多くを爆破し、破片でけがをした人もいて、救急チームが手当てをしている。多くの避難者が拘束され、連行された人もいる。衝突はないが、イスラエル軍の銃声は聞こえた。病院内に武装した人は誰もいない」と伝えました。

パレスチナ 保健相「数千人の人たち どうなるのか」

パレスチナ暫定自治政府のカイラ保健相は15日、声明を発表し、「イスラエル軍と国際社会はシファ病院の患者や医療従事者、それに避難民の生命に責任を負っている。病院内で虐殺が行われるおそれがある。数千人もの人たちの運命がどうなるのかわからない」と述べました。

そのうえで、「一部の国の臆病な動きや完全な沈黙がイスラエル軍による国際法違反にあたる医療施設への攻撃を促した。シファ病院での攻撃は人道に対する罪だ」と述べ、イスラエルのほか、国際社会の対応を強く非難しました。

国連機関 相次いで懸念示す

WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は15日、SNSへの投稿で、「シファ病院に軍が侵入したという報道に深く憂慮している。病院の医療関係者とまた連絡が取れなくなった。彼らと患者の安全を非常に心配している」としています。

また、OCHA=国連人道問題調整事務所のトップ、グリフィス事務次長も15日、SNSに投稿し、「シファ病院を軍が襲撃したという報道にがく然としている。新生児、患者、医療スタッフ、そしてすべての民間人の保護はなによりも優先されなければならない。病院は戦場ではない」としています。

UNICEF 事務局長「子どもの安全な場所ない」

14日にガザ地区の病院を訪れたUNICEF=国連児童基金のキャサリン・ラッセル事務局長は声明を出しました。

ラッセル事務局長は「子どもたちはたび重なる爆撃、喪失、避難に耐えている。ガザの100万人の子どもにとって安全な場所はどこにもない」と強調しました。

また、ガザでは4600人以上の子どもが死亡、9000人近くがけがをしたという報告があるとしたうえで、「多くの子どもの行方が分からなくなっており、倒壊した建物や家屋のがれきの下に埋まった状態でいるとみられている。人口密集地での爆発性兵器の使用が招いた悲劇的な結果だ」としています。

そして、「ガザの病院では専門的な治療を必要とする新生児たちが、電力と医療物資の不足、それに暴力行為が無差別に続く中で命を落としている」と指摘した上で、即時の停戦や人質となった子どもの解放などを呼びかけています。

17:39

「燃料積んだ最初のトラックがガザ地区南部に」

エジプトのメディアが15日に伝えました。これまでイスラエル側はイスラム組織ハマスが軍事目的に利用するおそれがあるとして、燃料の搬入を認めてきませんでした。燃料の搬入は軍事衝突が始まって以降、はじめてです。

ただ、搬入された燃料はガザ地区内の病院には使用されない見通しだとロイター通信は伝えていて、ガザ地区で燃料不足による人道危機が改善するかは不透明です。

16:58

シファ病院 患者と避難者は外の広場に移される

中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、現地時間の午前9時58分、日本時間の15日午後4時58分、情報筋の話しとして、シファ病院の医療スタッフと患者、そして病院に避難していた人たちが病院の西の外側にある広場に移されたと伝えました。

また、イギリスの公共放送BBCは現場にいる地元メディアの記者の話として、イスラエル軍の部隊がシファ病院の中に入り、「部屋を回っては病院の職員や患者を一人一人確認している。避難者たちは屋外に集められている」などと伝えています。

16:00すぎ

松野官房長官「事実関係の把握は困難 法的評価は控えたい」

松野官房長官は午後の記者会見で、「シファ病院への攻撃を含め、イスラエル軍の具体的な行動について事実関係を十分に把握することは困難なので、法的評価は控えたい。同時に、わが国としてイスラエルの行動が国際法と完全に整合的であるとの法的評価を行っているわけではない」と述べました。

その上で、「いかなる場合でも国際人道法の基本的な規範は守られなければならない。すべての当事者に国際法の順守を求めつつ、人道状況の改善と事態の沈静化などに向けた外交努力を粘り強く積極的に続けていく」と述べました。

上川外相「“人間の盾” 決して許されない」

上川外務大臣は訪問先のサンフランシスコで記者団に対し、「すべての当事者が国際人道法を含む国際法を順守しなければならない。例えば『人間の盾』といった、むこの民間人を無用に巻き込むような行為は国際人道法の基本的な原則に反するもので正当化できず、決して許されるものではない」と述べました。

一方、イスラエル軍の攻撃については「実際の軍事行動において民間人の被害を防ぐべく、人道目的の戦闘休止を含め、実施可能なあらゆる措置を講じていく必要がある」と述べました。

ハマス「シファ病院は軍事施設ではない」

イスラム組織ハマスの政治部門の報道官は15日、中東のカタールから動画での声明をSNSに投稿しました。

このなかで報道官は「占領軍の戦車がシファ病院に到着したことはなんの成果でもない。シファ病院は医療と市民のための建物で、軍事施設ではない」と述べ、シファ病院にハマス中枢の拠点があるとするイスラエルの主張を否定しました。

そのうえで、イスラエルの主張を受け入れたことによって「バイデン大統領は占領と犯罪、さらにパレスチナの人々がいまさらされているジェノサイドのような戦争に全面的に加担することになった」と述べ、アメリカのバイデン政権を非難しました。

14:00すぎ

イスラエル軍「作戦は継続中」

午後2時すぎ、CNNのインタビューに応じたイスラエル軍の広報担当者は「作戦は継続中だ」と話しました。

13:37

「病院から記者を排除」

中東の衛星テレビ局アルアラビアは午後1時37分、現地からの話として、「イスラエル軍はシファ病院から記者を排除し、病院内部でのさらなる作戦を準備している」と伝えました。

13:00

「敷地内に戦車6両と100人以上の兵士」

イギリスの公共放送BBCは現場にいる地元メディアの記者の話として、「病院の敷地内で戦車6両と100人以上の兵士からなる部隊を見た。彼らは救急外来がある建物に侵入し、兵士の何人かは覆面で、アラビア語で『動くな、動くな』と叫んでいた」と話したということです。

12:43

「救急外来がある建物を襲撃」

中東の衛星テレビ局アルジャジーラは午後0時43分、シファ病院の幹部の話として、イスラエル軍が救急外来がある建物を襲撃していると伝えました。

12:21

ガザ地区の保健当局「軍は病院の地下を捜索」

中東の衛星テレビ局アルジャジーラは午後0時21分、ガザ地区の保健当局の報道官の話として、イスラエル軍が病院の地下を捜索していると伝えました。

11:49

ガザ地区の保健当局「われわれは何も隠していない」

日本時間の15日午前11時49分、中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、ガザ地区の保健当局の報道官がイスラエル軍による攻撃が始まった直後に話した内容として、「シファ病院には医者と患者、そして行き場を失った市民しかいない。われわれは何も恐れておらず、何も隠していない」とSNSに投稿しました。

ホワイトハウスの報道担当者「病院内での銃撃戦望まない」

アメリカ・ホワイトハウスの報道担当者は14日、NHKの取材に対し、イスラエル軍がシファ病院に突入したことについて、軍事作戦の具体的な内容については言及しないとした上で、「これまで述べてきたとおり、われわれは病院への空爆を支持しないし、病院内で銃撃戦となり、罪のない人々や無力な人々、それに医療を受けようとしている病人が巻き込まれるような事態は望んでいない。病院と患者は守られなければならない」として、民間人の犠牲を最小限に抑える必要があるという認識を示しました。

バイデン大統領とネタニヤフ首相が電話会談

ホワイトハウスはバイデン大統領がイスラエルのネタニヤフ首相とガザ地区の最新の状況をめぐって電話会談したと発表しました。ハマスに拘束されている人質の解放に向けた進行中の取り組みについて話し合ったとしています。

10:30ごろ

シファ病院の医師「戦車やブルドーザーが病院に」

中東の衛星テレビ局アルジャジーラはシファ病院の医師の話として、「戦車やブルドーザーが病院の敷地を通っていくのを見た。銃撃はまだ激しく、あちこちで爆発音がしている」と伝えています。

10:25

「軍がシファ病院の幹部の部屋に突入」

中東の衛星テレビ局アルアラビアは午前10時25分、SNSへの投稿で、イスラエル軍がシファ病院の幹部の部屋に突入したと伝えました。

10:00すぎ

“イスラエル軍がシファ病院突入 兵士の何人かは覆面”

アメリカのCNNは日本時間の15日午前10時すぎ、病院内にいる地元メディアの記者の話として、病院の敷地内にイスラエル軍の戦車が侵入してきたと報じました。この記者は「兵士が病院の建物の中にいるかどうかは分からない。戦車の砲塔を病院に向けているのが見える」とした上で、「銃撃戦が行われ、一部の建物の窓が割れている」と話したということです。

10:10ごろ

ハマス声明「病院攻撃 バイデン大統領に責任ある」

イスラム組織ハマスは日本時間の15日午前10時10分ごろ、SNSに声明を発表しました。

声明では、イスラエル軍によるシファ病院への攻撃によって引き起こされる事態について、イスラエルとアメリカのバイデン大統領に完全に責任があるとした上で、「イスラエルのリーダーたちと結託しているすべての人たちは子どもや病人、無防備な住民が殺されていることの責任を負う」と主張しています。

そのうえで、「ホワイトハウスとアメリカ国防総省が、ハマスがシファ病院を軍事利用しているというイスラエル側の誤った主張を受け入れ、住民の殺りくを認めた。国連が沈黙し、多くの国々が裏切っても、パレスチナの人々はガザにとどまる。パレスチナの子どもや女性たちへの加害に対して、占領者たちは重い代償を払うことになる」などと主張しています。

イスラエル「人道支援の国連トラックへの給油認める」

ガザ地区では軍事衝突が始まって以降、イスラム組織ハマスに燃料が渡ると軍事目的で利用されるおそれがあるとしてイスラエルが搬入を認めず、燃料が不足して深刻な人道危機に陥っています。

国際社会からの批判が高まる中、パレスチナ側との調整を担当するイスラエルの機関は15日、「ラファ検問所からガザ地区の南部に人道支援物資を運ぶ国連のトラックはきょう検問所で給油される。これはアメリカの要望を受け、関係機関との協力で実施されるものだ」とSNSに投稿し、軍事衝突が始まって以降、燃料の搬入を初めて認めることを明らかにしました。

しかし、これはUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)が、燃料不足によって15日にも活動停止に追い込まれる恐れがあるとして燃料の搬入を認めるよう求める中で、イスラエルが搬入を限定的に認めた形です。

搬入された燃料はガザ地区内の病院には使用されない見通しだとロイター通信は伝えていて、ガザ地区で燃料不足による人道危機が改善するかは不透明です。

9:00すぎ

イスラエル軍 シファ病院の特定の場所に精密な攻撃と発表

ガザ地区最大の病院、シファ病院に突入したイスラエル軍は日本時間の15日午前9時すぎ、シファ病院において、イスラム組織ハマスに対して、「病院の特定の場所で精密かつ目標を絞った攻撃を行っている」とSNSで発表しました。

そのうえで、「部隊には今回の複雑かつ神経を使う状況に備えて訓練を受けた医療チームやアラビア語を話す隊員も含まれている。ハマスによって人間の盾とされている人たちに危害が及ばないようにするためだ」としています。また、「きのう、ガザ地区の関係する当局に対し、病院内でのすべての軍事的な行動を12時間以内に停止するよう伝えたが、そうはならなかった」と主張しています。

シファ病院はイスラエルが以前から、ハマスが病院の地下などに重要な拠点を設けていると主張していました。

一方、ハマスはこうした主張を否定していて、ホワイトハウス側の発表について、「イスラエルが病院を標的とする残忍な殺りくを行うことで、医療態勢を崩壊させ、パレスチナ人を追い出すのを承認するものだ」と非難しています。

イスラエル軍はこれまでもシファ病院の周辺で激しい攻撃を行っていて、ガザ地区の保健当局によりますと、患者や避難している人たちは退避もできない状態で、電気のほか、水や食料もなくなるなど、事態は悪化の一途をたどっているということです。

8:14

イスラエル軍「数分以内にシファ病院を攻撃する」

中東の衛星テレビ局アルジャジーラは現地時間の午前1時14分、日本時間の15日午前8時14分、ガザ地区の保健当局の話として、イスラエル軍が数分以内にシファ病院を攻撃すると通告してきたと報じました。

パレスチナ 保健当局 ガザ地区1万1255人死亡

パレスチナの保健当局は14日、一連の衝突でガザ地区では1万1255人が死亡し、このうち4630人が子どもだったと発表しました。

ただ、この情報は13日時点のもので、ガザ地区北部の病院では通信状況が極めて悪く、情報の更新が困難になっているとしています。

一方、イスラエル側ではこれまでにおよそ1200人が死亡していて、双方の死者は1万2000人を超えています。

イラン外相「イスラエルが虐殺やめれば反撃をとめるだろう」

イスラエルと敵対し、ハマスを支援してきたイランの外務省は15日、スイスのジュネーブを訪れているアブドラヒアン外相がOCHA=国連人道問題調整事務所のトップ、グリフィス事務次長と会談し、イスラエル軍が突入したシファ病院の状況などについて意見を交わしたと発表しました。

アブドラヒアン外相は会談で、「イスラエルによるガザの人々への攻撃は懲罰的なものだ」と述べ、ハマス壊滅を掲げた作戦で多くの民間人が犠牲になっていることを非難しました。

そのうえで、「即時停戦に向けた努力に注力する必要がある。もし、イスラエルがガザでの虐殺をやめれば抵抗勢力も反撃をとめるだろう」と述べ、イスラエルが軍事作戦をやめさえすれば、イランが支援している中東各地の武装組織が現在、イスラエルやアメリカ軍の部隊に対して繰り返している攻撃をやめる可能性があることを示唆しました。

これに対し、グリフィス事務次長はシファ病院の状況を「悲劇だ」とした上で、深刻な状況に懸念を示したということです。

米ホワイトハウス高官”ハマスなどシファ病院を軍事目的利用”

ガザ地区の保健当局によりますと、イスラエル軍の攻撃や燃料不足によって、多くの病院で医療活動ができない状況に追い込まれていて、このうち、地区最大の病院、シファ病院では新生児を含む34人が死亡しています。

アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は14日、記者団に対し、さまざまな情報分析を行った結果だとしたうえで、「ハマスなどはシファ病院をはじめとするいくつかの病院を利用し、地下にトンネルを掘るなどして人質を収容しているほか、この病院から指揮・命令も行っている。病院に武器も保管しており、これは戦争犯罪だ」と述べて批判しました。

イスラエルは以前からハマスがシファ病院の地下などに拠点を設けていると主張していて、アメリカも同様の見方を示した形です。

一方で、カービー調整官は「病院への空爆は支持しない。病院と患者は保護されなければならない」と述べ、イスラエルに対し民間人の犠牲を最小限に抑えるよう改めて求めました。

また、ガザ地区に支援物資を運び込んだトラックの台数はこれまでにあわせておよそ1100台になるとしたうえで、「まだ十分ではない」と述べ、引き続き、アメリカとして、人道状況の改善のため、イスラエルや周辺国に対し、働きかけを強めていく姿勢を示しました。

“病院の軍事目的利用”ハマス「強く非難し否定する」

アメリカ・ホワイトハウスの高官がイスラム組織ハマスがガザ地区最大の病院を軍事目的に利用していると批判したことを受けて、ハマスは「強く非難し、否定する」などとする声明を発表しました。

声明では、「こうした発言はイスラエルが病院を標的とする残忍な殺りくを行うことで、医療態勢を崩壊させ、パレスチナ人を追い出すのを承認するものだ」としています。その上で、国連に対し、ガザ地区の病院を調査する委員会を設けるよう求めています。

トルコ エルドアン大統領「イスラエルはテロ国家」

トルコのエルドアン大統領は15日、首都アンカラで開かれた与党の会議で演説し、「ガザ地区での虐殺を続けるなら、イスラエルはテロ国家として全世界から記憶されるだろう」と述べて、軍事行動の即時停止を求めました。

そのうえで、「私たちはガザ地区を支援し、イスラエルの指導者には裁きをくだして、国際的に孤立させる」と述べ、ネタニヤフ首相に対しては「あなたの政治生命の終わりは近い」と激しく非難しました。

一方、エルドアン大統領はイスラム組織ハマスについて、「選挙でパレスチナ人に選ばれた政党だ」と述べて、改めて擁護する姿勢を強調しました。

エルドアン大統領はガザ地区の情勢を受けて、イスラエルに駐在する大使を召還する一方、ハマスに対しては、最高幹部のハニーヤ氏と電話会談するなど連帯を示しています。

また、トルコ政府はこれまでに救急車20台や野外病院の資機材などをガザ地区と境界を接するエジプトに届けたほか、15日にはトルコとエジプトの保健相が会談して、今後、ガザ地区のがん患者をトルコに搬送して治療する計画について協議しました。

イエメンの反政府勢「イスラエル船舶への攻撃もためらわない」

イスラム組織ハマスと連帯するイエメンの反政府勢力フーシ派は14日、イスラエルに対して、新たに弾道ミサイルを発射し、これに対し、イスラエル軍は迎撃に成功したと発表しました。

フーシ派の報道官はビデオ声明で、「イスラエル南部のエイラートに向けて複数の弾道ミサイルを発射した。その24時間前には、無人機での攻撃も行った」として、イスラエルに対して新たに弾道ミサイルや無人機での攻撃を行ったと発表しました。

これに対して、イスラエル軍は「イスラエルに向けて発射されたミサイルは防空システムによって迎撃することに成功した」として、攻撃による被害はなかったと発表しました。

一方で、フーシ派の報道官は「紅海を航行中のイスラエルの船舶に対しても相応に対応する。イスラエル船舶への攻撃もためらわない」として、今後は紅海を航行しているイスラエルの船舶も攻撃対象にすると明らかにしました。

フーシ派はイスラエル南部に対して弾道ミサイルや無人機による攻撃を繰り返していますが、これまでのところイスラエルの防空システムに迎撃されていて、今のところ直接的な被害は確認されていません。

イスラエル デモ行進で“人質解放を”

テルアビブ近郊で15日、家族がガザ地区で人質にとられている市民など数百人が大規模なデモ行進をして、人質の早期解放を訴えました。

弟が人質になっているイライ・ダビドさん(26)は「人質にとられている状況なので、常に危険で、弟たちの安全が気がかりだ。ただ、シファ病院にいるのであれば見つけてほしいし、せめて居場所についての手がかりがあるかもしれない」と話し、人質の安否を気遣う一方で、解放に向けた期待も示していました。

恋人が人質となっているノアム・アロンさん(24)は「ガザ地区に安全な場所はなく、軍事作戦には危険もあるが、軍は人質やガザ地区の罪のない住民を守るため最善を尽くしていると信じる。政府は人質のためにどんな代償も払うべきだ。愛する人は何ものにも代えられない」と話し、イスラエル政府に対し、人質解放に向けた交渉を進めてほしいと求めていました。

ワシントンでイスラエル支持の大規模集会 人質の早期解放訴える

集会はユダヤ系の団体の呼びかけで14日、ワシントン中心部にある広大な緑地帯「ナショナル・モール」で行われ、メディアによりますと、全米各地から数万人が集まったということです。

このなかで、ガザ地区との境界近くで開かれていた音楽イベントの会場からハマスによって息子が連れ去られ、人質になっているという女性がステージに立ち、「この38日間、まともに寝ることもできず、心は傷ついている。しかし、本当に苦しんでいるのは人質だ」と述べ、人質の早期解放を訴えました。

また、集会には議会上院の民主党トップ、シューマー院内総務や共和党のジョンソン下院議長も参加し、超党派でイスラエルを支持する姿勢をアピールしていました。

参加した女性はNHKの取材に対して、「イスラエルへの連帯を示すために来た。アメリカ人も含め、無実の人たちが犠牲になっているのを見るのはつらい。みんなが平和で幸せに暮らせるようになってほしい」と話していました。

また、ニューヨークから来た男性は「子どもや赤ちゃん、高齢者だけでもすぐに解放すべきだ。ただ、人道目的であれば別だが、ハマスを再武装させるためだけの停戦であってはならない」と話していました。

米バイデン大統領 人質の解放「実現すると信じている」

アメリカのバイデン大統領は14日、記者団からイスラム組織ハマスに拘束されている人質の解放について問われたのに対し、「解放は実現すると信じている。ただ、詳細については話せない」と述べました。

また、「関係する人々と毎日協議している」と述べて、解放に向けた交渉をめぐり、連日対応にあたっていると強調しました。

そして、人質の家族に向けては「助けに行くのでくじけずにいてほしい」と呼びかけました。

CNNは14日、アメリカ政府高官の話として、イスラエルとハマスが数日間の戦闘の休止と引き換えに、人質を解放する方向で交渉を進展させていると伝えました。

ただ、この高官は、双方は合意に近づいてはいるものの、まだ交渉が決裂する可能性もあるとの見方を示したとしています。

WHO 14日から降り続いた雨で“感染症拡大を懸念”

ガザ地区で14日早朝から降り続いた雨についてWHO=世界保健機関のハリス報道官は、スイスのジュネーブで行われた記者会見で、「インフラが破壊され、清潔な水も不足しているなか、雨が降り浸水が起きることで、人々はさらに厳しい状態に追い込まれるだろう」と述べました。

具体的には下水などのインフラが機能しないなかで、急な雨によって水があふれると汚水が避難施設などに広がり、感染症が拡大することが懸念されるとしています。

WHOによりますと、現地では下痢の症状を訴えている人が5歳未満の子どもを中心に増えていて、その数はすでに例年より16倍ほど多い3万3500人にのぼっているということです。

国連“約20万人が南部退避と推定 食料確保が難しくなるおそれ”

イスラエル軍がガザ地区北部の住民に南部に退避するよう通告する中、13日、OCHA=国連人道問題調整事務所は今月5日以降、南部へ向かったと推定されるのは、およそ20万人にのぼると発表しました。

OCHAは、南部が過密状態になり、避難場所の利用や食料の確保が難しくなる懸念が高まっていると指摘しています。

一方、OCHAは、ガザ地区北部に今も数十万人の住民が残っていて、生きるための最低限の水や食料を確保するのが難しく、脱水症状や、伝染病が広がるおそれがあると強調しています。

シファ病院の医師“市民が病院内に穴を掘り遺体埋葬”

ガザ地区最大の病院、シファ病院の状況について、現場の医師がロイター通信との電話インタビューに応じ、医療態勢や衛生環境をめぐる厳しい現状を訴えました。

外科を担当するこの医師は「イスラエル軍の爆撃によって施設が破壊され、酸素を供給することができなくなった。酸素の供給が無ければ患者に全身麻酔をかけることはできない。私たちはそのような状態で、病院のあらゆる問題に対処しようとしている」と述べ、激しい攻撃で治療に必要な医療機器が使えなくなっていると強調しました。

そのうえで、「病院には120人以上の遺体がある。強烈な悪臭が漂っていて、そこから感染症や病気が伝染していくことは確実だ」と危機感をあらわにしました。

ロイター通信が配信した現場の映像には、遺体にかぶせた毛布にボランティアの人が「身元不明」と書く様子や、地面に掘った穴に遺体を並べてブルドーザーで土をかけて埋葬する様子が写っています。

医師は「市民が病院内に穴を掘り、遺体を埋葬しようと試みている。状況はひどく、120人もの遺体を埋葬するには多くの設備が必要だ」と述べ、病院の敷地内で埋葬が始まっていることを明らかにしました。

ヨルダン川西岸のパレスチナ暫定自治区で抗議デモ

イスラエル軍の地上侵攻によってガザ地区で民間人の犠牲者が増え続けるなか、ヨルダン川西岸のパレスチナ暫定自治区では各地で住民による抗議デモが行われました。

このうち、ベツレヘムでは大人や子ども200人ほどがパレスチナの旗などを持って集まりました。

デモの参加者は「ガザでは多くの命が失われ、アメリカもイスラエルに協力している」などと訴えて抗議し、即時の停戦を求めていました。

また、ヨルダン川西岸での住民とイスラエルの治安部隊やユダヤ人入植者との衝突も続いていて、パレスチナの保健当局によりますと、ガザ地区で大規模な軍事衝突が始まった先月7日以降、180人以上のパレスチナ人が死亡したということです。

デモに参加した60代の男性は「イスラエル軍はハマスが病院に隠れていると言うがそれはうそだ。病院には医薬品もなく、多くの医師が殺された」と話していました。

別の女性は「イスラエルのガザ地区への攻撃はガザ地区からパレスチナ人を追い出すためではないか。私たちは国際社会と国連に対し、侵攻を止めるための迅速な介入を求める」と話していました。

イスラエル軍“ハマス拠点の難民キャンプを作戦上の統制下に”

イスラエル軍はガザ地区北部で空爆や地上侵攻を続け、14日にはハマスが拠点を置いているとするシャーティ難民キャンプを作戦上の統制下においたと発表しました。

また、これまでにハマスが築いた地下トンネルの入り口、160か所以上を発見し、2800の拠点を破壊したとした上で、ハマス側の軍事力を取り除いてきた結果、ガザ地区北部からイスラエルに向けて発射されるロケット弾の数がおよそ80%減少したとしています。

イスラエル軍は14日も、「一部の地域で1日4時間、人道目的で軍事活動を休止する」と発表し、ガザ地区の市民に対して、北部から南部に退避するよう通告していますが、中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、イスラエル軍が南部のハンユニスでも空爆を行い、数十人の死傷者が出ているなどと伝えています。

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